8月12日(金)
◇2回戦
 両エース、2ケタ奪三振で完投も守備の乱れが勝敗を分ける
金沢          4 = 000002020
聖光学院(福島)   2 = 000100010
 聖光学院のエース歳内宏明(3年)。金沢のエース釜田佳直(3年)。今大会屈指の右腕擁するチーム同士の対戦は、中盤まで手に汗握る投手戦となった。歳内は落差のあるスプリット、打者の手元で伸びる直球で金沢打線を翻弄。2回から4回まで6者連続三振を奪うなど、初戦を上回る勢いで三振の山を築いていった。一方、釜田はキレのあるスライダーでこちらも毎回奪三振をマーク。初戦2ケタ安打を放った聖光学院打線をほぼ完璧に封じた。

 試合が動いたのは4回裏。金沢は1死から2番・中村星太(3年)の打球を二塁手・桜吉宏樹(3年)がグラブからボールを落としてしまう。さらにその中村に盗塁を決められると、3番・芳賀智哉(3年)には振り逃げ三振、4番・遠藤雅洋(3年)も守備のミスで出し、無安打ながら1死満塁と自分たちでピンチを広げてしまった。このチャンスに聖光学院は5番・福田瑛史(3年)が釜谷の落ち切らないフォークをうまくレフト前へ弾き返し、三塁ランナー中村が生還。チーム初安打が先制タイムリーとなった。

 6回表、今度は聖光学院にミスが出る。先頭打者を守備のミスで出すと、一塁手から歳内への返球がそれ、ランナーを二進させてしまう。さらに飛び出したランナーを刺そうとした捕手の牽制が悪送球となり、逆にランナーを三塁へ進めてしまう。次打者を空振り三振に切ってとるも、1番・桜吉にタイムリーを打たれ、同点とされた。金沢はなおも2番・宮下が送りバントを決め、1死二塁とすると、3番・中村優作(2年)の鋭い打球を二塁手が弾き、二塁ランナーが一気にホームへ。タイムリー内野安打となり、1点を勝ち越した。

 続く7回表、金沢は1死二塁から1番・桜吉が落ち切らないスプリットをライト前へ弾き返すと、この打球を右翼手が後逸してしまう。これを見た田代は一気に三塁をまわりホームへ。金沢に貴重な追加点が入った。さらに2死後、3番・中村にもタイムリーが出て、リードを3点に広げた。

 その裏、聖光学院は先頭の1番・斉藤侑希(3年)がヒットで出塁すると、2番・中村が送りバントを決めて1死二塁とした。3番・芳賀はセカンドフライに倒れるも、4番・遠藤がこの試合自身初のヒットを放つ。俊足の斉藤は迷うことなく一気にホームへ返り、聖光学院が1点を返した。2点ビハインドで迎えた9回裏、聖光学院は2死満塁と一打同点のチャンスを迎えた。しかし、ここで金沢のエース釜谷が最後の踏ん張りを見せた。2番・中村を147キロの直球で二ゴロに打ち取り、接戦に終止符を打った。

 歳内は6安打14奪三振と力投するも、守備の乱れから失点を喫し、2回戦で姿を消すこととなった。一方、8安打を打たれながら要所を締め、2失点に抑えた釜谷。初戦に続き10個の三振を奪って完投勝利を収めた。

 見事な集中打で接戦制す
東京都市大塩尻(長野)   3 = 000000012
明豊(大分)          6 = 00000600×

 前半は両エースが制球に苦しみながらも、3回まで1安打に抑える力投を見せ、ゼロ行進が続いた。ようやく均衡が破れたのは6回裏。3番・稲垣翔太(3年)、4番・加藤将之(3年)の連続三塁打で明豊に待望の先取点が入った。続く5番・佐藤匠(3年)は四球で出塁し、無死一、三塁とすると、6番・北里優太(3年)にも三塁打が出て、2点を追加。なおも無死三塁とした。

 ここで都大塩尻はエース相原雅(3年)から2番手・金子豪(3年)にスイッチした。しかし、明豊打線の勢いは止まらない。7番・豊田真也(3年)のタイムリーで4点目を挙げると、1死一、三塁から1番・大平海(3年)が走者一掃のタイムリー二塁打を放って2点を追加。結局、明豊はこの回、打者10人の猛攻で一挙6得点を奪い、試合の主導権を握った。一方、都大塩尻は8回表に1番・吉田光佑(2年)の犠牲フライで1点を返した。

