ラグビー日本選手権決勝が18日、東京・国立競技場で行われ、サントリーサンゴリアスがパナソニックワイルドナイツを21−9で破り、2年連続5回目の優勝を収めた。サントリーはトップリーグに続き、史上2チーム目の2冠を達成。日本代表ヘッドコーチに就任が決まっているエディー・ジョーンズGM兼監督を最高のかたちで送り出した。
“アグレッシブ&アタッキング”を掲げた2年間を体現した試合だった。
 サントリーは立ち上がりから、早いパス回しから敵陣に侵入し、流れをつかむ。だが、パナソニックも鋭いタックルで応戦し、トライには至らない。

 先制したのパナソニックだ。23分、カウンターから一気に左サイドを突破。ゴール前でのスクラムから相手の反則に乗じてFB田邊淳がPGを決めた。
 しかし、サントリーはすぐに逆転する。トライを決めたのはSOトゥシ・ピシだ。26分、キックでボールを前方へ蹴り出すと、そのまま抜け出してゴール内でキャッチ。雨で滑りやすく、両チームとも決定的なパスがつながらない展開だっただけに、状況判断が光ったプレーだった。

 さらに35分、パナソニックのミスに乗じて追加点を奪う。ベテランのWTB小野澤宏時がうまく相手と体を入れ替えて、インターセプト。そのまま一気に左サイドを駆け抜け、ゴールへ飛び込んだ。コンバージョンも決まって14−3。「紙一重。あれがつながっていれば……」とパナソニックの中嶋則文監督が悔やむワンプレーで、サントリーがリードを広げて試合を折り返す。
 
 後半に入ってもサントリーの分厚い攻めは変わらない。自陣へボールを持てば、シンプルに前へ蹴りだし、敵陣に突進した。ボールが手につかず、ミスもみられたが、相手に反撃の時間を与えなかった。一方、パナソニックはラインアウトを2回連続で失敗するなど、自分たちのリズムをつくれない。

 それでもパナソニックがPG2本で5点差に詰め寄り、残りの試合時間は15分。ここからサントリーが本領を発揮した。右へ左へパスをつなぎ、相手陣内で攻め入る。波状攻撃に必死の防戦を続けた相手もこらえ切れなかった。ついに29分、CTB平浩二が中央へトライ。21−9と得点差が再び開き、サントリーが勝利を決定づけた。
「最後の20分でエネルギーを出してくれた。最初の20分のような動きをみせてくれた」
 ジョーンズ監督は、そうハードワークを続けた選手たちを讃えた。

 終わってみれば、失ったトライもゼロと組織的なディフェンスも印象に残った。「日本一のディフェンスのチームにもなった。パナソニックに大きなトライのチャンスはなかったと思う」と指揮官も胸を張る。ジョーンズ監督が指揮を執って2シーズンで、サントリーは攻守ともに日本ラグビーを牽引するチームに成長した。

 今度は代表を強化する番だ。「今日はホッとした。明日になれば優勝を楽しめる」と笑顔をみせたジョーンズ監督だが、早速、19日には4月のアジア5カ国対抗戦に臨む日本代表メンバーを発表し、代表ヘッドコーチの仕事を始める。
「20年もW杯で勝っていないチーム。仕事はたくさんある。この国立競技場で6万人の大観衆の前でウェールズ代表と戦うのを楽しみにしている」

 この日の国立は観衆が10,083人で空席が目立った。ラグビー人気復活のためにも代表の躍進は不可欠だ。トップリーグ優勝と日本選手権連覇の実績を残し、エディー・ジャパンがいよいよ船出する。