テキサス・レンジャーズの上原浩治、建山義紀の両投手と、元ラグビー日本代表の大畑大介氏が12日、都内ホールで開かれた「ぴあトークバトル スポーツ快楽主義」に出演し、トークショーを行った。今年で37歳になる3人は東海大仰星高時代、1年1組のクラスメイト。トークショーに先立って行われた会見のなかで上原は「ポスティングシステムはなくすべきだと思う」と改めて持論を展開した。
(写真:レンジャーズと交渉中のダルビッシュについて「楽しみに待っている」と話す上原(左)、大畑氏(中央)、建山)
 日本の球界を思っての提言だ。以前からポスティングシステムに異を唱えていた右腕は、この日も自らの考えをはっきりと口にした。
「日本のプロ野球で変えてほしいのは、やっぱりポスティングシステム。みんなが分かりやすいルールにしてほしい」
 自身も巨人時代、同システムによるメジャーリーグ移籍を希望しながら球団から認められず、FA権の取得を待って海を渡った。球団によって対応が異なる不公平さに加え、同システムを希望しながら交渉が折り合わず、移籍しないケースが発生している現状には納得がいっていない。

 この上原の考えに、昨季、マイナーから這い上がった建山も同調。「まだメジャーリーグで1年やっただけなので大きいことは言えない」としながら、「アメリカに“行けるから行く”のではなく、“行きたいから行く”という気持ちを持ってほしい。それが成功するための大きな条件だと思う」と、移籍にあたって年俸や条件面がクローズアップされる状況に首をかしげた。

 昨季のレンジャーズはリーグ連覇を果たしたものの、ワールドシリーズでは2年連続で敗退した。悲願の世界一のため、球団はこのオフ、補強に乗り出している。通算261セーブのクローザー、ジョー・ネーサンをツインズから獲得したほか、ダルビッシュ有に約5170万ドル(約40億円)を投じて独占交渉権を得た。上原は昨シーズン途中でオリオールズから移籍し、セットアッパーとしてチームに貢献した。それだけに「自分が(投手陣の)中心となるコメントがないのは悔しい。負けていられない」と決意を新たにしている。

 また昨季、39試合に登板した建山は「メジャーの野球が身にしみて分かった」と1年目のシーズンを振り返った。今季も和田毅(オリオールズ)、岩隈久志(マリナーズ)と米国を舞台にする日本人投手が増える。メジャーで成功するために必要な要素について問われると、「ボールの違い、マウンドの違いなど日本と異なることはたくさんある。一番大事なのは、いかに環境に適応できるか。あれこれ気にしないことが重要」とアドバイス。これには上原も「神経質ではしんどい。なるようにしかならないと思ったほうが成功する」と同意見だった。

「4月からどんどん飛ばしていきたい」(上原)、「まずはメジャーにしがみついていきたい」(建山)と今季の抱負を語った2人のメジャーリーガーに、横にいた大畑氏は「2人を応援に行き、取材に行くのが今年の目標。できればワールドシリーズを観に行きたい」とエールを送った。

 昨年のニュージーランドW杯で惨敗した日本ラグビー界は、2015年のイングランドW杯、そして19年のW杯日本開催に向けて新体制へ移行しようとしている。4月からは代表ヘッドコーチにサントリーサンゴリアスのエディー・ジョーンズ監督が就任。また代表GMは岩渕健輔氏に決まった。岩渕新GMは現在36歳で大畑氏と同い年。7人制と15人制、いずれの代表でもチームメイトだった。

 大畑氏は「ともに戦った仲間として、日本ラグビー界を支えていく活動をしていきたい」とバックアップを約束。2019年W杯へ期待のラガーマンとして、先の高校ラグビーで全国制覇した東福岡高のFB藤田慶和の名前をあげた。大会最多の8トライをあげ、7人制代表にも選ばれている逸材だ。「彼はラグビー界のダルビッシュ。彼を育てられなければ日本の未来はない」と断言した大畑氏は、「日本の選手は高校を卒業して大学1、2年の時に試合に出られない選手が多く足踏みをしてしまう。その世代をどう世界レベルの選手にするかか課題。20歳前後の選手がキャリアを積めるシステムにしないと厳しい」と訴えた。
 
 高校時代から仲が良かった3人は互いに刺激を受けつつ、高めあってきた。上原は大学受験の浪人中、京都産業大で活躍していた大畑氏に「オマエには負けない」と書いて年賀状を送ったという。これまではそれぞれの所属チームが離れていたこともあり、揃って食事をしたのは、まだ数回しかない。不思議な縁で結ばれた3名のトップアスリートは今後、「3人揃ってCMに出たい」と夢を語る。建山が「不撓不屈の精神で諦めの悪い男でも頑張っているというイメージで」とプランを披露すると、上原は「3人ともビールが好きだからビールのCMがいい」とリクエスト。大畑は「着ぐるみでなければ何でもいい」と応じるなど、息のあったトークを展開していた。
(写真:「高校時代に一番モテたのは僕」と大畑氏が語るなどプライベートな話題でも盛り上がった)