東日本大震災の影響で延期されていたプロ野球が「がんばろう! 日本」をスローガンに掲げて12日、セ・パ同時に開幕した。仙台市内では避難会場に大型テレビが設けられるなど、被災地から多くのファンが見守る中で行なわれた東北楽天と千葉ロッテとの試合は、楽天が逆転勝ちを収めて白星スタートを切った。北海道日本ハムと埼玉西武との対戦は、ダルビッシュ有が自己ワーストの7失点を喫し、日本ハムは3年連続で開幕黒星となった。福岡ソフトバンクとオリックスは延長12回まで決着がつかずに引き分けに終わった。一方、セ・リーグは昨季覇者の中日が横浜にサヨナラ負け。球団史上初めて地方で開幕を迎えた巨人はヤクルトと対戦し、投打がかみ合った巨人が快勝。前半は一進一退の攻防戦が繰り広げられた阪神と広島との一戦は、後半に広島を引き離した阪神が最後は勝利の方程式で逃げ切った。
◇パ・リーグ
 楽天、逆転勝ちで白星スタート(楽天1勝0敗、QVCマリン)
東北楽天    6 = 000001320
千葉ロッテ   4 = 000100003
勝利投手 岩隈(1勝0敗)
敗戦投手 成瀬(0勝1敗)
セーブ   スパイアー(1S)
本塁打  (楽)嶋1号3ラン
       (ロ)福浦1号3ラン

 本拠地・宮城県仙台市が未曾有の大震災で甚大な被害を受けた東北楽天は、昨年5年ぶりの日本一に輝いた千葉ロッテと対戦した。キャンプから岩隈久志と田中将大との開幕投手争いが注目されてきたが、開幕延期もあり、星野仙一新監督がこの日、指名したのは岩隈。奇しくも開幕日に30歳の誕生日を迎えた岩隈は、5年連続で開幕投手となった。その岩隈を苦しめたのが、昨季はケガに泣いた2年目・荻野貴司だった。4回裏、無死からヒットで出塁した荻野は二盗を決めると、井口資仁のレフトフライでタッチアップして三進した。次打者・金泰均は三ゴロに倒れるも、荻野は果敢にホームを狙う。タイミング的にはアウトだったが、嶋基宏が荻野のスライディングを受けてミットからボールをこぼし、ロッテに待望の先取点が入った。しかし、自らのミスでリードを奪われた嶋は、1−1の同点に追いついた後の7回表、汚名返上とばかりに勝ち越し3ランを放って見せた。8回表にも2点を追加した楽天は、岩隈が完投を目前としながら福浦和也に3ランを浴びて降板したが、新外国人スパイアーが後続をきっちりと抑え、被災地のファンに開幕白星を届けた。

 ダルビッシュ、7回7失点KO(西武1勝0敗、札幌ドーム)
埼玉西武       12 = 003000405
北海道日本ハム   3 = 000210000
勝利投手 涌井(1勝0敗)
敗戦投手 ダルビッシュ(0勝1敗)
本塁打  (西)中島1号3ラン、フェルナンデス1号2ラン
       (日)金子誠1号ソロ

 ダルビッシュ有と涌井秀章との同級生対決となった北海道日本ハムと埼玉西武の試合は、投手戦という予想とは裏腹に、結果的にはワンサイドゲームとなった。毎回のように三振を奪うなど、決して内容的には悪くはなかったダルビッシュだが、西武打線に集中打を浴び、自己ワーストの7失点を喫し7回で降板した。西武は最終回にもフェルナンデスの2ランなどで5点を追加。投げては涌井が8回まで3失点に抑えると、最後は岡本篤志が三者凡退に切って取り、3年連続で開幕白星発進となった。

 後藤、土壇場での同点HR!(京セラドーム)
福岡ソフトバンク   2 = 100000100000
オリックス       2 = 000000011000 (延長12回)
本塁打  (オ)バルディリス1号ソロ、後藤1号ソロ

