27日、都内のホテルでNPB(日本プロ野球機構)の「新人選択会議」(ドラフト)が行なわれた。今年の最大の注目は菅野智之(東海大)、藤岡貴裕(東洋大)、野村祐輔(明治大)の“大学ビッグ3”。菅野は2球団の競合の末に北海道日本ハム、3球団が指名した藤岡は千葉ロッテ、野村は広島が単独指名し、それぞれ交渉権を獲得した。
(写真:日本ハムが交渉権を獲得した菅野。今後、交渉の行く末が注目される)
 1位指名の選手が次々と呼びあげられる中、最も会場を沸かせたのが北海道日本ハムだ。原辰徳監督の甥ということもあり、菅野は一昨年の長野久義、昨年の沢村拓一に続いて巨人の単独指名が予想されていた。ところが、それに待ったをかけたのが日本ハムだった。クジの結果、拳を挙げて満面の笑みを浮かべたのは、巨人・清武英利球団代表兼GMではなく、日本ハム・津田敏一球団代表だった。

 そして6球団とも7球団とも言われていた藤岡貴裕には、東北楽天、横浜、千葉ロッテの3球団が指名し、千葉ロッテ・西村徳文が見事、“当たりクジ”を引いた。一方、野村祐輔は大方の予想通り、広島が単独指名。岡山県生まれ、広島・広陵高出身の野村とは相思相愛と言われており、球団再建にも大きな期待が寄せられている。また、高校通算71本塁打、今年8月のアジアAAA野球選手権ではMVPを獲得した注目の高校生スラッガー、高橋周平(東海大甲府高)には中日、東京ヤクルト、オリックスが指名し、中日が交渉権を獲得した。

 広島のほか、“一本釣り”に成功したのは、福岡ソフトバンク、埼玉西武、阪神の3球団だ。ソフトバンクは187センチの長身から最速151キロの直球が武器の右腕・武田翔太(宮崎日大高)、西武は即戦力として期待されるサイドスローの右腕・十亀剣(JR東日本)、高橋への1位指名の可能性もささやかれていた阪神は当初の予定通り、大学NO.1スラッガー伊藤隼太(慶応大)を指名した。

 清武球団代表がいち早く東海大学に指名の挨拶に行くなど、菅野の単独指名を狙ってきた巨人は、予想外の展開にやや沈んだ様子を見せたものの、外れ1位に193センチの長身サウスポー松本竜也(英明高)を指名。横浜と競合したが、今度は見事に交渉権を獲得し、インタビューでは原辰徳監督も「将来が楽しみな選手」と笑顔を見せた。藤岡を外した楽天は変化球のキレと制球力が抜群の武藤好貴(JR北海道)を指名した。また、藤岡に続いて松本を外した横浜は、3度目の正直で150キロ台の直球が武器の右腕・北方悠誠(唐津商)の交渉権を獲得した。

 高橋の交渉権を獲得することのできなかったヤクルトは、外れ1位に今夏の甲子園で準優勝に大きく貢献した川上竜平(光星学院)、オリックスは走攻守三拍子そろった安達了一(東芝)を指名した。

 各球団の指名選手は次の通り。

<交渉権獲得決定選手>

千葉ロッテ
【1位】
 藤岡貴裕(東洋大・投手)
【2位】
 中後悠平(近畿大・投手)
【3位】
 鈴木大地(東洋大・内野手)
【4位】
 益田直也(関西国際大・投手)

横浜
【1位】
 北方悠誠(唐津商高・投手)※藤岡、松本の外れ指名
【2位】
 高城俊人(九州国際大付高・捕手)
【3位】
 渡辺雄貴(関西高・内野手)
【4位】
 桑原将志(福知山成美高・内野手)
【5位】
 乙坂智(横浜高・外野手)
【6位】
 佐村トラヴィス幹久(浦添商高・投手)
【7位】
 松井飛雄馬(三菱重工広島・内野手)
【8位】
 古村徹(茅ヶ崎西浜高・投手)
【9位】
 伊藤拓郎(帝京高・投手)
【育成1位】
 冨田康祐(四国IL香川・投手)
【育成2位】
 西森将司(四国IL香川・捕手)

東北楽天
【1位】
 武藤好貴(JR北海道・投手)※藤岡の外れ指名
【2位】
 釜田佳直(金沢高・投手)
【3位】
 三好匠(九州国際大付・投手)
【4位】
 岡島豪郎(白鴎大・捕手)
【5位】
 北川倫太郎(明徳義塾高・外野手)
【6位】
 島内宏明(明治大・外野手)
【育成1位】
 神保貴宏(トランシス・外野手)

