21日、都内で「三井ゴールデン・グラブ賞」表彰式が開催され、今シーズン、守備でチームに貢献した選手たちが表彰を受けた。各リーグのそれぞれのポジションで賞に選ばれた18選手のうち8人が初受賞とフレッシュな顔ぶれとなり、日本シリーズを制した福岡ソフトバンクからは両リーグ最多の4人が選ばれた。セ・リーグ三塁手部門の宮本慎也(東京ヤクルト)は記者による投票で最多の229票を集め、史上最年長40歳10カ月(規定で11月1日現在)での受賞となった。
(写真:現役最多受賞の宮本は「40歳を超えて守備で貢献できて良かった」と語る)
 宮本にとって、この賞はもはや指定席と言ってよいだろう。とりわけ今季の宮本は、三塁手として歴代最高の守備率.997をマークした。本人も「ちょっとエラーの数(1)は奇跡的。出来過ぎだと思います」と謙虚に語ったが、堅実な守備はもはや彼の代名詞だ。これで三塁手として、3年連続3度目の受賞。遊撃手と合わせると計9度の選出は、王貞治に並び歴代4位タイとなった。この日、表彰式のプレゼンターを務めた福本豊、山本浩二両氏も「送球に乱れがない。どんな体勢でもピシッと放れる。真似できない技術」(福本氏)、「(野球の)頭の良さは彼が一番持っている」(山本氏)と賛辞を惜しまない。来季同賞を獲得すれば、歴代3位タイ、そしてセ・リーグ最多の山本氏に肩を並べる。そのことについて触れられると宮本は「先輩に並んだら失礼なので、今回で遠慮させていただきます」と語り、場内を笑わせた。

 今回初受賞した選手のなかで際立つのは、育成選手出身者として、パ・リーグ初の栄誉に輝いた岡田幸文(千葉ロッテ)だ。今季の岡田は全試合にフル出場し、エラーは0。また外野手のシーズン連続359守備機会無失策は、2リーグ分立後の新記録である。特に強いインパクトを与えたのが、6月15日の巨人との交流戦だ。岡田は持ち前の俊足を生かし、3度のファインプレーを披露した。山本氏も「落下点にいくまでの速さ、すごくスピード感がある。躍動感があって、敵味方が拍手を送るプレー」と絶賛。岡田自身も「1試合に3つの際どいプレーも珍しいなと思いますし、ジャイアンツファンからも拍手いただきまして、本当にうれしく思いました」と振り返っていた。
(写真:昨季から連続467守備機会無失策を続ける岡田)

 今季は統一球の導入により、ホームラン数は大幅に減少した。しかし、表彰式で加藤良三NPBコミッショナーが「守備の醍醐味、重要性が増した」と話したとおり、統一球がもたらした影響は決してマイナス面だけではない。1点を争うクロスゲームの中で、守備の名手たちのいぶし銀のプレーが光ったシーズンでもあった。来季もファンを唸らせるプロの妙技に期待したい。

 受賞者は次の通り。

【パ・リーグ】
投手  田中将大(東北楽天) 初
捕手  細川亨(福岡ソフトバンク) 3年ぶり2度目
一塁手 小久保裕紀(福岡ソフトバンク) 2年連続2度目 ※二塁手で1度
二塁手 本多雄一(福岡ソフトバンク) 初
三塁手 松田宣浩(福岡ソフトバンク) 初
遊撃手 中島裕之(埼玉西武) 3年ぶり2度目
外野手 岡田幸文(千葉ロッテ) 初
     糸井嘉男(北海道日本ハム) 3年連続3度目 
     坂口智隆(オリックス) 4年連続4度目

【セ・リーグ】
投手   浅尾拓也(中日) 初
捕手   谷繁元信 (中日) 2年ぶり5度目
一塁手  栗原健太(広島) 2年ぶり3度目
二塁手  平野恵一(阪神) 2年連続2度目
三塁手  宮本慎也(東京ヤクルト) 3年連続3度目 ※遊撃手で6度
遊撃手  鳥谷敬(阪神) 初
外野手  長野久義(巨人) 初
       青木宣親(東京ヤクルト) 6年連続6度目
       大島洋平(中日) 初