11日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦が札幌ドームで行われ、北海道日本ハムが千葉ロッテを4-2で下した。試合は1回表にロッテが福浦和也の適時打で先制。日本ハムは5回裏に追いついたものの、6回表に勝ち越しを許した。継投策で逃げ切ろうとするロッテに対し、日本ハムは8回裏に集中打を浴びせた。ブランドン・レアード、矢野謙次の連続タイムリーで逆転に成功。9回はクローザーの増井浩俊がランナーを許したが、ゼロで抑えて試合を締めた。日本ハムは通算成績1勝1敗とし、12日の第3戦に引き分け以上で、ファイナルステージへ進出する。

 

◇ファーストステージ第2戦

 レアード、攻守でハッスルプレー(1勝1敗、札幌ドーム)

千葉ロッテ     2 = 100001000

北海道日本ハム   4 = 00001003×

勝利投手 有原(1勝0敗)

敗戦投手 大谷(0勝1敗)

セーブ  増井(1セーブ)

 

 “下剋上”は許さないと、意地を見せた。初戦を落としたレギュラーシーズン2位の日本ハムが、勢いに乗るロッテから、逆転勝ちを収めた。

 

 日本ハムの栗山英樹監督は、先発にルイス・メンドーサを起用した。今季2ケタ勝利を挙げた来日2年目のメキシカンにマウンドを託す。しかし1回裏、1死一、二塁のピンチを招くと5番の福浦にセンター前に弾き返された。CSの戦いをよく知るベテランに、いきなり出鼻をくじかれた。

 

 一方、ロッテは先発にチェン・グァンユウを送り込んできた。テスト入団の台湾出身左腕は、対日本ハムで3戦2勝、防御率0.59の相性を買われての登板だろう。チェンはランナーを許しながらも、日本ハム打線をゼロに抑えていった。

 

 試合が再び動いたのは、5回裏だ。日本ハムは杉谷拳士がヒットと盗塁でチャンスをつくる。2死二塁で、中島卓也がチェンの変化球にうまくバットを合わせた。ライト前へ運ぶと、杉谷がホームへと還ってきた。今シーズン盗塁王が足ではなく、バットで魅せた。

 

 同点に追いついた日本ハムだったが、直後の6回表に勝ち越しを許してしまう。2番手・谷元圭介が福浦、今江敏晃に連打を浴び、鈴木大地を歩かせた。1死満塁から中村奨吾には三遊間に痛烈な当たりをお見舞いされる。ここでサードのレアードが横っ飛びで打球を好捕した。二塁へ転送し、フォースアウト。打者走者の中村はセーフとなり、この間に三塁ランナーの福浦がホームを踏んだ。レアードは宙を見上げて悔しがったものの、傷口を最小限に抑えた好プレーだった。

 

 ロッテは前日に続き、6回から継投策を講じる。益田直也、松永昴大とセットアッパーが6、7回とゼロに抑えた。対する日本ハムは6回から新人の有原航平をマウンドに送る。昨年のドラフト会議で栗山監督に「何年かにひとりのピッチャー。本当に欲しかった」と言わしめたドラフト1位ルーキーである。シーズン中は先発を任されていたが、「1球目から全力で投げられるよう準備した」と活きのいいピッチングで7回を三者凡退に切って取った。

 

 ルーキーの好投にバックも応える。8回表、2死一塁の場面で鈴木の打球は左中間に抜けそうな当たりとなった。ここで途中からレフトに入っていた矢野が、ランニングキャッチ。「最後まで諦めないで追いかけた結果」と自賛するプレーでロッテの追加点を防いだ。

 

 矢野の「諦めない」姿勢が、日本ハム打線に火を付ける。ロッテの4番手・大谷智久にから、四球とヒットで1死一、三塁のチャンスをつくった。打席にはレアードが向かう。チーム最多の34本塁打を記録したパワーヒッターは、逆転を信じる日本ハムファンの声援に応えた。「あのままでは終われない。次につなごうと思って振り抜いた」。レアードは大谷の高めの真っすぐを強振すると、打球はセンター荻野貴司の頭上を越えた。フェンス直撃のツーベース。レアードは塁上で、今シーズンお馴染みとなった寿司を握るポーズでベンチに向かって喜びを表現した。

 

 日本ハム押せ押せムードの中、なおも二、三塁の大チャンス。続くバッターはファインプレーでチームを勢い付けた矢野だ。持ち前の積極的なバッティングを、この場面でも披露した。初球、大谷が投じた外角の変化球を振り抜いた。体勢は崩されたが、バットを強振した分だけ、打球は飛んだ。センター前へにポトリと落ち、2者が還った。日本ハムが集中打で3点を奪い、土壇場で逆転に成功した。

 

 2点のリードで迎えた9回は守護神の増井がマウンドに上がる。今シーズン球団最多タイとなる39セーブを挙げた右腕は、力のあるボールを次々に投げ込んだ。相手の出塁こそ許したが、3アウト全部を三振で奪ってみせて、試合を終わらせた。これで日本ハムは勝敗をタイに戻した。第3戦の先発は今シーズン11勝を挙げた吉川光夫が、最多勝の涌井秀章に挑む。

 

(文/杉浦泰介)