タンパベイ・レイズの松井秀喜が現地時間29日、メジャー昇格を果たし、同日の本拠地で行われたシカゴ・ホワイトソックス戦で早速、「6番・レフト」でスタメン出場した。マイナーでは打率1割台、0本塁打と結果が出ていなかった松井だが、この日は4回の第2打席、右中間スタンドへ運ぶ2ランを放つ。試合は2−7で敗れ、ヒットは本塁打の1本のみだったが、自身のメジャー10年目の開幕を派手な一発で飾った。
 いきなりゴジラが目覚めの火を噴いた。
 日本時代から背負っていた「55」番ではなく背番号「35」でのスタート。その初戦で本領を発揮した。

 両チーム無得点で迎えた4回、レイズのユニホームを着て2回目のアットバット。対するはホワイトソックス先発のフィリップ・ハンバー。4月にはシアトル・マリナーズ相手に完全試合を達成している右腕だ。

 その初球、ストレートが甘く真ん中へ入ったのを見逃さなかった。バットを一閃すると打球は弧を描いてライトスタンドへ。オークランド・アスレチックスに所属していた昨年9月9日以来となるホームランだ。久々の感触を確かめるかのように、ゆっくりとダイヤモンドを一周すると、仲間からの祝福に日焼けした顔がほころんだ。

 第1打席から内容は悪くなかった。2回1死無走者での打席、初球からフルスイングをみせ、カウント1−1からストレートをレフトへ弾き返した。レフトフライに倒れたものの、打たされた感じではなかった。同じ球種を2打席目では確実にとらえた。

 松井の一発で幸先よく先制したレイズだが、中盤に先発のジェームズ・シールズがつかまり、試合をひっくり返される。松井も6回の第三打席はインコースの変化球攻めにあい、セカンドゴロ。9回の最終打席も左腕相手にシンカーを引っ張ったがファーストゴロに倒れた。

 ヒザに古傷を抱え、人工芝球場で不安視されていた守りは守備機会が1度だけ。ただ、最後までレフトのポジションに就いた。レイズは故障者続出中で、今後も外野手での出場が予想される。昨オフからメジャーのオファーがなく、結果を出さなければ本当に後がないシーズン。2カ月遅れで始まったプロ20年目は、ひとまず最高のかたちで幕を開けた。