たぶん、私の目は節穴なのだろう。そう信じたい。広島カープの練習試合やオープン戦を何試合か見たが、変わりばえがしないように見えて仕方がないのだ。

 

 明らかに変わったのは丸佳浩である。昨年までのすり足から、右足を上げる打法に変えた。いや、たとえば山田哲人(東京ヤクルト)や秋山翔吾(埼玉西武)のように大きく上げるのかと思ったら、そこまで大胆に変えたわけではない。でも、コンスタントにヒットは出ているし、強い打球が多い。今年の丸は、きっと期待できるでしょう。

 

 ただ、それ以外に目立った変化がないような気がする。まあ、印象だけ語っても説得力はありませんが。

 

 たとえば、新外国人ジェイソン・プライディ。広角に打てる好打者で、昨年はマイナーで3割1分、20本塁打、20盗塁だそうだ。でも、去年もヘスス・グスマンやネイト・シアーホルツなど、いわゆる好打者を獲った。たしか、二人とも外国人選手としては球団史上最高年俸というふれこみだった。実際、二人とも、それなりの好打者だったとは思うが、目立った活躍はできなかった。プライディを見ていると、つい、去年と同じことのような気がしてくる。もちろん、彼がそうならないことを切に祈っているが。

 

 投手では、ジェイ・ジャクソンとブレイディン・ヘーゲンズが新加入。ジャクソンは150キロを超える速球派で、スライダー、フォークが鋭い。というと、クローザー候補かなと思うでしょ。中崎翔太が盤石とは限らないのだから。でも、見ていると、力まかせに投げて、結局カウントを悪くして自らピッチングを苦しくする感じがある。セーブに失敗するときのキャム・ミコライオみたいに、といったら失礼か。ヘーゲンズはシンカーとかチェンジアップ、さらにはスライダー、ツーシームを操る。球速よりは変化球の切れとコントロールが持ち味のようだが、もしかして、こちらのほうが活躍できるかもしれません。いずれにせよ、昨年のマイク・ザガースキー、デュアンテ・ヒースとは一味違う活躍をしてほしいものだ……。

 

 エクトル・ルナが入ったのは、たしかに大きいだろう。チャンスにヒットを打つ力は十分にそなえている。でも、去年までの中日のルナから大きく変わることはありえない。故障なくフル出場できればいいのだけど……。

 

 個人的に気になるのは、野間峻祥と堂林翔太である。

 

 野間は新人だった昨年のこの時期は、はつらつとしたスイングが新鮮だった。このドラ1は当たりかもしれないな、と思えた。今年はどこかちぢこまって、スイングもおとなしくなったように見える。思いきりというものが、彼の持ち味のはずだが。

 

 堂林は、オフにかの落合博満氏のような神主打法に挑む、ということで話題になった。どなたかのご著書じゃないが、もう、変わるしかない7年目。徹底して取り組めばいいと思うが、テレビで見る限り、去年までとどこが変わったのか、私の節穴ではよくわからない。うーん。

 

 最後にもう一人。今年の西原圭大を見たとき、あ、これは変わった、と感じた。今年は中継ぎでいけるのではないかと。コーナーにいいボールが行っているように見えたのだ。ただ、二回目に見たときは、去年と変わらないように見えてしまった。第一印象のほうが当たっていることを祈りたい。

 

 なにしろ、去年までと同じようにやっていては苦戦することはわかりきっているのだから、今年は例年以上に、変革の力が胎動する姿を期待したい。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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