5月18日現在、カープは223得点で178失点。いわゆる得失点差45はセ・リーグトップの数字だ。それでいて貯金2の3位ということは野球が大味ということである。1点差ゲームは2勝8敗だ。

 

 貯金4で首位を走る巨人の得失点差はマイナス12。カープとゲーム差なしながら2位の中日もマイナス12。上位2チームが、ともに得失点差がマイナスというのも珍しい話だ。

 

 80年以上の歴史を誇るプロ野球において、得失点差がマイナスのチームが優勝したことは1度もない。2リーグ分立以降、最も得失点差が小さかった優勝チームは2011年の中日だ。わずか9の得失点差ながら2位の東京ヤクルトに2.5ゲーム差をつけた。貯金16というのは野球がうまかった証拠である。

 

 この年の中日は典型的な“投高打低”だった。少ないリードを鈴木義広、小林正人、浅尾拓也、岩瀬仁紀ら強力リリーフ陣が守り切った。落合博満監督(当時)によれば継投を担当したのは森繁和投手コーチ(当時)。打たれてから代えるのではなく、打たれる前に代える。この“攻めの継投”が功を奏したのだ。

 

 話をカープに戻そう。勝つ時は大差、負ける時は僅差。リリーフ陣が弱いから、こうなるのだ。しかしリリーフ陣にも言い分はある。「今日は投げるのか、いつ投げるのか、はっきりしないことが多いので準備しづらい」

 

 カープは昔から先発重視である。先発が行けるところまで行き、限界がきたら交代。今の首脳陣にも、そうした“追い込まれ継投”が目立つ。

 

 11日のヤクルト戦では8回、無死満塁でリリーフに立ったジェイ・ジャクソンが打たれ、2-0から逆転負けを喫した。ジャクソンの不甲斐なさは見てのとおりだが、満塁の場面で“行け!”と言われる方もたまったものではあるまい。

 

 クロスゲームをいかに制するか――。25年ぶりの優勝を目指すカープにとって、最大の課題がこれである。せめて1点差ゲームを5割で乗り切れば、十分、優勝争いにくい込むことができると思うのだが……。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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