今夏、大阪で行われる陸上の世界選手権大阪大会の代表選考会を兼ねた第91回日本選手権が6月29日〜7月2日、大阪市長居陸上競技場で開催される。
 参加標準記録Aの突破者が今大会で優勝すれば代表に内定するだけに、地元開催の世界選手権代表切符をかけた熾烈な争いが繰り広げられそうだ。
 アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダルの室伏広治(ミズノ)は、今季初戦となる。右足のけがで昨年12月に行われたドーハ・アジア大会は欠場。久しぶりの実戦の舞台だが、自身の持つ連続優勝記録13連覇への死角はない。
 短距離のエース・末續慎吾(ミズノ)は男子200メートル1本に絞る。今シーズンは、出場する試合を減らし大阪の世界選手権に向けじっくりと調整に取り組んでいる。100メートルに出場した5月の大阪GP後には「100メートルで9秒台を出したいのではない。大阪でファイナリストになりたい」と意欲を見せている。高野進コーチの「200メートルに関してはパリ(世界選手権)の時より良い練習ができている」との言葉からも、期待が高まる。“前哨戦”となる大阪で、どんな走りを見せてくれるのか。

 世界にも通用する好記録の期待がかかるのが、女子走り幅跳びの池田久美子(スズキ)、男子走高跳の醍醐直幸(富士通)、男子棒高跳びの沢野大地(ニシスポーツ)だ。スピード強化の成果が表れている池田は踏み切りさえ合えば、日本新記録(6メートル86)の更新、さらには夢の7メートルへの期待も高まる。
 大阪GPで世界選手権標準記録Aの2メートル30をクリアした醍醐には自身が持つ2メートル33の日本記録の更新に期待。世界トップクラスの実力は証明しながら、今シーズンはまだ波に乗りきれていない印象の沢野も、海外遠征での経験を糧に、国内最高峰の試合に挑む。

 勝負の行方が注目されるのは標準A突破者が5人を数える男子400メートル障害。中でも、世界選手権銅メダリストで47秒89の日本記録を持つ第一人者の為末大(APF)と、歴代2位にあたる47秒93の記録を持つ成迫健児(ミズノ)の対決に注目だ。昨シーズン、ハードルを封印してスピード強化に努めた成果が出ている為末だが、成迫も5月の大阪GPでは7台目のハードルで足をかけるまで為末と並ぶなど確実に実力を蓄えている。世界選手権でのメダル獲得の期待がかかる種目だけにハイレベルな争いが見られそうだ。

 このほか、シーズン序盤から好調の35歳のベテランスプリンター・朝原宣治(大阪ガス)、エチオピア合宿の成果に期待がかかる女子長距離のエース・福士加代子(ワコール)、さらには男子400メートルの金丸祐三(法大)、女子1500メートルの小林祐梨子(豊田自動織機)、女子長距離の脇田茜(豊田自動織機)、絹川愛(仙台育英高)といった若手の活躍にも注目したい。