IMG_0684

(写真:念願のジムをオープンさせた吉田)

 31日、元UFCファイターの総合格闘家・吉田善行が『FIGHT&FITNESS RIGHT THING ACADEMY』(ライト・シング・アカデミー)オープンを翌日に控え、東京都中野区にあるジムでオープニングパーティーを開催した。パーティーには吉田と親交のある格闘技団体DEEPの佐伯繁代表、映画監督の飯田譲司氏、ノンフィクション作家の田崎健太氏らが駆け付け、新たな門出を祝った。

 

 42歳の吉田は「世界を目指す気持ちのある選手を育てたい」と意気込む。こうと決めたら突き進む一本気な性格だ。今年はじめに動き出したジム設立を実現させ、彼は“一国の主”となった。

 

 吉田は4歳の時に父親の経営する柔道場で柔道を始めた。中学からは講堂学舎に所属、高校は名門・世田谷学園に進んだ。東京学芸大学卒業後は、教師となり都内の高校で柔道を教えていた。その後、高校で教鞭を執る傍ら、総合格闘技を始める。そして30歳の時に修斗でプロデビューを果たす。CAGE FORCE初代ウエルター級王者に輝くと、アメリカに渡ってUFCに参戦した。2勝3敗の戦績を収めた。契約が切れた後も、国内外に戦場を移してUFC復帰を目指したが、かなわなかった。

 

IMG_0681

(写真:共に戦っていくジムのスタッフたち)

 総合格闘家として現役を退いたわけではないが、昨年10月の『DEEP 73 IMPACT』を最後に試合はしていない。“次世代の選手を育てたい”“格闘技を広めたい”という2つの想いでジムを開いた。

「前々からジムはやりたいと思っていました。一時期はUFCの舞台に戻りたいと思ってやっていたんです。日本に帰ってきて、DEEPでのタイトルマッチに負けてしまって、年齢的にもUFCへ戻るのは難しい。モチベーションが現役を続ける上で悩んでいる時期があった。負けたまま次の道へ進むのは嫌でした。昨年10月の試合で勝利して一区切りがついた」

 

 中学時代から吉田を知り、現在も親交の深い元総合格闘家の大山峻護氏は語る。

「温かい人間で裏表もない。誠実に人と付き合ってくれる。それは28年経っても変わらないですね」

 

 もちろん彼の魅力は人間性だけにとどまらない。大山氏とは9年前から中野にあるジムで共に格闘技指導を行っていた。元教師だけあって、その指導力には定評がある。大山氏も「吉田は指導者としても優れています。僕は大雑把に教えちゃう方なのですが、吉田はしっかり的確に細かく教えることができる」と証言する。

 

「彼は世界のトップレベルで戦ってきて、その技術を持っている。そういう技術の高い選手を育てることができると思いますし、吉田善行を超えるような選手を育てていってほしいですね」と大山氏。新たな船出を迎えた盟友にエールを送った。

 

IMG_0671

(写真:父・正治<右>と固い握手。熱いエールが送られた)

 一方、父・正治は「これからが大変だと思います。門人を育てる。子どもに教育する。すごく大変なことですが、期待もしています」と口にする。自身も千葉県柏市で柔道場を持って、48年目を迎えたという。息子に対しては「まだまだ教えるのは上手くない」と手厳しかったが、そう語る目はうれしそうだった。

 

 吉田が主宰するライト・シング・アカデミーでは『総合格闘技』『柔術』『グラップリング』『キックボクシング』『鬼フィジカル』『ボディメイキング』『ファイトネス』『ヤワラキッズ』『柔道体操』『親子トレーニング』の10種類ものクラスを実施。格闘技初心者からプロ選手を目指す人まで幅広くサポートする。

 

 ジム名のライト・シングは“Do the Right Thing!”に由来する。海外の格闘技の試合ではトレーナーやセコンドが選手に冷静さを取り戻させるために掛ける言葉だという。国外で戦ってきた吉田も度々耳にしてきた言葉だが、本来は「正しいことをする」「筋を通す」「善い行いをする」などの意味がある。それが吉田の名前である「善行」とリンクしたことから名付けられた。身体への「善い行い」ができる場所。それがジムのコンセプトである。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

IMG_0673

(写真:オープニングパーティーには現役ファイターも詰め掛けた)

【FIGHT&FITNESS RIGHT THING ACADEMY】

住所:東京都中野区弥生町3-24-14

TEL:070‐4221‐5150

詳しくはこちら