日本相撲協会は6日、東京・両国国技館で臨時理事会を開催し、5月8日から同所で実施する予定だった夏場所を無料公開で行うことを決めた。協会の寄付行為では本場所を「力士の技倆を審査するための相撲競技」として位置付けており、これに乗っ取って実施する。協会は携帯メールから発覚した八百長問題で、不祥事では史上初めて3月の春場所を中止。1日には特別調査委員会の調査結果を踏まえて23名の力士、親方に引退勧告などの処分を下していた。
 放駒理事長(元大関・魁傑)はかねてから本場所開催の条件として「全容解明、処分、再発防止」の3つを掲げていた。その条件を満たせなかったのが、夏場所の通常開催を断念した最大の理由だ。今回、処分が下った23名は、谷川親方(元小結・海鵬)を除いて全員が引退(退職)届を提出した。しかし、まだ全容解明の作業は継続しており、特別調査委の伊藤滋座長は八百長の追加認定の可能性に触れている。ひとつのヤマは越えたとはいえ、まだ道半ばというのが実情だ。

 夏場所のチケット発売開始を9日に控える中、協会内外には通常開催を求める声も多かった。東日本大震災の被災地復興へ収益を寄付するといったプランも浮上したものの、肝心の土俵がファンから疑惑のまなざしを向けられたまま入場料を取るには無理があった。また、八百長問題で多くの力士が引退したため、取組数の大幅な減少が予想され、興行的にも通常通りに場所を行うのは難しい。とはいえ、2場所連続で本場所を中止にしては力士のコンディション維持に支障が出る。協会としては板ばさみ状態での苦渋の決断と言っていいだろう。

 本場所を無料で開催するのは、太平洋戦争中の1945年の夏場所以来。ただし、この時は非公開として開かれており、無料公開を前提に行うのは史上初めて。優勝や三賞などは決めるが、天皇賜杯をはじめとする外部からの表彰や、取組ごとの懸賞金は辞退する。国技館は協会の所有で会場費がかからないとはいえ、場所開催に伴う経費はかかる。春場所中止で財政的にも大きな痛手を被っている中、今回の夏場所の無料開催で、協会はより厳しい運営を迫られそうだ。
 なお、理事会では先の処分で退職届を出さなかった谷川親方の解雇も決定した。