8月13日(土)
◇2回戦
 22年ぶりに2回戦突破
八幡商(滋賀)   5 = 000000005
帝京(東東京)   3 = 002010000
【本塁打】
(八)遠藤
(帝)松本
 1、2回ともにランナーを出しながらも得点することができなかった帝京だったが、3回裏、2死二塁から4番・松本剛(3年)が先制のホームランを放った。さらに4回裏、2死二塁から5番・木下貴晶(3年)にタイムリーが出て、帝京が3点をリードする。投げては地方大会をあわせて初の先発となった渡辺隆太郎(2年)が、毎回のように三振を奪う好投で、8回まで八幡商を無失点に封じた。八幡商は内角を強気に攻める渡辺を攻略することができず、ランナーを二塁に置くことさえもできなかった。

 しかし最終回、ドラマが待ち受けていた。3点を追う八幡商は9回表、ようやく渡辺をとらえ始めた。1死から1番・高森健太(3年)、2番・竹井友希(3年)、3番・白石智英(3年)と怒涛の3連打を浴びせて満塁とすると、4番・坪田啓希(3年)の打球はボテボテの内野ゴロになるも、これを帝京の遊撃手・松本がグラブからこぼしてしまい、三塁ランナーが生還する。さらに一塁もセーフとなり、なおも1死満塁と八幡商のチャンスが続く。ここで打席には5番・遠藤和哉(3年)が立つ。遠藤は粘った末の9球目、見逃せばボールの高め直球をフルスイングした。打球はライトポール際ぎりぎりに入り、逆転満塁ホームランとなった。超満員のスタンドからはどよめきと歓声が沸き起こり、甲子園は興奮に包まれた。そしてその裏、吉中を継投した真野聖也(2年)が2死から四球を出すも、最後は2番・阿部に高め直球を振らせ、キャッチャーへのファウルフライに打ち取った。土壇場での劇的な逆転勝ちを収めた八幡商は、夏は1989年以来となる実に22年ぶりのベスト16進出を決めた。

 投打かみ合い、10年ぶりの16強
明徳義塾(高知)   3 = 001100001
習志野(千葉)    9 = 32030100×
【本塁打】
(明)北川

 初回、習志野の打線が明徳義塾のエース尾松義生(3年)の立ち上がりを攻めた。1死一、二塁から4番・皆川健太(3年)が右中間を真っ二つに割る三塁打を放ち、走者一層の2点タイムリーとなる。さらに5番・片桐憲吾(3年)の犠牲フライで1点を追加。習志野がいきなり3点をリードした。続く2回裏にも習志野は1死二塁から9番・小山優樹(2年)がフェンス直撃となる二塁打となり、4点目を挙げた。さらに1番・宮内和也(3年)もヒットで続き、1死一、三塁とすると、2番・福山慎吾(2年)はスクイズを決め、習志野が1点を追加。リードを5点と広げた。

 明徳義塾は3回表、2死無走者から9番・山口礼門(3年)が相手守備のエラーで出塁すると、1番・伊与田一起(2年)が痛烈な打球をライト線へ飛ばした。山口は一気にホームへ返り、1点を返した。さらに明徳義塾は4回表、今大会屈指の強打者、4番・北川倫太郎(3年)が2試合連続となるホームランを放ち、2点目を挙げた。しかしその裏、習志野は四球、内野安打で出塁したランナーを送りバントで進塁させ、1死二、三塁とした。ここで明徳義塾はエース尾松義生(3年)から2番手・福丈幸(2年)にスイッチした。だが、この継投も習志野打線の勢いを止めることはできなかった。3番・藤井拓也(3年)、4番・皆川に連続タイムリーが出て、再びリードを5点とした。6回裏にも1点を追加した習志野は、投げては先発の大野が好投を続け、5回以降、ほぼ完璧なピッチングで明徳打線を封じた。

 7点ビハインドで迎えた9回表、明徳義塾は粘りを見せた。先頭の5番・先田弦貴(3年)が四球で出塁すると、6番・杉原賢吾(2年)がヒットで続き、無死一、三塁とした。次打者は空振り三振に倒れるも、7回から継投した福永智之(2年)の犠牲フライで1点を返した。しかし、反撃もここまでだった。最後は9番・中平亜斗務(3年)がセンターフライに倒れ、ゲームセット。明徳義塾はベンチ入りの全18人を出す、まさに“全員野球”で反撃するも及ばず、昨年に続いて2回戦敗退となった。

 接戦制し、53年ぶりの16強
作新学院(栃木)   3 = 000120000
唐津商(佐賀)    2 = 101000000

 1回裏、唐津商は先頭の1番・佐藤大気(3年)が四球で出塁した。2番・松本晃(2年)の内野ゴロでセカンドがフォースアウトとなり、併殺崩れで1死一塁となるも、3番・原田拡(3年)がタイムリー三塁打を放ち、唐津商が1点を先制した。3回裏、唐津商は2死二塁から再び原田がタイムリーを放ち、1点を追加。リードを2点に広げ、試合の流れを引き寄せた。

