近年、日本は「ケイリン」発祥の国でありながら、自転車競技で後れをとり、競輪の人気も下火となっている。その現状を打破しようと、今年5月、日本自転車競技連盟(JCF)の自転車日本代表総監督に松本整氏が就任した。その松本氏に二宮清純がロングインタビュー。同氏が今、最も注目している女子競輪について訊いた。
二宮: “なでしこジャパン”のW杯優勝に伴って、日本では女子スポーツがより注目されるようになっています。来年7月には、48年ぶりに女子競輪がスタートしますね。
松本: 正直、女子のレベルはまだ素人のようなもので、オリンピックの枠も取れていない状態です。しかし、十分に“伸びしろ”はありますね。選手自身、練習も真剣そのものですよ。

二宮: ナショナルチームの合宿は相当、厳しいそうですね。
松本: はい、もう過呼吸になって倒れるぐらい。でも、みんな頑張るんですよ。合宿初日なんか、「オマエら、それでも自転車選手か?」と言いたくなるような選手が何人もいたりするのですが、わずか5日の合宿でみるみるうちに上達していくんです。最終日にはすごくいい動きをしているんですからね。

二宮: それだけ成長が早いと、今後が楽しみですね。
松本: 要するに素人が多いということですよね。ただ、だからこそ、僕は彼女らにはチャンスがあるんじゃないかと思っているんです。

二宮: 世界では女子はどこが強いんですか?
松本: やっぱりヨーロッパですね。ただ、中国や韓国も強いですから、日本だけが弱いという感じになっているんです。というのも、これまではナショナルチームとしてきちんとした訓練を行ってこなかったんです。国内で強い選手を大会に派遣するだけにとどまっていた。それでは強化になりませんからね。

二宮: 今までなかった強化システムをつくりあげていると?
松本: はい。ただ、まだ7月からスタートしたばかりですからね。11月からワールドカップが開幕するのですが、ちょっと4カ月では厳しいですよね。

二宮: 今は結果が出なくても、長い目で見たいですね。
松本: そうですね。2016年のリオ五輪につながるシステムを構築していきたいなと考えています。うまくいけば、リオでは、日本女子がメダルを量産するかもしれません。

二宮: 男子よりもメダルの可能性が出てくると。
松本: はい。他の競技もそうですが、やはり男子よりも女子の方が世界の層が薄いんです。ですから、今からしっかりと訓練をしていけば、リオ五輪がチャンスになると思っています。

二宮: “なでしこジャパン”のように、愛称をつけてはいかがですか?
松本: いいですね。それじゃ、二宮さんに考えてもらいましょうか(笑)。

二宮: いえいえ(笑)。でも、他の競技を見ても男子よりも女子の方がメダルに近い。
松本: そうなんです。メダルは難しいと思いますが、来年のロンドンでも2枠くらいは取って、リオへの足掛かりにしたいですね。

<現在発売中の『第三文明』2011年11月号では、さらに詳しいインタビューが掲載されています。こちらもぜひご覧ください>