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(写真:優勝が決まった瞬間、大喜びする日本ユニシス男子チームのベンチ)

 14日、バドミントン日本リーグ2015の最終戦が東京・代々木第二体育館で行われた。男子は昨年度4位の日本ユニシスが、同7位の金沢学院クラブを3対0で下し、7戦全勝での優勝を果たした。日本ユニシスは2年ぶり6度目の制覇。女子は昨年度2位の日本ユニシスが、昨年度優勝のNTT東日本を2対1で破った。日本ユニシスは7戦全勝で2年ぶり4度目の優勝。大会最高殊勲選手賞(MVP)には、男子が早川賢一&遠藤大由組、女子が高橋礼華&松友美佐紀組といずれも日本ユニシスの第1ダブルスが選ばれた。

 

 男子8人、女子6人の計14人をナショナルチームに輩出する日本ユニシスが2年ぶり3度目のアベック優勝を成し遂げた。

 

 優勝が決まる最終戦、男子は金沢学院クラブと対戦した。日本ユニシスの第1ダブルスを任されたのは、日本のトップダブルスだ。国際バドミントン連盟(BWF)世界ランキング6位の早川&遠藤ペアが伊東克範&小林晃組を圧倒した。

 

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(写真:早川<左>が前衛で速い展開で崩し、後衛の遠藤が強打で決める)

 第1ゲーム序盤こそリードを許したものの、5-5から4連続ポイントで突き放す。その後も効果的に得点を重ね21-11で、1ゲームを先取した。第2ゲームもいきなり3点差をつけられたが、慌てなかった。前衛で早川がリズムをつくりながら、遠藤が強打を繰り出す。得意の型で8-7と逆転すると、その後は一度もリードを許さなかった。20-14とマッチポイントを奪うと、最後は早川がスマッシュを叩き込み、勝負を決めた。

 

 第1ダブルスで1勝を手にした日本ユニシスは、シングルスで坂井一将を起用。ここまで6戦中5戦に出場も3勝2敗と、本人も満足のいく結果ではない。「ダブルス勢に迷惑かけた」。古巣でもある金沢学院クラブの星野健太朗を寄せ付けなかった。179センチの長身から繰り出す強打で相手を押し切る。21-15、21-12のストレート勝ちで優勝を決定させた。第2ダブルスの金子祐樹&井上拓斗組もストレート勝ちで3対0。7戦全勝でリーグを締めくくった。

 

 昨年度4位と屈辱のシーズンを終えた男子は、リベンジに燃えていた。7戦全てで第1ダブルスを任された早川&遠藤組は特にその想いが強かった。早川が「第1ダブルスを想定していた。勝つための練習していた」と語れば、遠藤は「今年は絶対勝つと決めていた。準備ができたから勝てた」と振り返る。坂本修一監督によれば、練習からその姿勢は表れており、チームに好影響を与えたという。

 

 坂本監督はキーポイントに昨シーズンは敗れた上位3チームの対戦を挙げた。12月27日の第3戦トリッキーパンダーズには3対0、1月23日の第4戦NTT東日本には2対1、今月7日の第6戦トナミ運輸には2対1と雪辱を果たす。「早川、遠藤が7戦で責任を果たし、若い選手にも勢いが出た。総合力で勝てた」と坂本監督。全7戦で先手を取ることに貢献した早川&遠藤ペアは2年ぶり3度目(早川は数野健太とのペアを合わせると4度目)のMVPに輝いた。

 

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(写真:松友<左>が巧みな配球で相手を揺さぶり、高橋が仕留めるのが得意のパターン)

 女子もエースダブルスが躍動した。BWF世界ランキングで日本人初の1位に就いたこともある高橋&松友の“タカマツ”ペア。現在は3位だが、リオデジャネイロ五輪でもメダル候補である。

 

 NTT東日本との新玉美郷&渡邉あかね組との試合でも実力を余すことなく発揮した。1-4のビハインドから5連続ポイントで逆転。リードを広げた中盤以降は、10-6から11連続ポイントで第1ゲームをモノにした。第2ゲームは多少競ったが、松友がシャトルを散らして相手を揺さぶる。高橋もスマッシュだけでなく、広角にショットを放ち、コートを広く使った。第2ゲームは21-16で、ストレートでまずチームに1勝をもたらした。

