(写真:大賞に輝いた泉宗選手)

(写真:大賞に輝いた泉宗選手)

 第15回を迎えた大亀財団スポーツ賞の表彰式が10日に松山市内で行なわれた。国際レベルで活躍した選手、指導者及び支援、協力者や環境づくりに貢献した人に贈られるスポーツ大賞にはボウリングの泉宗心音(いずむね・しおん)選手が初選出された。

 

 大賞にふさわしい活躍だった。

 泉宗選手は松山市出身の16歳。一昨年の長崎国体に初出場して個人戦優勝を飾ると、昨年の和歌山国体でも個人戦準優勝、団体戦優勝を成し遂げた。12月にマレーシアで開催された国際ジュニアオールスターズ選手権の男女混合マスターズ部門でも準優勝している。

 

 ボウリングを本格的に始めたのは小学4年のころ。えひめ国体に向けた県ボウリング連盟の有望選手発掘事業で、強化選手に選ばれたことが出発点となった。ソフトテニスとの掛け持ちから、ボウリングに専念。全日本中学選手権優勝を果たすと史上最年少となる13歳での全日本代表入り、世界ユース選手権金メダル獲得とメキメキと頭角を現している。

 

 今春、高校2年生になる。伸び盛りの新星には、えひめ国体のけん引役として、そしてまた、世界に羽ばたくボウリングの第一人者としての期待が高まる。

「えひめ国体優勝という目標に向かって愛媛の選手一同が競い合って頂点を目指して頑張っていきます。ナショナルチームで世界大会に挑戦しながら、ボウリングがオリンピック競技となり、代表に選ばれたとき、金メダルを取れるよう弛まない練習を重ねていきます」

 

 ボウリングは2020年東京オリンピックの新規追加競技で落選してしまったものの、泉宗選手は将来的に新種目となる希望を持ちながら、より一層の飛躍を誓った。

 

(写真:受賞者に贈られた記念品)

(写真:受賞者に贈られた記念品)

 スポーツ選手の育成並びにスポーツクラブの育成発展やスポーツ活動を通じて青少年の健全育成のために尽力する指導者及び選手を表彰する「菜の花賞」には、陸上競技指導者の黒田敏子氏が選ばれた。

 

 黒田氏は今治西高出身。筑波大体育専門学部卒業後、故郷に戻って教鞭を取り、2011年からは今治市立北郷中に赴任。陸上部顧問として、インターハイ、インターカレッジなど全国大会で活躍する選手を育てている。

 

 13年、15年の四国総体で中学女子総合優勝を達成。教え子の玉井奈那選手は14年(中2)、15年(中3)のジュニアオリンピック少年女子B100mハードルで2連覇を達成し、昨年の和歌山国体同種目予選で女子中学歴代2位の記録を出し、5位入賞を果たしている。

 

 北郷中陸上部のモットーは「練習はうそをつかない」「一人の力ではなく、みんなで総合優勝を」。強い信念に基づいた指導が、成果に結びついていると言える。

 

黒田氏は「えひめ国体強化の効果」を口にする。

「継続的に練習会や合宿に参加できていること。高校の受け皿、中学校の連携、指導、そうしたシステムが機能していることと、良きチームメイトに恵まれたことが大きいと思います」

 

(写真:受賞者全員による記念撮影)

(写真:受賞者全員による記念撮影)

 愛媛の各地域、学校などにおいてその地域に根差した「ふるさとスポーツ」の育成発展に寄与し、その功績が顕著な人に贈られる「ふるさとスポーツ賞」には、相撲指導者の上杉博賢氏が選ばれた。

 

 上杉氏は西予市(旧野村町)の出身。「相撲の町・野村」で育ち、野村高時代には全国高校新人選手権の団体準優勝に貢献。中央大に進学し、インターカレッジ団体優勝、全国学生選手権宇和島大会で3位に入賞するなど活躍した。

 

 大学を卒業後、「全国で戦える相撲選手を育てよう」と母校の野村高に戻って相撲部を指導。14年にわたって野村高相撲部の監督を務めながら、地元小中学生の指導にもあたっている。昨年のインターハイでは野村高3年の田中大介選手が県勢60年ぶりに決勝進出し、惜しくも優勝は逃がしたものの準優勝。和歌山国体では少年男子の国体選手5人のうち野村高の選手が4人選ばれ、団体5位入賞、個人準優勝という好成績を収めた。

 

 上杉氏の目標はえひめ国体での総合優勝。「現在の在学生が成年の部、少年の部の中心選手となります。総合優勝を目指して育て上げます」と力強く抱負を語っている。

 

(写真:昨年のわかやま国体ではエアピストル4位入賞を収めた篠浦選手)

(写真:昨年のわかやま国体ではエアピストル4位入賞を収めた篠浦選手)

 特別賞は久万高原町(旧久万町)出身で柔道指導者の松下文治氏に贈られた。

 松下氏は1970年に中央アフリカ・ザンビア共和国に初代青年海外協力隊員として渡り、柔道を根づかせた。帰国後、愛光高でコーチを務める傍ら「郷土愛媛と国際社会を考える会」を設立し、国際交流活動を行なってきた。昨年からは順天堂大国際教養学部の客員教授を務めている。

 

 また、えひめ国体に向けて競技力向上対策に功績のある人、または功績が期待される人を対象として昨年度から設けられた「えひめ国体特別賞」にはライフル射撃の篠浦玲子選手と、各競技の指導者から剣道の遠藤寛弘氏、ソフトボールの久門篤志氏、セーリングの黒川重男氏、ビーチバレーの佐伯美香氏、水泳の高橋繁浩氏、バレーボールの矢野美紀氏、アーチェリーの山川厚氏、バスケットボールの渡部治氏、計9人が表彰されている。

 

(写真:「当財団におきましても、国体の成功に向けて、微力ながら全力を挙げて支援・協力をしてまいりたい」と語る大亀理事長)

(写真:「当財団におきましても、国体の成功に向けて、微力ながら全力を挙げて支援・協力をしてまいりたい」と語る大亀理事長)

 大亀理事長は式辞で「受賞者の皆さまに椿神社の勝軍(かちいくさ)八幡神社のお守りを贈呈しました。椿神社にお参りし、えひめ国体での必勝を祈願したものであり、どうか私どもの気持ちをお汲み取りいただきまして、県民の代表として頑張っていただきたい」と挨拶を述べている。

 

 えひめ国体で勝つために――。競技関係者も決意を新たにする、活気あふれる表彰式となった。同財団はこれからも愛媛県のスポーツ普及、振興に力を入れていく。

 

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関連リンク>>公益財団法人 大亀スポーツ振興財団

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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