3月27日(火)
【高校野球】
◇2回戦
 エース藤浪、投打で活躍
大坂桐蔭        5 = 000003101
九州学院(熊本)   3 = 000200100
【本塁打】
(大)笠松、藤浪
 先に主導権を握ったのは九州学院だった。3回まで197センチの長身、大阪桐蔭のエース藤浪晋太郎(3年)に無安打に抑えられていた九州学院は4回裏、その藤浪から先制のチャンスをつかむ。先頭の2番・山下悠真(3年)は相手エラー、続く3番・萩原英之(3年)は四球で出塁すると、4番・太田晃平(2年)が送りバントをきっちりと決めて、1死二、三塁とした。5番・岡山士朗(3年)は空振り三振に倒れるも、6番・米井健太(3年)が走者一掃となるセンターオーバーの三塁打を放ち、九州学院が2点を先制した。

 しかし6回表、大阪桐蔭がすぐさま反撃する。1死から大西が四球で出塁すると、3番・水本弦(3年)が自身今大会初安打で続き、1死一、三塁とした。ところが、4番・小池裕也(3年)の打球は三ゴロとなり、三塁ランナーが三本間に挟まれ、タッチアウト。2死一、二塁となる。この嫌な流れを断ち切ったのが、この試合5番に打順が上がった笠松悠哉(2年)だった。フルカウントからの6球目、内角高めの直球を振り抜くと、打球はレフトスタンドへ。逆転3ランで大阪桐蔭が試合をひっくり返した。

 その裏、九州学院は山下、萩原と連打が出て、無死一、二塁とした。しかし、続く太田の打球を大阪桐蔭エースの藤浪が三塁へ送球し、二塁ランナーを刺す。なおも1死一、二塁の場面、藤浪は岡山を6−4−3の併殺打にとり、無失点で切り抜けた。すると7回表、その藤浪が自らダメ押しとなる一発を放ち、大阪桐蔭のリードは2点に広がった。ところがその裏、今度は負けじと九州学院エースの大塚尚仁がタイムリーを放ち、九州学院が1点差に迫った。

 試合はそのまま最終回へ。まずは大阪桐蔭が藤浪のタイムリーで1点を追加し、再びその差を2点に広げた。その裏、九州学院は先頭の米井がヒットで出塁し、反撃ののろしを上げた。しかし、続く8番・浅川椋(3年)が痛烈なライナー性の当たりを飛ばすも、打球は一塁手の真正面へ。一塁ランナー米井も帰塁できず、一気に2死無走者となった。そして、最後は代打・園田龍矢(3年)がフライを打ち上げ、これを藤浪ががっちりとグラブに収めてゲームセット。藤浪は6安打2失点完投勝ち。打者としてもホームランを放ち、投打で活躍した。

 浦和学院、完封勝ちで8強一番乗り
浦和学院(埼玉)   2 = 000000020
三重           0 = 000000000

 ベスト8進出をかけた2回戦の初戦となったこの試合は、手に汗握る投手戦となった。三重のエース三浦浩太郎(3年)が浦和学院打線を5回まで無安打に封じる好投を見せると、一方の浦和学院のエース佐藤拓也(3年)も散発2安打に抑え、得点を許さなかった。 しかし、試合が後半に入ると、徐々に三浦の制球が乱れ始め、浦和学院打線がそのボールをとらえ始めた。6回表、三浦は2死から2者連続で四球を出し、この試合初めてランナーをスコアリングポジションに置いてのピッチングとなった。しかし、2番・林崎龍也(3年)を得意のスライダーで空振り三振に仕留めた。

 7回表、またも三重にピンチが訪れた。先頭の3番・佐藤が外角高めの直球をレフトへ弾き返し、チーム初安打となる二塁打で出塁する。続く4番・笹川晃平(3年)は四球で出塁し、5番・山根佑太(2年)が送りバントを決めてランナーを進めると、さらに6番・明石飛真(3年)も四球で出塁し、1死満塁とした。しかし、ここも三浦がバックの好守にも助けられながら踏ん張る。7番・木暮騎士(2年)をショートゴロに打ち取ると、遊撃手が素早くバックホームし、三塁ランナーをホームで刺した。なおも2死満塁の場面だったが、8番・西岡伸朗(3年)を空振り三振に切って取り、無失点で切り抜けた。

 だが、8回表、三浦は3四死球で2死ながら満塁としてしまう。これまでピンチを凌いできた三浦だったが、山根に初球、内角高めの直球をレフトへ弾き返され、2点を失った。一方、打線から大きな援護をもらった浦和学院のエース佐藤はその裏、2者連続で空振り三振を奪う。7番・小林大輝(3年)に内角直球をうまくレフトへ弾き返されると、自らの暴投で小林を二塁へ進めてしまうも、最後は代打・茂山啓吾(3年)を低めの直球で見逃し三振に仕留め、得点を許さなかった。佐藤は3安打無四球の好投で初戦に続いて完投勝ちを収めた。

◇1回戦
 2年生エース中村祐、2安打12奪三振無四球で完封勝ち
別府青山(大分)   0 = 000000000
関東一(東京)    1 = 00100000×

 関東一の2年生エース中村祐太が見事なピッチングを披露した。初回を三者凡退に切って取ると、2回以降も一人のランナーも出さないパーフェクトピッチング。5回まで5者連続を含む8個の三振の山を築いた。エースの好投に応えたい関東一打線は序盤から別府青山のエース中村太亮(3年)を攻めた。1回裏は2死一、三塁、2回裏は2死二塁と、ランナーをスコアリングポジションに進め、先制のチャンスをつくる。しかし、あと1本が出ず、ランナーを返すことができない。

 3回裏、関東一はまたもチャンスをつくる。1番・磯部優太(3年)がボテボテのゴロに打ち取られるも、俊足をいかし、内野安打で出塁した。続く2番・岸直哉(3年)もセーフティバントを成功させ、3番・吉江将一(3年)の犠打で、それぞれ進塁し、1死二、三塁に。4番・秋山翔太(3年)の犠牲フライで関東一が待望の先取点を挙げた。

 一方、別府青山は8回表、先頭の5番・上原大樹(3年)が一塁線を破る痛烈な打球を放ち、両チーム通じて初の長打となる二塁打で別府青山が絶好のチャンスをつくる。続く6番・菊池靖(2年)は送りバントを試みた。この打球を処理した中村祐は三塁へ送球する。これがフィルダースチョイスとなり、無死一、三塁と別府青山のチャンスが広がった。しかし、続く7番・中村太の打席で三塁ランナー上原が飛び出し、三本間でタッチアウト。なおも1死二塁とするも、中村太、榎本と連続で空振り三振に倒れ、ランナーを返すことができなかった。

 試合はそのまま関東一1点リードのまま最終回へと入った。ここまでわずか2安打に抑える好投を続けてきた中村祐の球威は全く衰えておらず、全球直球で挑む。まずは代打の花城智也(3年)を見逃し三振に切って取ると、1番・安翔大はわずか3球でライトフライに。そして、最後は代打・徳丸昴亮(2年)を空振り三振に切って取った。中村は2安打12奪三振無四球と、完璧なピッチングで1点差を死守した。初出場の別府青山は、3投手の見事な継投で強豪・関東一の打線を1失点に抑えたが、打線が2年生エースを最後までとらえることができず、春夏通じて甲子園初勝利を挙げることができなかった。