ボクシングのWBAダブル世界タイトルマッチが31日、日本武道館で行われ、スーパーフライ級では挑戦者で同級7位の清水智信(金子)が王者のウーゴ・カサレス(メキシコ)を2−1の判定で下し、新王者となった。清水は3度目の世界挑戦で念願の王座獲得。5度目の防衛を目指した相手にひるむことなく打ち合い、接戦を制した。またバンタム級では王者の亀田興毅(亀田)が、挑戦者で同級8位のダビド・デラモラ(メキシコ)を3−0の判定で下し、2度目の防衛に成功した。亀田は無敗の挑戦者相手に序盤から目の上をカットする苦しい展開。3Rにダウンを奪ったものの、守勢に回る場面も多く、僅差での勝利だった。
 まさに3度目の正直だった。リング上で「新チャンピオン」と勝ち名乗りを受けると、両手をあげて声にならない声をあげた。
「1R1R、集中してやった。やっと念願のベルトを巻けた。まだ実感が沸かないです」
 念願のベルトを触りながら、清水は控えめに喜びを語った。

 序盤から左ジャブと右ストレートのコンビネーションでリズムを作った。
「相手はパンチが重かったが、スピードがなかった。チャンスだと思った」
 だが中盤、4度の防衛を果たしたカサレスがかさにかかって攻めてくる。ガードを下げ、グルグルと腕を回しながら左右のの拳を振るった。
「ノーガードで合わされてとまどった。ペースを渡さないようにしようと思った」

 王者が主導権を握り始めた8R、ここが勝負の分かれ目だった。カサレスがボディからアッパーとラッシュをしかけ、決めにくる。しかし、清水はひるまなかった。ボディで応戦し、逆にラウンド後半はロープ際に追い詰めた。
「今までならズルズルいっていた。打たれたけど、ペースを崩さなかった」
 このラウンドを境にカサレスの手数は少なくなり、足を使って逃げる場面も増えていった。清水は最後までパンチを繰り出し、ベルトをつかんだ。

 3年前、内藤大助が持っていたWBC世界フライ級のベルトに挑戦した際には中盤まで優勢に試合を進めながら、10Rに逆転のKO負けを喫した。その悔しさを胸に、持ち前のスピードだけでなく接近戦も練習を重ねてきた。
「努力は必ず報われると分かった」
 所属する金子ジムにとっても初の世界王者だ。あの悔し涙は、この日、うれし涙に変わった。