5月19日、中国・成都で開催された近代五種アジア選手権で6位に入り、念願のロンドンオリンピックの出場権を獲得したのが20歳の黒須成美だ。近代五種の日本人女子では待望のオリンピアン誕生となる。もともと競泳選手を目指していたという彼女が、日本ではメジャーとは言えない近代五種を選んだ理由とは――。当サイト編集長・二宮清純がインタビューを行なった。
二宮: ロンドンオリンピックの出場が内定しました。おめでとうございます。
黒須: ありがとうございます。4年前のアジア選手権では16位に終わり、北京オリンピックには出られませんでした。それだけに、本当に嬉しいです。

二宮: 黒須さんが近代五種を始めたきっかけはお父さんだったと?
黒須: はい、そうなんです。私は兄と妹の3人きょうだいなのですが、兄も妹も父に誘われても見向きもしませんでした。私も最初は全く興味がなかったんです。もともと水泳をやっていたので、そんな近代五種なんて聞いたこともない競技をやるのは嫌だなと。

二宮: それなのに、なぜ?
黒須: 小学5年生の時に父から「近代五種の育成大会に出場したら、競技用の水着をプレゼンしてあげるよ」と言われたんです。その言葉についつい……(笑)。

二宮: 水着欲しさに参加してしまったと(笑)。
黒須: はい、そうなんです。そしたら、それからお父さんの攻撃が始まってしまって……(笑)。もうマシンガンのように私に「近代五種をやらないか」って言うようになったんです。

二宮: 経験者だけに、子どもにもやらせたかったんでしょうね。
黒須: そうみたいですね。

二宮: でも、近代五種をやっている人は、周りにはほとんどいなかったのでは?
黒須: そうですね。特に女子はシドニーからオリンピック種目になったので、周りでは女子は一人でした。

二宮: 今回は自らも憧れていたオリンピックに娘が出場することが決まったわけですから、さぞかし喜ばれたことでしょう?
黒須: アジア選手権では最後のコンバインドでゴールした時には、もう父は泣いていました。それだけ、嬉しかったみたいです。

二宮: ロンドンでの目標は?
黒須: 私は世界連キング50位くらいなので、現実的な目標としては10位かなと思っています。

二宮: 本番まではあと1年ありますから、パフォーマンスが上がれば入賞に近づける位置にいるのでは?
黒須: そうですね。この1年でどれだけレベルアップできるかにかかっていると思います。一番の課題であるランでもっといい記録で走れるようになれば、世界の舞台でしっかりと戦えると思っているので、頑張ります!


<現在発売中の『第三文明』2011年9月号では、さらに詳しいインタビューが掲載されています。こちらもぜひご覧ください>