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(写真:記者発表に出席した全12チームの代表選手たち)

 14日、千葉・QVCマリンフィールドで「第49回日本女子ソフトボールリーグ」の開幕記者発表会が行われた。会見には1部に所属する全12チームの監督、代表選手が出席し、意気込みを語った。今シーズンは16、17日に開幕節(QVCマリン)を行い11月5、6日の第10節(愛知・パロマ瑞穂野球場、広島・福山市民球場)まで各チーム22試合の総合成績で順位を決める。その上位4チームが東京・神宮球場で開催される決勝トーナメントに進出。ページシステム(敗者復活戦あり)方式の決勝Tを制したチームがリーグ優勝となる。

 

 日本リーグの顔、いやソフトボールの顔と言っていいだろう。世界No.1ピッチャー上野由岐子(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)の大台突破が近付いている。通算197勝(歴代1位)、1948奪三振(歴代2位)。200勝まであと3勝、2000奪三振までは52奪三振と今シーズン中の達成は濃厚だ。とはいえ上野自身は記録に肩肘を張るつもりはない。「16年間の積み重ね。私の中では数字云々よりも監督に信頼されたことに価値がある」。真っ新なマウンドに上がる誇りは誰よりも強く持っている。

 

 日本リーグに入ってからの現役生活は、宇津木麗華監督の下でプレーしてきた。「麗華さんに出会えて今がある。恩返ししたい」と指揮官に感謝する。一方の宇津木監督は「(上野に)あまり教えることはない」と語る。エースの人間性を「すごく謙虚ですね。隣にいるだけでも日々勉強。素晴らしい選手」と称賛する。宇津木監督は、上野に対し「育てるのも1つの仕事」と平均年齢22歳と若いチームを引っ張ってほしいとの思いがある。ビックカメラ高崎は連覇に挑むチームだが、まだまだのびしろを見出しているということだろう。上野も「成長していかなければならないし、成長して当たり前。欲を言えばもっと成長してほしい」とチームを鼓舞する。開幕節は昨シーズン4位と躍進したHonda Revertaと対戦する。

 

 女子ソフトボール界のイチローの異名を持つ山田恵里(日立サンディーバ)にも新記録達成の期待がかかる。通算安打は351で歴代ダントツトップ。打点もトップの177点を挙げている。このほか打率と本塁打でも歴代2位につけて、トップを窺っている状態だ。打率は3割9分とトップのナターシャ・ワトリー(トヨタ自動車レッドテリアーズ)の4割6厘と背中が見える位置にいる。本塁打は37本とトップの馬渕智子(元日立)とはわずか2本の差である。山田は主要打撃部門を総ナメも可能な状況に「記録は意識していないが、全部で1番にはなりたい」と口にする。

 

 これまで多くの個人タイトルを手にしてきた山田。代表でも多くのメダルを胸に飾った。そんな彼女が唯一経験していないのが、日本リーグの優勝である。昨シーズンは5位で決勝T進出を逃した。それだけに15年目の今シーズンに懸ける思いは強いはずだ。天才打者が渇望するのは、リーグ王座。そのためのスタートダッシュを切れるか。日立は、リーグ全体のトップバッターとして16日、昨シーズン3位の豊田自動織機シャイニングベガとの一戦を迎える。

 

 日本ソフトボール協会の徳田寛会長は「世界最高峰のリーグだと自負しています」と、49回目を迎える日本リーグに胸を張る。8月にはIOC総会で五輪競技に復活する可能性が高いと見られているソフトボール。6月には日米対抗、9月にはJAPANCUPと国際大会も目白押しである。この機運を盛り上げるため、日本リーグに寄せられる期待も大きい。長崎望未(トヨタ自動車)、濱村ゆかり(ビックカメラ高崎)ら次代を担う若手も育っている。日本が誇る投打の柱の記録ラッシュ以外にも、注目は盛り沢山だ。

 

【開幕節対戦カード】

・4月16日(土)
 10:30~ 豊田自動織機シャイニングベガ × 日立サンディーバ
 12:45~ 伊予銀行ヴェールズ × シオノギ製薬ポポンギャルズ
 15:00~ トヨタ自動車レッドテリアーズ × デンソーブライトペガサス

・4月17日(日)
 10:30~ 戸田中央総合病院Medics × NECプラットフォームズRed Felcons
 12:45~ 太陽誘電ソルフィーユ × SGホールディングスギャラクシースターズ
 15:00~ ビックカメラ高崎BEE QUEEN × Honda Reverta
※会場はすべてQVCマリンフィールド

 

(文・写真/杉浦泰介)