8月9日(火)
◇1回戦
 見事な集中打で逆転し、甲子園初勝利
能代商(秋田)      5 = 000104000
神村学園(鹿児島)   3 = 002010000
 前半、試合の主導権を握ったのは神村学園だった。3回裏、1番から始まる好打順の神村学園は先制のチャンスをつかんだ。先頭の1番・白沢隼人(3年)が死球で出塁すると、2番・児玉洸(3年)の打席でランエンドヒットをしかけた。打球はボテボテのゴロとなるも、ランナーが目に入ったのか慌てた二塁手・石川大成(3年)がボールをこぼしてしまい、白沢は一気に三塁へ。ボールが三塁へ送られる隙を見て、児玉も二進し、無死二、三塁となった。ここで3番・坂口湧希(3年)が犠牲フライを放ち、神村学園が1点を先制。なおも1死二塁から4番・本田昴熙(3年)にタイムリーが出て、2点目を挙げた。 しかし、能代商もすぐに反撃する。4回表、1死から3番・保坂祐樹(3年)が四球で出塁すると、4番・山田一貴(3年)がライトフェンス直撃の二塁打を放ち、1死二、三塁とした。するとここで今度は神村学園にミスが出た。次打者の打席、2球目のフォークが大きくすっぽ抜け、これを捕手が後逸。この間に三塁ランナーが返り、能代商は甲子園初得点を挙げた。

 5回裏、神村学園は死球で出たランナーを5番・岩元聖弥(3年)のヒットで返し、1点を追加。わずかヒット3本で3点を挙げるという試合巧者ぶりを発揮し、試合の流れは神村学園に傾きかけていた。ところが、6回表、それまでわずか2安打に抑えられていた能代商が、目の覚めるような集中打を見せる。1死から2番・吉野海人(3年)、3番・保坂、4番・山田と怒涛の3連打で1点を返した。さらに5番・小川宗太郎(2年)の打球はボテボテのゴロになるも、二塁手からのホームへの返球が大きくそれ、三塁ランナーが同点のホームを踏んだ。なおも1死二、三塁から6番・平川賢也(2年)にもタイムリーが出て、1点を勝ち越す。そして7番・岳田諒平(2年)の犠牲フライで1点を追加した能代商はこの回一挙4点を奪い、試合をひっくり返した。

 その後、能代商のエース保坂は安定したピッチングを披露。バックの好守にも助けられながら、最後まで神村学園に追加点を許さなかった。保坂は5安打3失点で完投。打っては見事な集中打で逆転した能代商が甲子園初勝利を挙げ、県勢の連敗記録も13でストップさせた。

 エース松本、毎回の11奪三振で1失点完投
英明(香川)   4 = 100200001
糸満(沖縄)   1 = 000100000

 ともに甲子園初勝利を狙う2年連続出場の英明と春夏通じて初出場の糸満との試合、先制したのは昨夏のメンバー6人が残る英明だった。1回表、1死一、三塁から4番・中内大登(3年)の犠牲フライで1点を先制する。英明は4回表にも2本のタイムリーで追加点を奪い、リードを2点に広げた。その裏、糸満は四球とヒットで1死一、二塁とした。4番・上原佑介(2年)の打球はボテボテの投ゴロになるも、これを英明のエース松本が二塁へ悪送球。ボールが外野へと転がっていく間に、二塁ランナーがホームへ返った。なおも1死一、三塁とチャンスが続いた糸満だったが、5番・宮城拓幸(3年)がスクイズを失敗して三振、飛び出した三塁ランナーも三本間に挟まれてタッチアウト。併殺となって、追加点を奪うことができなかった。これが後に大きく響くことになる。

