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(写真:日本ユニシスから最多7名が選出された)

 日本バドミトン協会は9日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターでリオデジャネイロ五輪出場内定全選手9名による記者会見を行った。5日現在で女子ダブルスの高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)は世界バドミントン連盟(BWF)世界ランキング1位につけている。高橋は「(五輪は)憧れていた舞台。出るだけではなく金メダル」と目標を掲げた。

 

 堂々のトップ通過で、五輪を迎える。宮城・聖ウルスラ学院英智高校の先輩後輩である高橋と松友のペア。4年前のロンドン五輪は日本代表の女子ダブルスの二番手にも入れず、選考レースで敗れた。一方で選考に勝った藤井瑞希&垣岩令佳組がロンドン五輪で日本初の銀メダルを獲得した。高橋と松友は“4年後は自分たちが”との想いを強くした。

 

 ロンドン五輪後は日本トップのペアに成長。全日本総合選手権は4大会中3回優勝した。五輪、世界選手権に次ぐグレードのBWFスーパーシリーズ(SS)でも結果を残すようになっていた。2014年のヨネックスオープンでSS初制覇を果たすと、その年のSSファイナルズ(SSF)で日本人初優勝を成し遂げた。そして全種目を通じて日本人初となる世界ランキング1位にも上り詰めた。一時は4位まで落ちたこともあったが、今年3月に返り咲いた。

 

 かつては世界ランキング1位になった時には苦悩もあったという。「初めて世界ランキング1位は皆勤賞みたいなもの」と所属する日本ユニシス女子チームの小宮山元監督は説明する。世界トップの中国は五輪までペアの組み替えを盛んに行うため、ランキングは変動しやすい。一方でずっとペアを組んでいる高橋と松友の方が俄然有利だ。それゆえの1位だったとも言える。

 

“世界一”の肩書きは彼女たちを苦しめた。松友は「2014年にSSFで優勝して初めて世界ランキング1位になってから、代表選考レースの前半でどこか守りに入ってしまって、“勝たなきゃ”と思ってしまった部分があった」と振り返る。特に世界選手権で結果を残せずにいた。SSでも優勝が遠ざかった時期もあった。高橋も「世界選手権に勝てなかったり、(松友の)ケガで棄権したりと苦しい戦いがあった」と語った。

 

 そこで2人は話し合い「自分たちの力を、やってきたことをしっかり出せばいい」とレースの後半に臨む。昨年11月の中国オープン(SS)で準優勝を果たした。「決勝では負けはしたけどそこから自分たちのプレーができるようになった」と高橋。“自分たちらしさ”を取り戻すと、そこから一気に 上昇気流に乗った。

 

 ここ数カ月は出場した大会で常に優勝争い絡む安定感を見せている。全英オープン、インドオープンとSSを制したほか、アジア選手権でも頂点に立った。小宮山監督も「ベンチに入った時の安心感が今のほうがはるかにある」と証言する。「全英などでは強いペアに勝って優勝しました。自分たちの実力。自信を持って1位と言えるんじゃないかなと。それがプレーに表れていて、『中国に簡単に負けなくなった』と言っていました」。女子ダブルスは96年アトランタ五輪から5大会連続で金メダルを獲得している強豪国を相手にも苦手意識はない。

 

 小学生時代はライバルだった2人。そんな2人を組ませたのが聖ウルスラ学院の田所光男監督である。「強気、強気で攻める高橋と、冷静に攻撃を組み立てる松友はピッタリ合っていた」。田所の予見通り、“タカマツ”ペアは結成わずか数カ月で全国で頂点に立ち、現在は世界のトップダブルスへと成長した。高橋と松友がリオで目指すのは頂点のみである。世界選手権も合わせると20年間、女王に君臨し続ける中国勢の牙城を崩すのは彼女たちしかいない。

 

【リオデジャネイロ五輪日本代表内定選手9名】

 

男子シングルス 佐々木翔(トナミ運輸) 2大会連続2回目

男子ダブルス 早川賢一&遠藤大由組(日本ユニシス) 初

女子シングルス 奥原希望(日本ユニシス) 初

        山口茜(再春館製薬所) 初

女子ダブルス 高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス) 初

混合ダブルス 数野健太&栗原文音組(日本ユニシス) 初

 

※数字は五輪出場歴