プロ野球の歴史に新たな大学が加わった。「城西国際大学」。1992年に創立・創部したばかりの同大野球部エース黒沢翔太がプロ1号として千葉ロッテから育成1位指名を受けたのだ。中学、高校と内野手を兼任していたという黒沢。甲子園も未経験の彼が大学では主戦として活躍し、最後にはプロへの扉をこじ開けた。後輩たちをも勇気づける一歩を踏み出した黒沢にプロへの意気込みを訊いた。
―― 城西国際大から初めてのプロ野球選手となったことについて。
黒沢: 後輩にはすごくいい刺激になったと思うので、僕の後にどんどんつながってきてくれればいいなと思っています。

―― 1年目の目標は?
黒沢: ケガをしないことを大前提として、まずは支配下登録されること。4年間お世話になった佐藤清監督からは「頑張った分だけ、結果はついてくる」と激励の言葉をいただきました。

―― 球団から評価されたと思う点は?
黒沢: 僕は三振をいくつも取るようなピッチャーではなく、打ち取らせて抑えるタイプ。昔から「四球を出すくらいなら、ヒットを打たれろ」と言われてきたので、四球は少ないほうだと思いますし、どのカウントからもストライクを取れるコントロールにも自信がある。そういう点で一番に安定感を評価してもらったのではないかと思っています。

―― 大学4年間で成長したことは?
黒沢: 中学、高校ではサードも兼任していて、エースナンバーを付けたり付けなかったりというようなピッチャーでした。でも、大学で2年春から主戦として投げさせてもらうようになってからは、「チームのためにも自分が勝たなければいけない」と勝利にこだわるようになりました。それと、入学当初は細かったので、4年間で体重を約10キロ増やしました。そのおかげで130キロ台中盤だった球速も今では140キロ前後にまでなりました。今後は常時140キロ台が出るようにしたい。今は5割弱なので、8割以上にはしたいですね。

―― そのほか、プロ入り後の課題は?
黒沢: 体は柔らかい方なのでしなやかさはあると思うのですが、もうひとつボールに力強さが足りない。ですから下半身強化がさらに必要だと感じています。

 打者にもファンにも印象強い投手へ

 高校までは無名だった黒沢が本気でプロを目指すようになったのは大学入学後、監督やコーチから「誰にでもチャンスはあるから、プロを目指して頑張ってみろ」と言われたことにある。スカウトからは即戦力としての期待を告げられたという黒沢。これまでとは比較にならないほど厳しい競争社会の中で、彼の生きる道とは――。目標とする支配下登録を果たすべく、理想のピッチャー像を訊いた。

―― 自分の武器とは?
黒沢: 生命線はスライダーです。スライダーのキレ具合によって、その日のピッチングが変わってくるんです。悪い時は真っ直ぐでのみの勝負となってしまいますから。スライダー以外はカーブとチェンジアップがあります。チェンジアップは少しタイミングをずらしたいときに有効です。今後は速く落ちる系のボールが欲しいですね。

―― 理想とするピッチャーは?
黒沢: 変則的なピッチャーというよりはオーソドックスなピッチャーが理想です。例えば、横浜の清水直行投手。しっかりと軸足で立ってバランスよく投げたい。

―― まとまりすぎていると、打者にとっては返って打ちやすくなることも。
黒沢: はい。だから大学時にはクセのあるというか、少しひねくれたボールも投げた方がいいのでは、とアドバイスを受けたこともあります。でも、僕はコースを投げ分けるというよりは、高さでメリハリをつけたい。真ん中ではなく低めで空振り、あるいは少し高めの強いボールでフライを上げさせるのが理想ですね。

―― 支配下選手に上がるために必要なことは?
黒沢: 相手に嫌な印象を与えられるようなピッチャーになることだと思います。緩急を使って的を絞らせないとか、強気にインコースを投げるとか……。とにかくバッターに「相性が悪い」と思わせることです。

―― 対戦を楽しみにしている選手は?
黒沢: 誰というよりも、同世代や後輩には負けたくないですね。

―― 熱いロッテファンへのアピールポイントは?
黒沢: まずは名前を覚えてほしいです。そのためにも「あれ、面白いピッチャーがいるな」と印象づけたい。「スピードはそんなに速くはないのに、なんで打たれないんだろう」みたいに思われたら嬉しいです。

 黒沢が野球を始めたきっかけは野球好きの父親とのキャッチボールだった。父親もまたプロ野球に憧れた一人であった。そんな父親はドラフト当日、息子からの吉報に大喜びだったという。「小さい頃、よく“弱気になるな、強気にいけ!”と言われていましたね」。今もその教訓は忘れてはいない。父親の教えを胸に、黒沢はプロのマウンドで勝負する。


黒沢翔太(くろさわ・しょうた)プロフィール>
1988年8月5日、埼玉県生まれ。城西国際大学では2年春から主戦として活躍。2009年春季リーグでは5勝を挙げ、最多勝、奪三振王(48)を獲得。通算12勝10敗、防御率2.83。昨秋のドラフトで同大初のプロ指名を受けた。181センチ、84キロ。右投右打。

(聞き手・斎藤寿子)

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