元日恒例の第56回全日本実業団対抗駅伝競走(ニューイヤー駅伝)が1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間100キロのコースに37チームが出場して行なわれ、日清食品グループが4時間49分32秒で2年ぶり2度目の優勝を果たした。2位にはコニカミノルタ、3位には旭化成が入った。
「奇跡的」という言葉が似合うほど、ほとんど無風の状態で行なわれた今回のレース スタートは互いに牽制し合い、ゆっくりとしたペースの中、松岡佑起(大塚製薬)、若松儀裕(日清食品グループ)、松本謙太(トヨタ自動車 )などが、代わる代わる先頭に立ち、集団を引っ張っていった。最初に飛び出したのは連覇を狙うトヨタの松本だった。11キロ後半、松本がスパートをかける。それについていったのが若松、小西祐也(トヨタ自動車九州)、その3人の少し後ろに阿宗高広(愛三工業)が必死の形相で松本を追った。最後は若松が松本を抜き去り、先頭で2区にたすきを渡した。

「インターナショナル区間の」2区は予想通り、順位がめまぐるしくかわった。なかでも12位スタートしたポール・クイラ(コニカミノルタ)が5位に浮上。そのたすきを受けた3区の宇賀地強が3キロ過ぎで先頭の保科光作(日清食品)をとらえ、先頭に立った。しかし、保科もキャプテンの意地を見せ、宇賀地の後ろをピタリとついていく。さらに後ろからは宮脇千博(トヨタ)が6キロ地点で宇賀地、保科に追いつき、3人の先頭集団を形成した。

 8キロ過ぎ、ともにロンドン五輪の1万メートルA標準記録を突破している宇賀地と宮脇が保科を徐々に離し始め、コニカミノルタ、トヨタ、日清食品の順で4区につなげた。一方、旭化成の岩井勇輝が18位から15人抜きの4位に浮上。昨年の世界陸上マラソンで日本人トップの7位に入賞したエース堀端宏行にたすきを渡し、13年ぶりの優勝に望みをつなげる。

 4区では注目の佐藤悠基(日清食品)が快走を見せた。先頭から41秒差でスタートした佐藤はジリジリと追い上げを見せ、9キロ過ぎで松宮隆行(コニカミノルタ)、尾田賢典(トヨタ)を抜き去り、先頭に立った。しかし、ここでベテランの意地を見せたのが松宮だった。残り500メートルでスパートをかけ、佐藤を突き放し、先頭で5区にたすきを渡した。

 しかし5区で高瀬無量(日清食品)が先頭に立つと、6区・座間紅弥もトップの座を明け渡すことなく、アンカーの7区・安西秀幸へ。安西も安定した走りを見せ、2位のコニカミノルタに1分以上の差をつけ、日清食品が2年ぶりの優勝を果たした。2位にはコニカミノルタ、3位には旭化成が入り、下馬評通り、「3強」と謳われた3チームが上位を占めた。