 福岡ソフトバンクとオリックスとの一戦は投手戦となった。オリックスは昨季最多勝を獲得したエース金子千尋が故障で離脱したことから、木佐貫洋を先発に起用した。プロ9年目で初の開幕投手を務めた木佐貫は、9回2失点と好投する。これに打線も応えた。2点ビハインドで迎えた8回裏にバルディリスの一発で1点差とすると、9回裏には後藤光尊が値千金の同点弾を放った。そのまま試合は延長へ。12回裏、オリックスは1死一、三塁と一打サヨナラのチャンスをつくる。しかし、バルディリスが空振り三振に切って取られると、代打・日高剛は投ゴロに倒れ、引き分けに終わった。

◇セ・リーグ
 横浜、サヨナラで8年ぶりの開幕白星(横浜1勝0敗、横浜)
中日   4 = 000400000
横浜   5 = 120001001×
勝利投手 加賀(1勝0敗)
敗戦投手 浅尾(0勝1敗)
本塁打  (中)グスマン1号3ラン

 震災の影響でデーゲームとなった横浜と中日との試合は、中日の先発・ネルソンが制球を乱し、序盤で横浜に3点を奪われた。打線もオリックスから移籍した山本省吾に無安打に抑えられ、昨季のリーグ覇者が苦しい展開を強いられる。4回表、ようやく中日打線が本領を発揮。怒涛の3連打で無死満塁とすると、和田一浩の犠飛、さらには新外国人グスマンの3ランで一挙逆転に成功した。しかし、6回裏に横浜が同点に追いつくと、試合はそのまま最終回へ。9回裏、横浜は1死一、三塁のチャンスに代打・内藤雄太が値千金の勝ち越しタイムリーを放ち、8年ぶりとなる開幕白星をサヨナラ勝ちで飾った。

 東野、7回途中2失点の好投(巨人1勝0敗、宇部)
東京ヤクルト   2 = 000000200
巨人        9 = 00110133×
勝利投手 東野(1勝0敗)
敗戦投手 石川(0勝1敗)
本塁打  (巨)長野1号3ラン

 地方で初めて開幕を迎えた巨人は山口県宇部市のユーピーアールスタジアムで東京ヤクルトと対戦した。3−0と巨人リードで迎えた7回表、ヤクルトは6回まで無安打に抑えられていた東野峻から宮本慎也、川端慎吾にタイムリーが出て2点を返した。しかしその裏、巨人は長野久義がダメ押しとなる3ランを放つと、8回裏にも3点を追加。結局、14安打を放ち、ヤクルトを引き離した。投げては初の開幕投手を務めた東野が7回途中まで2失点に抑える好投を見せ、昨年に続いてヤクルトとの開幕戦を白星で飾った。

 マートン、56年ぶりの開幕先頭打者HR!(阪神1勝0敗、甲子園)
広島   4 = 100011010
阪神   7 = 10100302×
勝利投手 能見(1勝0敗)
敗戦投手 前田健(0勝1敗)
セーブ   藤川(1S)
本塁打  (阪)マートン1号ソロ

 18年ぶりに甲子園開幕となった阪神は広島と対戦。前半は一進一退の攻防戦が繰り広げられた。初回、広島が広瀬純の犠飛で1点を先制すると、その裏、阪神はマートンが56年ぶりとなる開幕先頭打者HRで同点とした。試合が大きく動いたのは3−2と広島1点リードで迎えた6回裏、昨季の沢村賞投手・前田健太を阪神打線がとらえた。無死一、二塁から新井貴浩が同点タイムリーを放つと、1死二、三塁の場面では栗原健太のフィルダースチョイスで勝ち越す。なおも1死一、三塁から城島健司の犠飛で1点を挙げた。さらに8回裏にもダメ押しとなる2点を追加した阪神は、7回から“トリプルK”が登場。新加入の小林宏が1点を失ったものの、最後は守護神・藤川球児が3者三振の快投で締め、1971年以来の実に40年ぶりとなる甲子園での開幕白星スタートを切った。