缶コーヒーブランド「ジョージア」は、2011シーズンもプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結し、“選べ、チームのためのベストプレー”をコンセプトに「ジョージア魂」賞の表彰を実施しています。このたび第7回の「ジョージア魂」賞が決定しました。今回は巨人・阿部慎之助捕手が7月20日(対中日戦)にみせた執念のサヨナラヒットへ賞が贈られます。

(写真:巨人歴代5位となる通算10本目のサヨナラ打!)
 今回の「ジョージア魂」賞は、7月8日から7月28日にかけて行われた公式戦から山田久志氏(元阪急)、高木豊氏(元大洋)、伊東勤氏(元西武)、栗山英樹氏(元ヤクルト)、柳本元晴氏(ベースボール・マガジン社)、二宮清純(当HP編集長)の6名の選考委員によってノミネート6プレーが選出され、「ジョージア ベースボールパーク」のサイト上のファン投票によって決定しました。阿部捕手のプレーには、総投票数82,371票中、最多の18,585票が集まりました。

 また「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、二宮清純の書き下ろしコラム「あのプレーにアンコール!」のコーナーが更新されました。受賞プレーはもちろん、ノミネート6プレーの中から二宮がイチオシしたものに関して、それぞれコラムを掲載します。当サイトでは、その中から二宮が推薦した東北楽天・塩見貴洋投手(7月16日、今季新人初の無四球完投)のコラムを特別に掲載します。

 東北楽天・塩見貴洋「輝き始めた“金”の素質」

 少なくとも、今年1年だけの損得勘定では「ハズレでよかった」となるのではないか。東北楽天のドラフト1位ルーキー左腕・塩見貴洋のことである。
(写真:21日の福岡ソフトバンク戦で5勝目をあげ、現在新人ではリーグトップの勝ち星)

 周知のように昨オフのドラフト会議で楽天は“早大三羽ガラス”のひとり、大石達也を1位指名した。大石には6球団が競合し、抽選の結果、当たりクジを引き当てたのは埼玉西武だった。そこで“ハズレ1位”として指名したのが、これから紹介する塩見である。

 ここまで塩見は5勝7敗と黒星が先行しているものの、防御率は2.76。新人では斎藤佑樹(北海道日本ハム)、牧田和久(西武)を上回り、目下トップだ。

 先発投手を評価するひとつの基準としてクオリティ・スタート(QS)がある。6回を自責点3以内に抑えた場合に記録され、先発の安定度をはかる数字としてメジャーリーグでは重要視されている。その回数を全先発登板数で割ったQS率を計算すると、塩見は56.3%。チームでは田中将大、岩隈久志に次ぐ数字だ。岩隈や永井怜といった先発陣が故障で戦線を離脱したなか、このルーキー左腕がいなければ、楽天はもっと苦戦を余儀なくされていただろう。

 182センチ、77キロと細身の体ながら、投げるボールには力感がある。最速147キロのストレートで右打者の懐を突けば、フォークボール、スライダーで相手を翻弄する。7月16日のオリックス戦では、そのフォークが冴えに冴えた。プロ入り初の2ケタとなる10奪三振。無四球でプロ初完投勝利も収めた。
「いい腕の振りをしていたし、フォークが決まっていた」
 いつもは厳しい表情の星野仙一監督も、新人の好投に満足そうだった。

 ドラフト1位ではあるが、メインストリートを歩んできたわけではない。野球どころ大阪の出身ながら、高校は愛媛・帝京第五高、大学は青森の八戸大といわゆる名門ではなかった。大学1年時には原因不明の腰痛を発症し、全く投げられない日が続いた。
「もう野球を辞めます」
 当時、八戸大の監督を務めていた藤木豊は、塩見からそう告げられたことを覚えている。

「でも、素質は“金”でしたからね。高校時代に初めて見た時からしなやかなフォームに魅力を感じていました。銅はいくら磨いても金にはならない。彼がこのまま野球を辞めてしまっては、本人にも申し訳ないし、野球界にとってもマイナスになる。徹底的に腰を診てもらって、とにかく4年間続けることが大事だと本人を説得しました」
 
 腰痛の原因は疲労骨折。トレーナーの指導の下、腰に負担がかからないよう腹筋を鍛えた。それが功を奏し、“金”の素質は見事に光を放った。4年春のリーグ戦では7試合に登板して、自責点は0。秋には明治神宮大会の東北地区代表決定戦で東北福祉大相手にノーヒットノーランを達成した。

「八戸大からは川島亮(東京ヤクルト)や青山浩二(楽天)といったピッチャーがプロに行きましたが、塩見は川島と青山を足して2をかけたくらいの力を持っています。川島のように指先の感覚が細かくてピンポイントで投げ分けられるし、青山のようにフォームもきれい。ただでさえ左投げというアドバンテージがあるのですから、ケガをせずに一流のピッチャーに成長してほしい」
 藤木は教え子に大きな期待を寄せている。この先、どこまで成長するのか楽しみな逸材である。

「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、受賞した阿部選手についても二宮清純の書き下ろしコラムを掲載中!
 現在、第8回「ジョージア魂」賞ファン投票も合わせて実施中です。福岡ソフトバンク・小久保裕樹内野手、横浜・ターメル・スレッジ外野手、東北楽天・内村賢介内野手、北海道日本ハム・谷元圭介投手、阪神・小嶋達也投手、巨人・高橋由伸外野手の6プレーがノミネートされています。ぜひ投票に参加してみてください。

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