京王閣競輪場での海老根恵太の劇的初優勝から1年……舞台を立川競輪場に移し、今年も12月30日に『KEIRINグランプリ』が開催される。輪界最高峰のレースを制し、優勝賞金1億円を手にするのは果たして誰か? 当サイト「INSIDE格闘技」の執筆者で、競輪シーンを見続けるスポーツジャーナリスト近藤隆夫が、ズバリ予想する。
☆近藤隆夫・大予想☆

 2番車の村上義弘は先行を考えてはいない。そのことは彼のコメントにハッキリと表われている。
「勝負権のある位置を狙い、そこから仕掛ける」
「勝てるレースを組み立てたい」

 これを受けて、近畿ラインの3番手を回る市田佳寿浩は、次のように話した。
「まずは村上兄弟(義弘、博幸)の後ろからだが、展開次第では、先行選手の番手を狙うかもしれないし、自分で動くこともある」
 つまりは、今回の近畿勢は、「3人の中から誰かが優勝できれば……」とは考えず、「個々でVを狙う」シフトを敷く。ここが、レースのポイントである。

 選手のコメントから読める並びは以下の通りだ。
(2)村上兄−(7)村上弟−(4)市田(近畿ライン)
(6)佐藤−(3)山崎−(9)伏見(東北ライン)
(8)平原−(1)武田(関東ライン)
 そして、(5)海老根は単騎となる。

 先行するのは、2車となる関東ラインではなく、同期の(3)山崎に前を任された(6)佐藤だろう。
「後悔しないレースをしたい」
 前検日のインタビューで(6)佐藤は、そう繰り返して言った。後方に置かれて不発……という事態だけは避けたい、との思いが強いのだろう。ならば、中団狙いではなく思い切って先頭で風を切るはずである。(6)佐藤が先行すれば、(3)山崎の二段駆けも十分に考えられるが、別線が、それを許すまい。(2)村上兄も、(8)平原も早めに巻き返す。最後の直線は大混戦となることだろう。

 ならば、抜け出すのは、東北ラインの3番手で足を溜める(9)伏見だと私は見る。3年前、ここ立川競輪場でグランプリを制している(9)伏見のコース読みは確かだ。(3)山崎が、(2)村上兄、(8)平原のまくりを牽制しながら外へ車を持ち出して突っ込もうとした時に内が空く。そのコースを(9)伏見が見逃すはずがない。

 軸は、3度目のVを狙う(9)伏見。
<3連単> (9)から(1)(3)(5)(8)のBOX。
<2車単> (9)−(5)の折り返しと、(9)−(1)、(9)−(4)
 また、面白いのは、ラインの3番手同士、(4)−(9)−総流しの<3連複>。立川のゴール前の直線は長く、バンクコンディションも重い。3番手同士の突っ込みも十分にあり得る。

 このグランプリに限っては、ラインでのワンツーは、まずない。オッズに食指を動かされるまでもなく、筋違い車券は魅力である。

<KEIRINグランプリ2010出走表>

12月30日(木)16時30分発走
立川競輪場11R、2825m(7周)

×▲1[1] 武田豊樹 茨城 88期 36歳 2年連続3度目 賞金ランキング5位
   2[2] 村上義弘 京都 73期 36歳 6年ぶり4度目 賞金ランキング2位
   3[3] 山崎芳仁 福島 88期 31歳 5年連続5度目 オールスター優勝
▲◎4[4] 市田佳寿浩 福井 76期 35歳 初出場 寛仁親王牌優勝
〇〇4[5] 海老根恵太 千葉 86期 33歳 2年連続2度目 競輪祭優勝
  ×5[6] 佐藤友和 岩手 88期 27歳 2年ぶり3度目 全日本選抜優勝
   5[7] 村上博幸 京都 86期 31歳 初出場 日本選手権優勝
△△6[8] 平原康多 埼玉 87期 28歳 3年連続3度目 高松宮記念杯優勝
◎  6[9] 伏見俊昭 福島 75期 34歳 4年連続8度目 賞金ランキング7位

・印は近藤予想、二宮清純予想の順
・枠番、車番、選手名、出身地、期別、年齢の順に記載
※必ず主催者発表のものとご確認下さい。

>>二宮清純の大予想はこちら(「唯我独論」第466回 来るか、近畿第3の男)