2008年・小松剛(広島3位)、09年・二神一人(阪神1位)、武内久士(広島3位)に続いて、今年もまた法政大学からプロが輩出された。最速153キロを誇るストレートに、緩急のついたピッチングが自慢の大型右腕・加賀美希昇だ。今季はリーグ最多タイとなる5勝をマークし、チームを牽引した。入団先の横浜は5年連続Bクラスと低迷している。チーム再建には投手力の強化が不可欠とされており、加賀美には即戦力としての期待が寄せられている。果たして、彼はその期待に応えることができるのか。プロへの道を切り拓いた今の心境を訊いた。
―― 地元球団でもある横浜からの2位指名。評価された点は?
加賀美: 横浜は幼少の頃から好きな球団でした。小学生の時には日本一にもなっていますし、ずっと応援していましたね。その球団に指名をしてもらったので光栄に思っています。スカウトの方からは「先発としてゲームをつくる力に長けている」と言っていただきました。その部分をさらに伸ばして、チームに少しでも貢献できればと思っています。

―― 大学入学後、10キロ以上スピードがアップした。その要因は?
加賀美: 一番は体重が増えたことだと思います。とはいっても、ただ増やすのではなく、トレーニングや食事によってバランスよく増やしてきたのがよかったのかなと。あとはよく「身長が止まってから体が横に大きくなると、スピードがアップする」と言われるんですけど、それが自分にもあてはまっているのかなと思いますね。高校時代は少しずつですけど、身長が伸びていたんです。それが大学に入って止まったことによって、体重がグッと増えた。それが球速アップの要因の一つだと思います。

―― 今夏の世界大学野球選手権では、日の丸を背負ってマウンドに立った。そこで得たものとは?
加賀美: 中央大学の沢村拓一選手がケガで辞退をしたことで、僕がその代わりに代表に入ったのですが、予選のキューバ戦で投げさせてもらいました。2番手として5回にマウンドに上がったのですが、結局は打者3人に投げて、1人もアウトにすることができずに降板してしまったんです。試合前のミーティングでビデオを見たり、試合でベンチやブルペンでキューバを見ていて、「うわ、とんでもないやつらだ」と勝手にビビってしまったんです。それで無意識にピッチングが縮こまってしまったんだと思います。相手がどうのと考える前に、まずは自分のピッチングをしなければいけないということを痛感させられました。たとえピンチの場面で4番バッターを迎えたとしても、思い切って投げることが先決。それで結果的に打たれたら、自分の実力がなかっただけのこと。せっかく練習してきても、自分の持ち味を出せないままではもったいないですからね。

 目標は1年目での一軍マウンド

 加賀美が幼少時代、憧れていたのが元巨人エースの桑田真澄。ピッチングのみならず、バッティングやフィールディングなど、野球センスにあふれたプレーに魅了されたという。そして現在は今シーズン、沢村賞をはじめとする主要投手部門を総なめにした同世代の前田健太(広島)に注目している。その理由とは。そして、自分自身はどんなプロ野球選手を目指すのか。

―― 目標とする選手は?
加賀美: 目標というか、手本にしていきたいなと思っているのは前田選手ですね。今年はすごい活躍でしたよね。同級生ですけど、ストレートのキレはもちろん、カーブやチェンジアップなど、一つ一つのボールの質が高い。もちろん、プロで4年間やって、実績もある前田選手とはレベルは違いますが、投げている球種が似ている分、自分と同じようなタイプかなと。少しでもそのレベルに近付いていければと思っています。

―― 自分にとって最大の武器は?
加賀美: カーブやチェンジアップといった遅いボールをしっかりと投げて、勝負するところですね。遅いボールを投げるには勇気がいりますが、それでもそれを投げないことには勝負にならない。ストレートだけでは抑えることはできませんから。

―― 今後の課題は?
加賀美: コントロールですね。昨年からは1試合に四球を4個も5個も出すようなことはなくなったので、ようやくストライクゾーンにいくようになったかなと。でも、もっと低めやコース際にきっちりと投げられるようにしたいです。

―― プロで対戦を楽しみにしている選手は?
加賀美: 大学の先輩である二神さんと、ぜひ投げ合いたいですね。大学時代は寮でも1年間、同部屋だったこともあって、本当によくしてくれたんです。先発同士で投げ合う機会がいつかあればいいですね。

―― 1年目の目標は?
加賀美: 来年中には一軍で投げられたらなと。それができたら、次は先発のマウンドを目指したいと思っています。そのためにもまずはケガをしない体をつくることですね。

加賀美自身、気に入っているという「希昇」という名前は、辰年生まれの彼に両親が昇竜をイメージし、「希望が叶うように」という思いを込めてつけたものだ。小さなことでもコツコツと努力を積み重ね、ステップアップしてきた加賀美。これからもそのスタイルを貫き、一つ一つ夢をかなえていくことだろう。生まれも育ちも神奈川の“昇竜”が、地元球団の救世主となる日をファンは心待ちにしている。

加賀美希昇(かがみ・きしょう)プロフィール>
1988年9月5日、神奈川県生まれ。小学1年で野球をはじめ、桐蔭高入学後に本格的に投手となる。2年秋からエースナンバーを背負い、3年夏は県ベスト4。法政大に進学し、2年秋から主戦として活躍。通算40試合に登板し、16勝10敗、防御率1.97。186センチ、88キロ。右投右打。

(聞き手・斎藤寿子)

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