11日、クラブW杯2011の準々決勝2試合が行われ、柏レイソル(開催国枠)がモンテレイ(北中米カリブ海代表)と対戦した。柏は後半8分、MFレアンドロ・ドミンゲスのゴールで先制する。しかし、同13分に同点弾を決められると、延長戦でも決着がつかずにPK戦へ。ここで柏はGK菅野孝憲のビッグセーブなどもあり、4−3で勝利。14日に行われる準決勝(対サントス、豊田ス)へコマを進めた。

 サントスへの挑戦権獲得!(豊田ス)
柏レイソル 1−1 モンテレイ
   (PK −3)

【得点】
[柏] レアンドロ・ドミンゲス(53分)
[モ] ウンベルト・スアソ(58分)
 開幕戦から中2日で迎えたこの試合、柏には足をつる選手が続出した。それでも、前に出る姿勢を崩さず、ベスト4への切符をもぎ取った。勝利に大きく貢献したのが、JリーグMVP男のレアンドロと菅野だ。

 レアンドロはこの試合でも積極的にボールを受け、ドリブルやパスで攻撃のリズムをつくろうとする。しかし、前半はモンテレイの厳しいプレッシャーに苦しんだ。あまりの激しさに相手や主審に激しい口調で詰め寄る場面が見られた。

 レアンドロにとって、この試合に勝利すれば、準決勝で母国・ブラジルのサントスと対戦する。MVPを受賞したJリーグアウォーズでは「(我々は)サントスだけを見ていない」と語っていたものの、この日の背番号10には気迫がみなぎっていた。

 両者スコアレスのまま迎えた後半8分、そのレアンドロから待望の先制点が生まれる。PA手前でパスを受けたレアンドロからボールがこぼれたところを、FW田中順也が拾うかたちでPA右サイドを突破。折り返したボールを、レアンドロが体を倒しながら右足ボレーで合わせた。相手ペースの展開を我慢した末の先制点。ゴール裏の柏サポーターからの歓声が背番号10に降り注いだ。

 先制した柏は追加点を狙い、さらに攻撃的な姿勢を見せる。だが、13分、前がかりになったスキをモンテレイに突かれた。ピッチ中央右からのロングボールにFWセサル・デルガドに抜け出され、ファーサイドへグラウンダーのクロスを入れられる。これをエースストライカーのウンベルト・スアソに押し込まれた。先制してからわずか5分、試合は振りだしに戻った。

 一進一退の攻防が続くなか、開幕戦から中2日で戦う柏に疲れの色が見え始める。27分、DF酒井宏樹が自陣PA内で相手にスライディングした際に左足をつり、一時ピッチを離れる。それでも柏はレアンドロを中心にゴールを狙いにいくが勝ち越し点を奪えない。試合は両者、得点が奪えないまま延長戦へ突入する。

 延長に入るとさすがに両チームともガクンと運動量が落ちる。攻めのかたちをつくるものの、シュートまで持ち込めない。結局、120分を終えても決着はつかず、試合は今大会初のPK戦へともつれ込んだ。

 しびれるような状況で魅せたのが柏の守護神・菅野だ。PK戦の先攻はモンテレイ。最初のキッカーは主将のルイス・ペレス。右足で蹴られたボールがゴール右へ飛ぶ。これを菅野は読みきっていた。横っ飛びでストップし、ビッグセーブから流れを引き寄せる。その後も1人が失敗したモンテレイに対し、柏は4人目を除いてキックを成功。最後は5人目のFW林陵平がゴール右下へ突き刺し、勝利を決めた。試合中も柏はモンテレイにボールを支配される時間帯が多く、開始早々には立て続けに決定的なチャンスをつくられた。しかし、菅野を中心とした守備陣が体を張って防いだ。決して最後まで集中力を切らさなかった姿勢が、大一番で最後に実を結んだ。

 この結果、柏は準決勝に進出。開催国枠のチームがベスト4に進むのは史上初だ。対戦相手は世界の強豪・サントス。同クラブからオファーを受けている酒井は「サントスとやることを求めてきたので、もちろん倒したいし、学ぶことも多いので、ワクワクする」と試合後に語った。次戦も中2日での試合となり、体力的に厳しいことは間違いない。だが、南米王者と真剣勝負ができるのは、またとない機会だ。勢いに乗る柏が新たな歴史をつくろうとしている。

 アジア王者、準決勝でバルセロナと激突!

 また、準々決勝のもう1カードではアジア王者のアル・サッドがアフリカ王者のエスぺランスと激突。アルサッドは前半に先取点を奪うと、後半開始早々にも1点を追加し、勝利に近づく。その後、1点を返されて終盤に猛攻を受けたものの、なんとか耐え抜き、準決勝進出を決めた。

 元鹿島イ・ジョンス、アシストで勝利に貢献(豊田ス)
エスぺランス 1−2 アル・サッド
【得点】
[エ] ウサマ・ダラギ(60分)
[ア] カルファン(33分)、アブドゥラ・コニ(49分)