テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有が22日、敵地のシアトル・マリナーズ戦に先発し、イチローとの2度目の直接対決が実現した。ダルビッシュは初回、そのイチローから三塁打を浴び、1点を失う立ち上がり。3回にもイチローにタイムリーを許すなど3失点を喫すると、4回は3つの四球を出し、さらに1点を奪われる。結局、ダルビッシュは4回97球、4安打6四球5失点(自責4)でメジャー移籍後、最短イニングで降板。試合はレンジャーズが1−6で敗れ、ダルビッシュは2敗目(6勝)となった。
 デビュー登板で6回途中5失点と不安定だった前回のマリナーズ戦から1カ月、ダルビッシュは登板ごとにメジャーのボールやマウンドにアジャストしていた。この日も勝てば、両リーグ単独トップの7勝目。マリナーズの先発、エースのフェリックス・ヘルナンデスとの投げ合いや、先発前回、3安打を許しているイチローとの再戦は試合前から楽しみだった。

 ところが結果はイチローが2安打、ダルビッシュはデビュー戦よりも悪い4回5失点KO。明暗はくっきりと分かれた。この日のダルビッシュはボールが抜け、制球がままならない。最初の対決は初回、1死からストレートの四球で走者を1人出した場面で顔を合わせた。

 初球からストレート勝負を挑むが、カウント2−1からの4球目が内へ入る。イチローがバットを一閃すると、鋭い打球が一塁線を突破。一塁走者が一気に本塁に生還し、タイムリー三塁打となった。ただ、この後の1死三塁のピンチに対してダルビッシュは連続三振。スライダーを効果的に使い、立ち直りの兆しを見せた。

 しかし、2回を三者凡退で切り抜けた後、再びコントロールを乱す。打率1割台のブレンダン・ライアンに甘く入ったボールをレフトへ運ばれ、先頭打者の出塁を許すと、ダスティン・アックリーにフルカウントから四球。次打者が内野ゴロに倒れ、1死一、二塁の場面でイチローに打席が回ってきた。

 この勝負もダルビッシュはストレートを続ける。だが、カウント1−1からのカット気味のストレートが真ん中に入った。イチローがバットを合わせると、やや詰まりながらも打球はセンター前へ。外野からの返球も乱れ、2者がホームベースを駆け抜けて0−3とリードを広げられた。

 さらに次打者の四球で1死一、三塁とピンチは続き、ヘスス・モンテロには追い込みながら、勝負球が甘くなる。センターへの大飛球はアウトにはなったが、犠牲フライには充分。イチローがタッチアップからホームインし、4点目が入った。普段はダルビッシュを強力援護する味方打線も、この日はマリナーズ・ヘルナンデスの前にランナーは出すも得点が奪えない。その出来を考えれば、もう1点もやれない状況だったが、右腕は踏ん張りきれなかった。

 5回、先頭のジョン・ジェイソには4球続けて外へ叩きつけるようなボールで、一塁に歩かせる。続くマイク・カープには、逆にすっぽ抜け。これまたボールが続き、連続四球で得点圏に走者を背負う。9番ライアンの打席ではバッテリーミスで走者がそれぞれ進塁し、結局、カウント3−1から四球。なんと3四球で無死満塁とピンチが広がった。

 こうなると、さすがのダルビッシュもストライクを取りに行かざるを得なくなる。大チャンスで打席に立ったアックリーは高めに浮いた変化球を逃さず、ライトへ。タイムリーとなり、ついに点差は5点に広がった。その後はイチローをインコースで詰まらせてサードゴロに打ち取るなど、追加点は許さなかったが、この5失点目は内容が悪すぎた。ロイ・ワシントン監督は5回頭から2番手投手への継投を決断。ダルビッシュはテキサスに来て初めて5回まで持たず、マウンドを降りた。

 まるでデビュー時の状態に戻ってしまったようなピッチングで、これでマリナーズ戦は2試合連続で5失点。イチロー相手も通算7打数5安打とメジャーの先輩に軍配が上がっている。ただ、同じア・リーグ西地区でシーズン中に再び激突する機会はある。今度こそベストピッチで両者が相対する試合を見たい。

 なお、レンジャーズの建山義紀はこの日、メジャー昇格を果たし、早速6回に今季初登板。最初のイニングを3人で退け、2イニング目もイチローを空振り三振に仕留めるなど2死を奪ったが、そこから四球をきっかけに得点を与え、2回1失点だった。