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(写真:勝利を喜ぶトヨタ自動車バッテリー)

 16日、第49回日本女子ソフトボールリーグが千葉・QVCマリンフィールドで開幕した。昨季2位のトヨタ自動車レッドテリアーズは、同6位のデンソーブライトペガサスと対戦。トヨタ自動車は2点を先制するも、4回表に失策絡みで追いつかれた。その裏、鈴木鮎美のタイムリーで勝ち越す。投げてはモニカ・アボットが完投。トヨタ自動車が3-2で逃げ切った。そのほかの試合は、伊予銀行ヴェールズはシオノギ製薬ポポンギャルズに2点を先制されたが、5回裏に代打で登場したルーキー樋口菜美の同点2ランが飛び出す。最後は對馬弥子のサヨナラホームランで、3-2と劇的な勝利を収めた。豊田自動織機シャイニングベガは初回に3点を先制すると、先発のケイラニ・リケッツが完投し、日立サンディーバを4-2で破った。

 

 アボット、2安打12奪三振完投

デンソーブライトペガサス    2= 0002000

トヨタ自動車レッドテリアーズ  3= 110100×

勝利投手 アボット(1勝0敗)

敗戦投手 レイトナ(0勝1敗)

本塁打  (ト)古澤1号ソロ

 

「毎年だけど初戦は難しい。選手はよくやってくれた。ケガ人がいて十分ではなかったが、全員で勝てたゲーム」。福田五志監督は試合を振り返った。キャプテンの小野真希、主戦捕手の渡邉華月ら5人が引退した新チームで、開幕戦を白星で飾った。

 

 マウンドにはチームの絶対的エース・アボットが上がった。昨季13勝を挙げ、防御率は0.58。投手の主要タイトルを総ナメした。190センチの長身から繰り出す110キロをコンスタントに超えるストレートは威力十分だ。福田監督は女房役のキャッチャーには、相性を考えて4年目の馬場今日子を起用した。アボットは初回から2奪三振とデンソー打線を3者凡退で片付ける。

 

 その裏、打線がすぐさまに援護した。1死から2番・古澤春菜が「絶対仕留めると狙って、思い切り降り抜いた」と高めのライズボールをセンターに打ち返した。打球は風にも乗ってオーバーフェンス。アメリカ代表のジャクソン・トレイナから貴重な先制点を叩き出した。

 

 2回の裏にはヒットで出塁した5番・長崎望未が、後続の安打と犠打で三塁に進む。8番・知久幸未はライトへの浅いファウルフライ。「浅かったんですが、ここで1点を取れれば貴重な1点になると思って、積極的に行きました」。長崎は迷わずスタートを切った。返球もほぼ同時。タッチプレーとなったが、回り込んでベースをタッチ。バッティングばかり注目されがちな長崎だが、走力でもセンスの高さを見せつけた。

 

 3回まで8奪三振とパーフェクトピッチングのアボット。4回表に先頭にヒットを許すと、コントロールに苦しんだ。四球2つで1死満塁のピンチを迎える。5番・田中真紀子をショートゴロに打ち取り、ゲッツー完成かと思われた。しかし、ショートの渥美万奈が二塁を踏んでファーストへ投じたボールが逸れた。この間に2者が還り、トヨタ自動車は同点に追いつかれた。

 

(写真:6年目で初の開幕スタメン。決勝打を放った鈴木)

(写真:6年目で初の開幕スタメン。決勝打を放った鈴木)

 ミスで追いつかれても、すぐに突き放せるのが強者の証か。トヨタ自動車はその裏に4番・坂元令奈が四球で塁に出る。続く長崎がきっちり送って、スコアリングポジションにランナーを進めた。1人が倒れて、鈴木がバッターボックスに立った。「チャンスに強いバッティングを心掛けている」との言葉通り、インコースのストレートを見事に打ち返した。打球は三遊間を破り、トヨタ自動車が再び勝ち越した。

 

 リードをもらったアボットは残りの2イニングを危なげないピッチングを見せた。2番からはじまる好打順も2者連続三振に仕留めると、4番のテイラー・エドワーズもライトフライに打ち取った。7回表は簡単に2アウトを取り、最後のバッターも三振で締めた。失点した4回以外は毎回2奪三振と計12奪三振。エースとしての存在感をアピールした。

 

 トヨタ自動車は昨季リーグ戦1位になりながら決勝でビックカメラ高崎に敗れた。決戦の地、名古屋では多くの選手が悔し涙を流した。王座奪還に燃える赤い軍団。神宮決戦へ向け、まず白星をスタート切った。

 

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(写真:劇的なサヨナラ弾を放った對馬<右>)

 2年目・對馬、リーグ初本塁打がサヨナラ弾

シオノギ製薬ポポンギャルズ  2= 0001100

伊予銀行ヴェールズ       3= 0000201×

勝利投手 木村(1勝0敗)

敗戦投手 重藤(0勝1敗)

本塁打 (伊)樋口1号2ラン、對馬1号ソロ

 

 4番・国吉、初回に先制2点タイムリー

日立サンディーバ           2= 0110000

トヨタ自動織機シャイニングベガ  4= 301000×

勝利投手 リケッツ(1勝0敗)

敗戦投手 泉(0勝1敗)

本塁打 (豊)中森1号ソロ

 

(文・写真/杉浦泰介)