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(写真:USAワールドカップに出場する選手も含めたメンバーが出席した)

 2日、日本ソフトボール協会は「第15回世界女子ソフトボール選手権大会」(カナダ・サレー、15~24日)の日本代表結団式・壮行会を東京都内のホテルで開催した。キャプテンの坂元令奈(トヨタ自動車レッドテリアーズ)をはじめとした日本代表選手16名が出席。3連覇がかかる日本の福田五志監督は「いい準備ができた。大きな期待と使命を持って臨みたい」と意気込んだ。日本はUSAワールドカップ(アメリカ・オクラホマシティ、5~10日)を経て、カナダに乗り込む。

 

「一丸となって日本のソフトボールを届けられるように3連覇を達成して帰ってきたいと思います」。福田監督は力強く宣言した。2012年のカナダ・ホワイトホース大会、14年のオランダ・ハーレム大会と制している日本。3年連続4度目の優勝へ鼻息は荒い。

 

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(写真:「日米対抗の初戦ではチームの本気を見て、頼もしく感じた」と語る福田監督<中央>)

 過去最多の31カ国・地域が参加する今回の世界選手権は8つのプール(プールAが3チーム。同B~Hは4チーム)に分かれ、各組上位2チームがチャンピオンシップラウンドに進出する。日本はベネズエラ、フランスと同じプールAに入った。指揮官はまずカギを握るのはピッチングスタッフだという。「投手がしっかりゲームをつくってほしい。ゲームメイクをしないと試合を優位に進められない」。前哨戦であるUSAワールドカップにエースの上野由岐子(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)はケガのため帯同しないが、世界選手権には間に合う見通しだ。攻撃陣に対して福田監督は「誰が出てくるか見る機会」と競争に期待する。

 

 今回の代表は上野、山田恵里(日立サンディーバ)と五輪を経験したベテランもいるが、7人の代表未経験者が入った。主軸としてチームを牽引する山田は「私が若いころは先輩方がたくさんいてプレッシャーを背負ってもらっていました。だから今の若い子たちも背負う必要はない。思い切ってプレーしてほしい」と口にした。日本ソフトボール協会の宇津木妙子副会長は若手の活躍に期待を寄せる。ピッチャーの濱村ゆかり(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)、キャチャーの我妻悠香(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)、外野手の長崎望未(トヨタ自動車レッドテリアーズ)の名を挙げ、「世界との差を感じて、“ここは通用する”というのが掴めるはず。何を得てくるかが大事になってくる」と述べた。

 

 世界選手権を終えても、ソフトボール界にとっては重要な局面が続く。8月のIOC総会で2020年東京五輪での競技復帰が有力視されており、2年後は世界選手権を千葉県で開催する。日本国内でソフトボールへの関心が高まっていることは6月23日から3日間行われた日米対抗でも証明されたはずだ。

 

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(写真:長崎<後列右端>、我妻<前列左端>は今後の日本代表を担う存在として期待される)

 東京ドームでの第1戦には3万人を超える観客が集まった。これには解説で現地に訪れていた宇津木副会長も「感動した」という。五輪2大会経験している山田は「オリンピックより入っていました。あれだけ入ったのは初めて。すごいモチベーションになりました。いつもの自分たち以上の力を引き出せた」と語れば、4年後の主役候補に挙げられる長崎は「あんなに入るとは想像もしてなかった。これだけソフトボールを観に来てくださる方がいることがうれしい」と喜んだ。

 

 それだけオリンピックの注目度は桁違いということ。アテネ五輪で銅メダル、北京五輪で金メダル獲得に貢献した山田は「最高の舞台」だと語る。「私がソフトボールをやっている理由は自分がいい思いをしたいのではなく人に感動を与えられ、スポーツの力が大きいということを伝えられることが一番にあります」。自身は高校2年の時にシドニー五輪を見て“自分もあの場に立ちたい”と思ったことが原動力となっている。一方の長崎は高校生の時にソフトボールが五輪の正式競技から外される報を知った。「すごくショックで、ソフトボールをやっている人間としては悲しかった」と長崎。「私たちができるのは全力でプレーすること」と殊勝な思いで吉報を待つ。

 

(文・写真/杉浦泰介)