清水、涙のベルト奪取 亀田興は辛くも防衛 〜ボクシングW世界戦〜

まさに3度目の正直だった。リング上で「新チャンピオン」と勝ち名乗りを受けると、両手をあげて声にならない声をあげた。
「1R1R、集中してやった。やっと念願のベルトを巻けた。まだ実感が沸かないです」
念願のベルトを触りながら、清水は控えめに喜びを語った。
序盤から左ジャブと右ストレートのコンビネーションでリズムを作った。
「相手はパンチが重かったが、スピードがなかった。チャンスだと思った」
だが中盤、4度の防衛を果たしたカサレスがかさにかかって攻めてくる。ガードを下げ、グルグルと腕を回しながら左右のの拳を振るった。
「ノーガードで合わされてとまどった。ペースを渡さないようにしようと思った」
王者が主導権を握り始めた8R、ここが勝負の分かれ目だった。カサレスがボディからアッパーとラッシュをしかけ、決めにくる。しかし、清水はひるまなかった。ボディで応戦し、逆にラウンド後半はロープ際に追い詰めた。
「今までならズルズルいっていた。打たれたけど、ペースを崩さなかった」
このラウンドを境にカサレスの手数は少なくなり、足を使って逃げる場面も増えていった。清水は最後までパンチを繰り出し、ベルトをつかんだ。

「努力は必ず報われると分かった」
所属する金子ジムにとっても初の世界王者だ。あの悔し涙は、この日、うれし涙に変わった。