7日、日本シリーズ第7戦が行われ、千葉ロッテが中日を8−7で下し、5年ぶり4回目の日本一に輝いた。ロッテはレギュラーシーズンがリーグ3位で、この順位からの日本一は史上初。連夜の延長戦にもつれこんだ試合は12回、岡田幸文の3塁打で勝ち越し、勝負を決めた。

◇第7戦
 中日・浅尾、4イニングの救援も実らず(ロッテ4勝2敗1分、ナゴヤドーム)
千葉ロッテ   8 = 200130100 001
中日       7 = 312000001 000 (延長12回)
勝利投手 伊藤(1勝1敗)
敗戦投手 浅尾(0勝1敗)
 最後に日本一への道を切り開いたのは育成選手から今季1軍昇格を勝ち取った岡田だった。今シリーズは大松尚逸の故障で巡ってきた出場機会。そんな代役がチームを勝利に導いたところに、今季のスローガンである“和”の力が象徴されていた。

 序盤は劣勢だった。初回、3番・井口資仁のタイムリー2塁打、4番・サブローの犠飛で幸先よく2点を挙げたものの、第3戦で好投した先発の渡辺俊介がピリッとしない。先頭打者に四球を与えると、1死2塁から森野将彦が1、2塁間を破り、まず1点。さらにヒットと死球で満塁となって、6番・野本圭の当たりがセンターの前に落ち、同点に追いつく。続く谷繁元信の犠飛で勝ち越し、中日が3−2と逆転に成功した。

 なおも2回、荒木がヒットと盗塁で2塁まで進み、2番・大島洋平がライトへのタイムリー。渡辺俊介は2回4失点で降板し、2番手の小野晋吾も2点を失ってしまう。スコアは2−6と4点のビハインド。だが4回、ロッテは2死から里崎智也の2塁打を足がかりに岡田がフォークをセンター前に運び、1点を返す。

 この1点が大きく流れを変えた。続く5回、ロッテはまたも2死からサブロー、今江敏晃、里崎とヒットを重ね、3得点。一気に試合を振り出しに戻した。投げては4回から投入した薮田安彦が2回をパーフェクトに抑え、相手の勢いを止める。ビハインドの場面で勝ちパターンの投手を早々とつぎ込んだ継投策が吉と出た。

 対する中日は珍しく采配に一貫性がなかった。立ち直りかけた先発の吉見一起を4回の失点で早くも見切りをつけたにもかかわらず、2番手の河原純一には同点に追いつかれるまでマウンドを任せた。後がない戦いでありながら、自慢のリリーフ陣を中盤からつぎ込まなかったのは、勝った場合の第8戦を見越していたのか。

 一方でセットアッパーの浅尾拓也には9回から延長12回まで実に4イニングを託した。浅尾は好投をみせたが、さすがに決勝点を奪われた12回はボールが甘くなっていた。岡田の決勝打も本来の球威がなくなったストレートを振り抜かれたものだ。抑えの岩瀬仁紀が万全の状態なら、どこかでスイッチしただろう。それができなかったところに、磐石だったはずの中日投手陣の意外な脆さがあった。

 またアクシデントにも泣いた。初回、打球を処理した際に負傷した森野が3回の守備からベンチに退き、攻撃力が低下した。3回に3点をあげて、なおも2死1、3塁の場面。延長10回、2死1、2塁の場面。いずれも森野のいた3番に打順が回り、代わって入った堂上直倫、平田良介が倒れ、相手にとどめをさせなかった。9回、1点ビハインドの展開から和田一浩の3塁打をきっかけに追いついた粘りも及ばなかった。

 MVPにはこの日も4安打を放ち、シリーズ通算.444と打ちまくった今江が輝いた。今江は5年前に続き、2度目のMVP獲得。ロッテは13日に行われる日韓クラブチャンピオンシップ(東京ドーム)でSKワイバーンズと対戦する。