15日、日本ボクシングコミッション(JBC)は倫理委員会を開き、世界ボクシング評議会(WBC)のフライ級タイトルマッチ(11日、有明スタジアム)で挑戦者の亀田大毅選手(協栄)がチャンピオン内藤大助選手(宮田)に対して反則を繰り返した問題で、大毅選手の1年間のライセンス停止、父親でトレーナーの亀田史郎氏のセコンドライセンス無期限停止などの処分を決定した。大毅選手が所属する協栄ジムの金平桂一郎会長には3ヵ月のオーナーライセンス停止処分が、大毅選手の兄でセコンドについた興毅選手には厳重戒告処分が下された。
(写真:亀田サイドへの処分を発表する安河内剛・日本ボクシングコミッション事務局長(左)と斉藤慎一・同倫理委員会委員長(右))
<JBC倫理委員会による処分発表>

 王者内藤大助とWBC世界同級14位の挑戦者亀田大毅の試合において、12ラウンド、亀田大毅が反則行為により3点減点を課せられた。その行為は崇高なる世界タイトルマッチを冒涜するものであり、多くのボクシングファンの信頼を損ねるものであった。このことは当日の世界タイトルマッチの試合に臨む協栄ジム関係者が日頃から当該選手に対する指導、育成を怠ったことに危惧することが大である。これはJBC試合ルール総則、ならびにルール第9条に抵触し、JBC倫理規定に反するものである。よって、JBC倫理委員会は協栄ジム、金平桂一郎(クラブオーナーライセンス)、亀田史郎(セコンドライセンス)、亀田大毅、亀田興毅(ボクサーライセンス)に対し、下記の通り処分する。

1.金平桂一郎
処分:クラブオーナーライセンスの3カ月停止。
理由:クラブオーナーとしてその監督下にある亀田史朗、亀田大毅ならびに亀田興毅に対する指導、監督責任

2.亀田史郎
処分:セコンドライセンス無期限停止。
理由:第一義として、チーフセコンドとして当該選手に対し理念の教導を誤った。
2番目、試合開始前にレフェリーの注意に対して、恫喝、威嚇行為を行った。
3番目、当該試合のチーフセコンドとして亀田大毅選手のルール違反を惹起した。
4番目、2006年10月12日、2007年4月16日にセコンドとしての不穏当な行動に対して、厳重注意をうながした経緯があるにもかかわらず、前項の行動をなした。

3.亀田大毅
処分:ボクサーライセンス1年間停止
理由:世界タイトルマッチにのぞむにあたって、挑戦者として、その技能を発揮することなく、いたずらに反則行為と見られる行為を頻発し、12ラウンドには反則減点3をとられたことで、世界ボクシングを冒涜し、日本ボクシングにダメージを与え、また多くのボクシングファンの信頼を損ねた。

4.亀田興毅
処分:厳重戒告処分
理由:セコンドとして不適切な指示があった。


 JBCの倫理委員会では、試合のビデオを1ラウンドごとに検証し、慎重に審査した結果、満場一致で今回の処分を決定したという。会見には、安河内・日本ボクシングコミッション事務局長と斉藤・同倫理委員会委員長が出席し、処分の内容について厳しい面持ちで説明した。
 倫理委の斉藤委員長は「30年以上、ボクシングコミッションに携わってきたが、世界戦でこのような(反則)行為を見たのは初めてだ」などと語った。

 亀田兄弟の父・史郎氏は昨年9月、後楽園ホールで行われた亀田大毅のノンタイトル戦で、観客と乱闘騒ぎを起こし、JBCから厳重注意処分を受けるなど、過去に2度、厳重注意処分を受けている。こうした経緯も含め「セコンドライセンス無期限停止」という厳しい処分が下された。

 現時点で亀田サイドからJBCが直接事情聴取は行っていないが、斉藤委員長は「ビデオ検証によって(反則行為が)明白だったことが、処分の大きな要素になった」と説明した。

 今回の試合で、WBCルールでは肉親がセコンドにつくことを認めていないがJBCが認めたことで父・史郎氏、兄の興毅がリングに上がったことなどに関し、会見ではJBCへの責任を問う声も出たが、これに対し安河内事務局長は「内部責任を含め、さらに内部で精査して問題点をきちんと議論したい」と答えるにとどまった。