広島
【1位】
 野村祐輔(明治大・投手)
【2位】
 菊池涼介(中京学院大・内野手)
【3位】
 戸田隆矢(樟南高・投手)
【4位】
 土生翔平(早稲田大・外野手)
【育成1位】
 富永一(四国IL徳島・投手)
【育成2位】
 中村真崇(四国IL香川・外野手)
【育成3位】
 塚田晃平(早稲田大・投手)
【育成4位】
 三家和真(市和歌山高・外野手)

オリックス
【1位】
 安達了一(東芝・内野手)※高橋の外れ指名
【2位】
 縞田拓弥(JR東日本・内野手)
【3位】
 佐藤達也(ホンダ・投手)
【4位】
 海田智行(日本生命・投手)
【5位】
 庄司龍二(ジェイプロジェクト・捕手)
【6位】
 堤裕貴(龍谷高・内野手)
【7位】
 小島脩平(住友金属鹿島・内野手)
【8位】
 川端崇義(JR東日本・外野手)
【育成1位】
 稲倉大輝(国府高・外野手)
【育成2位】
 柿原翔樹(鎮西高・内野手)

阪神
【1位】
 伊藤隼太(慶応大・外野手)
【2位】
 歳内宏明(聖光学院高・投手)
【3位】
 西田直斗(大阪桐蔭高・内野手)
【4位】
 伊藤和雄(東京国際大・投手)
【5位】
 松田遼馬(波佐見高・投手)
【育成1位】
 広神聖哉(BC群馬・捕手)

埼玉西武
【1位】
 十亀剣(JR東日本・投手)
【2位】
 小石博孝(NTT東日本・投手)
【3位】
 駒月仁人(塔南高・捕手)
【4位】
 永江恭平(海星高・内野手)
【5位】
 田代将太郎(八戸大・外野手)
【育成1位】
 藤澤亨明(松本大・捕手)

巨人
【1位】
 松本竜也(英明高・投手)※菅野の外れ指名
【2位】
 今村信貴(太成学院大高・投手)
【3位】
 一岡竜司(沖データコンピュータ教育学院・投手)
【4位】
 高木京介(国学院大・投手)
【5位】
 高橋洸(日本文理高・内野手)
【6位】
 江柄子裕樹(東芝・投手)
【7位】
 田原誠次(三菱自動車倉敷オーシャンズ・投手)
【育成1位】
 森和樹(市柏高・投手)
【育成2位】
 土田瑞樹(四国IL愛媛・投手)
【育成3位】
 柴田章吾(明治大・投手)
【育成4位】
 芳川庸(洛北高・捕手)
【育成5位】
 雨宮敬(BC新潟・投手)
【育成6位】
 渡辺貴洋(BC新潟・投手)

北海道日本ハム
【1位】
 菅野智之(東海大・投手)
【2位】
 松本剛(帝京高・内野手)
【3位】
 石川慎吾(東大阪大柏原高・外野手)
【4位】
 近藤健介(横浜高・捕手)
【5位】
 森内寿春(JR東日本東北・投手)
【6位】
 上沢直之(専大松戸山高・投手)
【7位】
 大嶋匠(早稲田大ソフトボール部・捕手)

東京ヤクルト
【1位】
 川上竜平(光星学院高・外野手)※高橋の外れ指名
【2位】
 木谷良平(日本文理大・投手)
【3位】
 比屋根渉(日本製紙石巻・外野手)
【4位】
 太田裕哉(日本製紙石巻・投手)
【5位】
 中根佑二(東北福祉大・投手)
【6位】
 古野正人(三菱重工神戸・投手)
【育成1位】
 徳山武陽(立命館大・投手)
【育成2位】
 金伏ウーゴ(白鴎大・投手)

福岡ソフトバンク
【1位】
 武田翔太(宮崎日大高・投手)
【2位】
 吉本祥二(足立学園高・投手)
【3位】
 塚田正義(白鴎大・内野手)
【4位】
 白根尚貴(開星高・投手)
【5位】
 嘉弥真新也(JX−ENEOS・投手)
【育成1位】
 釜元豪(西陵高・外野手)
【育成2位】
 亀沢恭平(四国IL香川・内野手)
【育成3位】
 三浦翔太(岩手大・投手)
【育成4位】
 清水貴之(BC群馬・投手)
【育成5位】
 新崎慎弥(日本文理大・内野手)
【育成6位】
 笹沼明広(オール足利クラブ・捕手)
【育成7位】
 飯田一弥(四国IL高知・捕手)

中日
【1位】
 高橋周平(東海大甲府高・内野手)
【2位】
 西川健太郎(星稜高・投手)
【3位】
 田島慎二(東海学院大・投手)
【4位】
 辻孟彦(日体大・投手)
【5位】
 川崎貴弘(津東高・投手)
【6位】
 宋相勲(韓国信一高・投手)