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(写真:同学年対決を制し、2年連続の決勝に進んだ桃田)

 5日、第69回全日本総合バドミントン選手権の各種目準決勝が行われた。男子シングルスは桃田賢斗(NTT東日本)が西本拳太(中央大)を、佐々木翔(トナミ運輸)が古賀輝(早稲田大)を下した。同決勝は2年連続同一カードとなった。女子ダブルスはBWF世界ランキング1位の高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)が2年ぶりに決勝進出。松友は早川賢一(日本ユニシス)との混合ダブルスでも決勝に残っており、同種目での3連覇がかかる。一方の早川は遠藤大由(日本ユニシス)と組んで3連覇中の男子ダブルスでは、園田啓悟&嘉村健士組(トナミ運輸)に敗れ、3年連続の2冠を逃した。女子シングルスは4年ぶりの優勝を目指す奥原希望(日本ユニシス)と、前年の優勝者・山口茜(勝山高)を破った佐藤冴香(ヨネックス)が決勝へとコマを進めた。

 

 名実ともに日本のエースへ

 

「この大会で優勝してこそ日本のエース」。桃田は全日本総合のタイトルに執念を燃やす。小中高とすべての全国大会を制してきた彼にとって唯一届いていないのが、日本一を決める舞台での頂点だ。

 

 準決勝の相手は同い年の西本。全日本学生選手権(インカレ)で3連覇を果たしており、ナショナルチームにも入っている強敵だ。1ゲーム目は会場の代々木第二体育館独特の風に「判断が鈍ってスキを与えた」と悩まされ、苦戦した。14-10とリードしながら、6連続得点を取られ、逆転を許す。何度か追いつき、粘りを見せたが19-21で第1ゲームを落とした。

 

 それでも「冷静に攻めてくる相手に対処できた」と振り返ったように桃田は焦らない。2ゲーム目はチャンスが来るまでしぶとく待ち、機を見てスピードアップするプランで進めた。第2ゲームは得意のネットプレー、ネットプレーからのスマッシュも決まり、主導権を握った。21-9と危なげなくゲームを奪い返す。

 

 ファイナルゲームでも力の差を見せつけた。相手にペースを与えることなく、着々と得点を積み上げる。21-12で振り切り、全日本総合初優勝へ王手をかけた。

 

 シニアの舞台で海外転戦を3年経験し、今シーズンは飛躍の年だった。シンガポールオープン、インドネシアオープンとスーパーシリーズ(SS)で2勝を挙げ、世界選手権では銅メダルを獲得した。「昨年までだと2ゲーム目もガツガツいって、勝てるかどうかというところでした。今年は冷静に臨めたのが大きい」。引き出し、試合運びの巧さも身についてきた。

 

 これで2年連続決勝進出。この1年だけでも多くの経験を得てきた21歳にとっては、「あとひとつと思えば思うほど、苦しかった」という昨年とは状況や心境も違うはずだ。「昨年は初の決勝で、いっただけで充実感、満足感があった。今年は準決勝が終わった瞬間から明日のことを考えた」。当然、表彰台の頂点に立つことしか頭にない。

 

 決勝の対戦相手も昨年と同じ佐々木となった。1年前は「翔さんの経験からくる落ち着きと、気迫に負けてしまった。1本の重みを先輩から教えられたのかなと思います」と唇を噛んだ。ストレート負けと苦汁を舐めさせられた佐々木へのリベンジを果たせば、名実ともに日本のエースの証明になる。