清武氏、来月にも訴訟の意向

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 25日、清武英利前巨人球団代表兼ゼネラルマネジャー(GM)が代理人の吉峯啓晴弁護士同席の下、東京都内で記者会見を行なった。清武氏は自らの解任を不当とし、渡邉恒雄球団会長および球団に対し、徹底反論した。11日の会見前には渡邉会長から「君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだ」と恫喝されたという清武氏。それでも会見を行なったのは、渡邉会長の人事に対する言動に対して「もうやってられない」と憤慨した桃井恒和元オーナーの姿を見て、渡邉会長に翻意を促さなければならないと判断したためだったと説明した。また、清武氏は、早ければ来月にも訴訟を起こす考えも明らかにした。
 会見場に現れた清武氏の表情は11日のそれとは異なり、和やかだった。大勢の記者たちを目の前に席に着くと、無数のフラッシュを浴びながら時折、笑みを浮かべる清武氏。それは自らがつくりあげた “清武劇場”の盛況ぶりに満足感を得ているようにも感じられた。

 今回の会見で清武氏は「訴えたいこと」として6点を挙げた。
「渡邉会長のコンプライアンス違法」
「渡邉会長の虚偽発言」
「渡邉会長が江川卓氏をヘッドコーチに就任させようとした真意」
「原辰徳監督を巻き込んだ渡邉氏の行為」
「巨人軍におけるコーチ人事の権限」
「清武氏解任の違法・不当性」

 清武氏は11日の会見で一度は了承した来季のコーチ人事を覆し、岡崎郁ヘッドコーチを降格させ、江川氏と交渉していると通達した渡邉会長に対し、「不当な鶴の一声で愛する巨人軍を、プロ野球を私物化するような行為を許すことはできません」と涙ながらに訴えた。巨人のみならず、球界全体に影響を与えてきたワンマン会長への内部告発だった。

 この会見の直前、清武氏は渡邉会長から会見をやめるようにとの電話を受け、最後には「君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだ」という恫喝を受けたと述べた。しかし、渡邉会長の不当な人事介入に対し、「もうやっていられない。俺、辞表出すよ」と憤慨した桃井元オーナーの言葉に、渡邉会長の横暴とも言える行為は、公の場で翻意を促さなければならないほどの問題と判断したという。

 また、4日に渡邉氏が報道陣に対して「俺は何にも報告を聞いていない。俺に報告なしに、勝手にコーチの人事をいじくるというのは、そんなことありえんのかね。俺は知らん。責任持たんよ」と虚偽の発言をしたことにも改めて批判した。「真実は、私と桃井元オーナーが10月20日にコーチ人事等について、書類をもとに1時間半にわたって報告していたのです。この点については、渡邉氏自身が私の声明に対する反論の中で、実際に報告があったことを認めていますし、桃井元オーナーも記者会見の中で明言しています」と説明し、今回の騒動の発端がこの発言にあることを示唆した。

 また、渡邉会長が適正手続を無視してまで江川氏をヘッドコーチに就任させようとした真意について、同会長から次のような発言があったことを明らかにした。
「巨人は弱いだけでなく、スターがいない。江川なら集客できる。彼は悪名高いが、悪名は無名に勝る。彼をヘッドコーチにすれば、次は江川が監督だと江川もファンも期待するだろう。しかし、監督にはしないんだ」

 これに対して、清武氏は「巨人のエースだった江川氏を集客の道具にしか見ておらず、彼のユニホーム姿に期待するファンを愚弄するもの」と述べ、渡邉会長の発言は「たかが江川」「たかがファン」という底意に基づいたものという見解を示した。
 そして、江川氏との交渉に権限外の原監督をあたらせる考えであることも渡邉会長から聞かされたという。実際に交渉が行なわれたか否かは不明としながらも、「巨人の象徴的存在である監督を権限外の問題に巻き込むことは許されない」と憤った。

 そして、自らの役職に対して、「(巨人軍の)規定によれば、球団代表は、オーナー、社長の命を受け、球団経営業務を統括するとされており、編成本部長が球団のチーム編成及び運営、外国人選手の獲得、スカウト、ドラフト会議、移籍、チーム運営、査定と契約更改、二軍選手と育成選手の指導管理等の主管事務を掌理するとされている」とし、自分には実質的にはメジャーリーグにおけるGM同様の権限があったと説明した。

 にもかかわらず、コーチ人事の人選及び調印権限が帰属していたはずの清武氏が渡邉会長に報告を経て確定人事としたものを“鶴の一声”で覆した渡邉会長の行為はコンプライアンス違反であると訴えた。そのため、今回の解任は、渡邉会長のコンプライアンス違反を「お家騒動」「泥仕合」のゴタゴタで隠蔽させようという意図があり、報復措置であることを示唆。そのため、早ければ来月にも訴訟を起こす考えを明らかにした。

 11日の会見の翌日、渡邉氏は「事実誤認。非常識で悪質なデマゴギー。読売新聞社、巨人軍、私に対する名誉棄損」と謝罪を求める談話を発表。さらに18日の解任発表後には、報道陣に対し「こちらは10人の最高級弁護士を用意している。法廷では負けたことがない」と強気の発言をしている。今回の清武氏の会見に対して、渡邉会長及び巨人軍はどんな反応を見せるのか。“清武vs.渡邉&巨人軍”紛争はまだ序章に過ぎない。しかし、長期化すれば、巨人のみならずプロ野球のファン離れが加速化する危険性もある。どのような結末を迎えるにせよ、ファンの存在を忘れてはならない。ファンが納得するかたちでの早期の収束が望まれる。
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