 明豊5点リードで迎えた9回表、明豊エースの高尾の制球が定まらず、ストライクが入らない。2四球、1死球で1死満塁としてしまう。ここで明豊は高尾に代えて2番手・岡本健一郎(3年)をマウンドに上げた。岡本はまずは次打者を投ゴロに打ち取る。だが、2死満塁から7番・久保田康也(3年)の打球はボテボテの内野ゴロとなるも、詰まった分だけ二塁手の捕球が遅れ、フォースアウトを狙った二塁への送球がセーフとなる。この間に2人のランナーが返り、都大塩尻に2点が入った。しかし、反撃もここまでだった。最後は途中出場の小松勇介(3年)が内野ゴロに倒れ、初出場の都大塩尻は初陣を白星で飾ることはできなかった。

 2年生エース青山、1失点完投勝利
鶴岡東(山形)     1 = 000010000
智弁学園(奈良)   2 = 00020000×

 3回まで無安打、3回裏には三者連続で空振り三振を奪われるなど、鶴岡東のエース佐藤亮太(3年)に完璧に封じられていた智弁学園だったが、4回裏、その佐藤をとらえた。まずは1死二塁から3番・青山大紀(2年)のタイムリーで1点を先制すると、2死三塁から5番・中道勝士(2年)にもタイムリーが出て2点目を挙げた。

 5回表、鶴岡東がすかさず反撃に出た。先頭の7番・茂木直矢(3年)が相手守備のミスで出塁すると、8番・本田幸輝(2年)は送りバントを決めて1死二塁に。さらにボークで茂木が三進する。ここで9番・佐藤が一、二塁間を破るライト前ヒットを放ち、エース自らのバットで鶴岡東が1点を返した。

 試合はそのまま最終回へと入った。1点を追う鶴岡東は簡単に2死を取られるも、6番・神田真行(3年)が左中間フェンス直撃の二塁打を放ち、一打同点のチャンスをつくる。しかし、7番・茂木は変化球をひっかけ、二ゴロに倒れた。3度目の出場で夏の初勝利を狙った鶴岡東だったが、打線がつながらず、わずか1点に泣いた。一方、ワンチャンスをモノにして接戦を制した智弁学園。エース青山が5安打1失点に抑える好投を見せ、ベスト16進出を決めた。

 横浜、延長サヨナラ勝ちで初戦突破
健大高崎(群馬)  5 = 0000050000
横浜          6 = 0221000001× (延長10回)

 先制したのは横浜。2回表、1死一、三塁から8番・柳裕也(2年)がスクイズを決めて、横浜が先制する。なおも2死二塁の場面、9番・伊達直紀(3年)がタイムリー三塁打を放ち、横浜が2点をリードした。3回裏、横浜は先頭の2番・高橋亮謙(2年)が死球で出塁すると、3番・近藤健介(3年)、4番・斎藤健汰(3年)に連打が出て3点目を挙げた。さらに1死二、三塁から6番・拝崎の犠牲フライで1点を追加。5回裏にも1点を挙げた横浜は、リードを5点に広げた。

 6回表、健大高崎打線が猛追する。3番・竹内司(2年)、4番・門村鴻輝(3年)にこの試合初めて連打が出ると、5番・内田遼汰(2年)が送りバントを決めて、1死二、三塁とした。ここで6番・柳沢にタイムリーが出て、健大高崎が1点を返した。さらに7番・長坂拳弥(2年)が四球で出塁して1死満塁とすると、8番・宇野遼介(3年)がタイムリー二塁打を放ち、1点を追加する。なおも1死二、三塁の場面、横浜はエース柳から2番手・相馬和磨(2年)にスイッチした。次打者はスクイズを狙うもスリーバント失敗に終わり、2死となる。しかし、続く1番・小池が走者一掃のタイムリー三塁打を放ち、健大高崎はこの回一挙5点を奪い、同点に追いついた。

 10回表、健大高崎は2死ながら7番・長坂がヒットで出塁すると、横浜・向井の一塁への牽制がボークととられ、長坂が二進した。続く8番・宇野の打球が三遊間を破り、レフト前へ。二塁ランナー長坂が一気にホームを狙うも、左翼手・伊達が見事なバックホームで長坂を刺し、勝ち越しを許さなかった。ピンチのあとにチャンスあり。その裏、横浜は相手の守備のミスもあり、1死一、三塁と一打サヨナラのチャンスを迎えた。1番・乙坂智(3年)の打球はピッチャーの前へ。向井が落ち着いて三塁ランナーを三本間に挟めてアウトにする。しかし、2死一、二塁から2番・高橋が真ん中高めに入った直球を思いっきり叩くと、打球は三遊間を抜けてレフト前へ。二塁ランナーが一気にホームへ突っ込む。左翼手が懸命にバックホームするも、間に合わず、横浜がサヨナラ勝ちを収めた。