 一方、作新学院は唐津商エースの大谷樹弘(2年)を攻略することができず、3回まで1安打に封じられた。しかし、中盤に入ると、その大谷をとらえ始める。4回表、1死から4番・飯野がレフト線を破り、二塁打を放った。5番・山下が空振り三振に倒れるも、振り逃げを狙う山下をアウトにしようと、ボールが一塁へ送球される間に飯野が三塁へ。さらに6番・内藤諒太(3年)が四球となった最後のボールを捕手が後逸すると、飯野はすかさずホームへ。主砲の好走塁で作新学院が1点を返した。

 5回表、1死二塁から1番・石井一成(2年)がレフトオーバーの二塁打を放つと、中継が乱れている間に二塁ランナーが一気にホームへ返り、1点を追加。なおも1死三塁から2番・板崎直人(3年)が粘った末の6球目、外角低めに沈む変化球に食らいついた。打球は遊撃手のグラブをかすめながら、二遊間を抜けていった。この間に石井が生還し、作新学院が逆転する。

 その後は手に汗握る投手戦が展開され、ゼロ行進が続いた。試合はそのまま最終回へ。1点を追う唐津商は9回裏、先頭の6番・八島裕城(3年)が自身初のヒットを放ち、反撃ののろしを上げた。しかし、後続が続かなかった。7番・佐々木健は空振り三振に気ってとられると、ここでマウンドに上がった作新学院の2番手・飯野に8番・伊藤啓泰(3年)がライトフライ、最後は代打・峯健太郎(3年)が内野ゴロに倒れ、追いつくことができなかった。
 
 2戦連続で延長戦制し、初の16強
如水館(広島)       7 = 0010003003
東大阪大柏原(大阪)   4 = 0100102000 (延長10回)

 今大会最多の入場者数となった超満員の甲子園。その最後の試合は延長戦にもつれこむ激しい攻防戦が繰り広げられた。先制したのは東大阪大柏原。2回裏、無死一、三塁から7番・松浪遼(3年)がライトポール際に大飛球を放ち、東大阪大柏原が1点を先制した。なおも無死二、三塁。ここで如水館は早くも先発の坂本光士郎(2年)を下げ、エースの浜田大貴(3年)をマウンドに上げる。その浜田は3者連続三振を奪う最高のピッチングでピンチを凌いだ。そのエースの力投に打線も応える。3回表、1死二塁から3番・金尾元樹(3年)がお返しとばかりに高め直球を右中間へ飛ばし、三塁打に。一塁ランナーが同点のホームを踏み、試合を振り出しに戻した。5回裏、東大阪大柏原は2死三塁から3番・花本太紀(3年)がタイムリー二塁打を放ち、1点を勝ち越した。投げてはエースの福山純平(2年)が4回以降は如水館打線を無安打に抑える好投を披露した。

 しかし7回表、2死ながら満塁の場面、東大阪大柏原の守備に痛恨のミスが出る。6番・木村昴平(2年)のボテボテのゴロを二塁手がエラー。ランナー2人が返り、如水館が1点を勝ち越した。さらに7番・安原翔平(3年)にもタイムリーが出て、リードを2点に広げた。ここで東大阪大柏原は福山から2番手・白根一樹(3年)にスイッチした。白根は8番・佐藤直哉(2年)を落差のあるカーブで空振り三振に切ってとり、追加点を許さなかった。

 その裏、すかさず東大阪大柏原が反撃する。1死二一、三塁とすると、5番・石川慎吾(3年)。石川の打球は三塁線を転がり、三塁手がすばやく一塁へ送球した。しかし、打者走者の石川と交錯した一塁手がボールを後逸してしまう。その間に三塁ランナー泉が生還する。さらに一塁手がボールを返球せずにいると、一塁ランナー末武が同点のホームを踏んだ。冷静な判断による好走塁で、再び振り出しに戻した。

 4−4のまま試合は延長へと突入した。初戦に続いての延長戦となった如水館は、10回表、先頭の1番・門田が投手への強襲ヒットで出塁すると、2番・樋口の内野ゴロの間に二進した。3番・金尾が相手エラーで出塁すると、打席には1年生の4番・島崎。島崎は粘った末の6球目、外角低めに落ちるカーブをうまくとらえ、センターへ弾き返した。二塁ランナー門田が俊足を飛ばして一気にホームへ。如水館が貴重な勝ち越し点を挙げた。さらに、5番・宇田がヒットで続く。ここで東大阪大柏原は3番手・花本をマウンドに上げた。その花本から6番・木村がダメ押しとなる2点タイムリーを放ち、如水館が3点をリードした。
 そしてその裏、東大阪大柏原は粘りを見せた。2死無走者から代打・園田祐大(2年)が内野安打で出塁すると、途中出場の泉がセンター前に落ちるテキサスヒットで続き、2死一、三塁とした。しかし、反撃もここまでだった。最後は末武がレフトフライに倒れ、熱戦にピリオドが打たれた。2試合連続で延長戦を制した如水館は初の3回戦進出を決めた。