 

 2番手のシングルスは奥原希望。BWF世界ランキング8位で日本人トップに立つ20歳だ。昨年の12月にはBWFスーパーシリーズファイナルズを制覇した。日本女子シングルスのエースで勝利を収め、優勝を決めたいところだったが、1歳下の大堀彩が立ち塞がった。ジュニアの頃から凌ぎを削ってきたレフティーを相手に終始劣勢の展開を強いられた。広角に打ち分ける奥原のショットはことごとくアウト。9-21、15-21とストレート負けを喫した。

 

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(写真:接戦を制しての優勝。歓喜の輪が出来上がった)

 1勝1敗のタイで迎えた第2ダブルスは栗原文音&篠谷菜留組に託された。篠谷は新人の東野有紗と組むことが多かったが、この大一番にはキャプテンを起用した。とはいえ栗原&篠谷は今シーズンの開幕戦でも組んでおり、14年の全日本総合ではファイナリストになった実力は申し分ないペアだ。第1ゲームは21-12で取ると、第2ゲームは接戦の末、18-21で落とした。173センチと長身の栗原が上から打ち下ろす強打で、篠谷も思い切りよくスマッシュを連打した。ファイナルゲームは21-13で奪い、2-1で勝利を収めた。

 

 小宮山元監督は「オリンピックレースや海外の試合との兼ね合いでエースを出せないこともあった。それが逆に思い切って若い選手を使うことができた」とシーズンを振り返る。第1戦と第3戦を欠場した松友は「いないこともあったが、後輩たちが頑張ってくれた。チーム全員で優勝することができた」と喜んだ。キャプテンの栗原の出場は開幕戦と最終戦のみ。「タカマツや下の子たちが力を合わせて頑張ってくれた結果」とチームメイトを称えた。若手の成長ももちろんだが、選手層の厚さで日本ユニシスが2年ぶり4度目の頂点に立った。

 

 最終成績、及び表彰選手は次の通り。

 

【男子の部】

1位 日本ユニシス(7勝0敗)

2位 トナミ運輸(5勝2敗)

3位 NTT東日本(5勝2敗)

4位 トリッキーパンダーズ(4勝3敗)

5位 日立情報通信エンジニアリング(3勝4敗)

6位 JR北海道(3勝4敗)

7位 金沢学院クラブ(1勝6敗)

8位 東北マークス(0勝7敗)

※2位と3位はゲーム率、5位と6位はマッチ率による

 

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(写真:昨年MVPの桃田は7戦全勝で殊勲選手賞を獲得)

最高殊勲選手賞 早川賢一&遠藤大由組(日本ユニシス)

殊勲選手賞    坂井一将(日本ユニシス)、桃田賢斗(NTT東日本)

敢闘選手賞    武下利一(トナミ運輸)、井谷和弥&リャオ・ミン・チュン組(トリッキーパンダーズ)

新人選手賞    古賀輝&齋藤太一(NTT東日本)

 

【女子の部】

1位 日本ユニシス(7勝0敗)

2位 再春館製薬所(6勝1敗)

3位 NTT東日本(4勝3敗)

4位 北都銀行(4勝3敗)

5位 ヨネックス(3勝4敗)

6位 ACT SAIKYO(2勝5敗)

7位 岐阜トリッキーパンダーズ(1勝6敗)

8位 広島ガス(1勝6敗)

※3位と4位はマッチ率、7位と8位はゲーム率による

 

最高殊勲選手賞 高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)

殊勲選手賞    奥原希望(日本ユニシス)、福島由紀&廣田彩花(再春館製薬所)

敢闘選手賞    大堀彩(NTT東日本)、永原和可那&松本麻佑組(北都銀行)

新人選手賞    東野有紗(日本ユニシス)、田中志穂(北都銀行)

 

(文・写真/杉浦泰介)