 その後は両者ともに毎回のようにランナーを出しながらも、あと1本が出ず。3−1と英明2点リードのまま試合は最終回へと入った。9回表、英明は1死から3、4番と中軸に連打が出て、一、三塁に。さらに5番・田中玲(3年)は四球で満塁とした。6番・田野育邦(3年)のこの試合初安打が値千金のタイムリーとなり、英明に貴重な1点が入った。その裏、糸満は先頭の上原がヒットを放ち、粘りを見せた。続く宮城拓も鋭いスイングで強烈なライナーを飛ばす。糸満のチャンスが広がるかと思われたが、不運にも打球は二塁手の正面へ。さらに飛び出した上原が帰塁できず、2死無走者となった。最後は6番・宮城竜(3年)が空振り三振に倒れ、初出場初勝利を果たすことはできなかった。一方、エース松本が散発4安打、毎回の11奪三振で1失点完投とほぼ完璧なピッチングを披露した英明。待望の甲子園初勝利を挙げ、2回戦進出を決めた。

 白樺学園、延長戦制し甲子園初白星
白樺学園(北北海道)   3 = 00010100001
鳥取商            2 = 00001000100 (延長11回)

 1点ビハインドで迎えた9回裏、鳥取商は脅威の粘りを見せた。先頭の4番・安本慎之介(3年)が二遊間を破るヒットで出塁すると、続く5番・吉多亮(2年)がレフトフェンス直撃のタイムリー三塁打を放ち、鳥取商が土壇場で追いついた。なおも無死三塁と絶好のチャンスを迎える。しかし、逆にこのチャンスに打者に気負いが生じたのか、それまでのコンパクトなスイングから大振りになる。空振り三振、レフトフライ、二ゴロと倒れ、絶体絶命のピンチにも強気の姿勢を崩さなかった白樺学園の先発・川越誠(3年)の気迫が勝ったかたちとなった。

 延長11回表、白樺学園は先頭の8番・森谷泰樹(2年)が二塁打を放ち、勝ち越しのランナーが出る。9番・川越のバントはキャッチャーへのファウルフライとなるも、1番・佐藤優太(2年)がヒットで続き、1死一、三塁とした。続く小原の打球はボテボテの三ゴロとなり、鳥取商は5−4−3の併殺を狙う。すると、二塁から一塁へと送球される間に三塁ランナーの森谷がホームへ。バックホームはできず、白樺学園に貴重な勝ち越し点が入った。その裏、川越は最後の力を振り絞り、粘る鳥取商の攻撃を三者凡退に切ってとって、接戦に終止符を打った。延長戦を制した白樺学園は、念願の甲子園初勝利を挙げた。

 花咲徳栄、10安打も拙攻続きで1得点に終わる
智弁和歌山      11 = 003022310
花咲徳栄(埼玉)   1 = 001000000
【本塁打】
(智)山本

 均衡が破れたのは3回表。智弁和歌山は、2死二、三塁から3番・山本隆大(3年)の一発で一挙3点を先制した。するとその裏、花咲徳栄が1死から智弁和歌山のエース青木勇人(3年)に怒涛の4連打を浴びせ、1点を返した。

 再び試合が動いたのは5回表。先頭の8番・沼倉健太(2年)が内野安打で出塁すると、9番・青木が送りバントを決め、1死二塁とした。ここで1番・嶌直広(2年)がタイムリー二塁打を放ち、1点を追加。さらにレフトからの返球が大きくそれ、その間に蔦も三進した。続く2番・川崎晃佑(2年)の一塁へのファウルフライを一塁手・広瀬茂治(3年)が捕球した後、勢い余ってベンチの中に入ってしまい、ボールデッドとなって三塁ランナーに進塁権が与えられ、智弁和歌山に貴重な1点が追加された。

 その後も、智弁和歌山は攻撃の糸を緩めることなく、次々と追加点を奪っていった。一方、花咲徳栄は4回以降も毎回のようにランナーを出すも、得点を奪うことができない。結局、13安打の智弁和歌山に対して花咲徳栄も10安打を放ったものの、1得点にとどまり、残塁の山を築いた。一方、智弁和歌山は長打力のみならず、相手のミスから得たチャンスを確実にモノにし、11得点を奪って大勝。初戦敗退を喫した昨夏の屈辱を晴らし、2回戦へとコマを進めた。