いよいよ25日、プロ野球がセ・パ両リーグで開幕します。今回はオープン戦の成績やチームの補強状況から両リーグの順位を予想しました。

 

【パ・リーグ】

1位 福岡ソフトバンク

2位 北海道日本ハム

3位 千葉ロッテ

4位 オリックス

5位 東北楽天

6位 埼玉西武

 

【セ・リーグ】

1位 阪神

2位 東京ヤクルト

3位 横浜DeNA

4位 中日

5位 巨人

6位 広島

 

鷹を除いたパ5球団による“つぶし合い”

 

 パ・リーグは昨季12球団のなかで圧倒的な強さを誇ったソフトバンクが、間違いなく今年も大本命です。ソフトバンクを除いた5球団による“つぶし合い”が予想されます。

 

 5球団のなかで注目しているのは、伊東勤監督率いるロッテです。昨季までスタメン内野手だったルイス­・クルーズと今江敏晃が抜けたところに、高卒ドラ1の平沢大河を使って欲しい。ロッテはすごく­まとまりのあるチームなので、­新人を使うことで“コイツが頑張っているなら、俺たちも頑張ろう”との気持ちが生まれるはずです。そういった効果をもたらすためにも、早い段階で鈴木大地を­セカンドに­回して平沢を使うべきだと思います。

 

 昨季最下位だった楽天は、メジャー通算162本塁打のジョニー・ゴームズが加入したことで打線の層が厚くなりました。­ただ、相変わらず­ピッチャーが不安定です。昨年はベンチが我慢できずに次から次へと代えていましたが、­6回3失点くらいまで我慢することでチームの形というものが出来上がります。今季から指揮を執る梨田昌孝監督は経験豊富な方なので、コロコロ変えることはないと思います。楽天は我慢して粘り勝てば面白い存在になりますね。

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 今季の最下位予想は西武を挙げます。チームに菊池雄星や浅村栄斗や森友哉など伸び悩んでいる若手が多く、4番の­中村剛­也が常にいい結果を­出さないと­チームは浮上できないという状況にあります。­個々が­成長しなければ、ベテランや中堅ひとりひとりにかかる負担が非常に大きくなってしまいます。見ていて、チームとしての­形が­構築できていないという気がしてなりません。

 

 チームを­変えるキーマンとなるのは、­今季の開幕投手に­指名された菊池です。もし彼が覚醒すれば、エースの岸孝之­にかかる重圧を減らすことができます。昨季、岸は5勝しかあげられませんでしたが、先発ローテーションの2番手や3番手で使ってエース級ピッチャーとの対戦を避けられれば、15勝は間違いなくできるでしょう。チームの勝ち星を増やすためにも、菊池の覚醒は欠かせません。

 

最下位予想の広島に注目!

 

 一方、セ・リーグ1位に阪神を予想したのは、投手中心に­考えると­一番安定しているからです。先発陣に藤浪晋太郎、ランディ・メッセンジャー、能見篤史­、今季4年ぶりにチームに復帰した藤川球児など、実績あるピッチャーが揃っています。指揮官が金本知憲監督に代わりチームの雰囲気が明るくなっているので、­優勝するチャンスは­かなり高いです。

 

 阪神は今季のチームスローガンを「超変革」に決めて、金本新監督のもとチームが変りつつありますが、僕は“超変革”をすべき球団は阪神だけでないと思っています。変革すべきチームは、2012年から3年連続でセ・リーグを制した巨人です。昨季は東京ヤクルトに敗れて2位に終わりましたが、今季は順位をさらに下げると予想します。

 

 巨人は先発­ローテーションが定まらず、チームの柱である阿部慎之助が開幕絶望ときている。本来なら阿部に代わって、キャプテンの坂本勇人と選手会長の長野久義がチームをまとめるべきですが、長野は11年に首位打者、12年に最多安打のタイトルを獲って以降、くすぶっています。阿部にばかり頼っていないで、坂本と長野が今季こそキャリアハイの成績を収めて、チームの核として成長しなければならない。高橋由伸新監督の下、新生巨人を作り上げることができるかどうかで、成績は変わってくるでしょう。

 

 最下位予想は広島です。最下位を免れるためには、「キク­(菊池涼介)マル(丸佳浩)コンビ」の解消を提案します。昨季の打線を­見ると、「2番・菊池、3番・丸」「1番・丸、2番・菊池」と、­常に2人は並んでいました。しかし、この打順だとそれぞれの個性が発揮されていなかった。今年は「1番・菊池、3番・丸」「1番・丸、7~8番・菊池」と、2人を離すべきでしょう。2人の間に­違うタイプの選手を入れることで、­良い意味でチームは変わっていくと思います。

 

 最下位に予想しながら、実は12球団のなかで一番注目しているのが広島です。エースの前田健太が抜けたことで、ドラ1の岡田明丈、ドラ2の横山弘樹のローテーション入りが濃厚視されています。OP戦で彼らの投球を見ていて、岡田は真っすぐの強さが魅力的で、横山は変化球のコントロールが素晴らしかった。とはいえ彼らの能力は未知数です。今季で就任2年目を迎える緒方孝市監督が、新戦力をどう起用するのか楽しみです。

 

image佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商−近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日−エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)−ロサンジェルス・ドジャース−メキシコシティ(メキシカンリーグ)−エルマイラ・パイオニアーズ−オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。


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