「HERO’S2007 〜ミドル級世界王者決定トーナメント開幕戦〜」が7月16日、横浜アリーナで開催され、昨年準優勝の宇野薫(和術慧舟會東京本部)が、永田克彦(新日本プロレス・NEW JAPAN FACTORY)に判定3−0で勝利、トーナメント準決勝進出を決めた。
 所英男(チームゼスト)は、前回の対戦でひざ蹴りを浴びTKO負けしたブラックマンバ(インド/フリー)と対戦したが、またもTKO負け、リベンジはならなかった。宮田和幸(フリー)はビトー“シャオリン”ヒベイロ(ブラジル/ノバウニオン)に肩固めで一本負けを喫した。
(写真:注目の日本人対決、宇野<左>×永田は宇野が判定3−0で勝利)
 メーンイベントのスーパーファイト、田村潔司(U-FILE CAMP)×金泰泳(正道会館)は、延長の末、金が判定3−0で勝利した。“PRIDEからの刺客”と紹介された田村は、金のローキックに足が止まり、グラウンドに持ち込んだ際も決め切れず、勝利はならなかった。試合後は「絶対に落としてはいけない試合だった。コンディションは良くなかったが、それは金選手も同じ。タックルからパスガードに行きたかったが、思うようにいかなかった」と振り返り、試合前から話題に上がっている秋山成勲戦については「今は階段を踏み外した状態。勝負論で言うと、現時点で自分に次に出る資格はないと思っている」と淡々と語った。

 また休憩明けには、2000年にヒクソン・グレイシーと激闘の末に敗れ引退した船木誠勝がリングに登場、大みそかイベントで7年ぶりにリングに復帰することを電撃発表した。
 船木は、桜庭や田村ら同世代の選手の活躍に刺激を受け、また今年、柴田勝頼と「ARMS」を結成したことがきっかけでリングへの思いが再燃したという。リング上で「相手は誰でもいいです。とにかく強い人を待っています」と語り、その後の会見では「ヒクソンとやって終わっているので、もし相手に“2回目”が彼の頭にあるのなら、またやりたい」と7年前のリベンジにも意欲を見せた。
(写真:判定で勝利が告げられガッツポーズを見せる金)

宇野、準決勝進出! 所、宮田は敗退
 ブラックマンバへのリベンジに挑む所は、相手の膝げりを警戒しながらもうまく足に絡みつき、幾度となく足関節を狙っていく。だが「今は柔術を中心に練習している」というブラックマンバは手足の長さを生かし、うまくすりぬける。
 足関節を狙い続ける所に対し、容赦のないパウンドを浴びせるブラックマンバ。さらに所のボディーにひじを打ち込む。最後は所の防戦一方となり、1R4分47秒、レフェリーが試合を止めた。リベンジが果たせなかった所は、試合後、「敗因は気持ちの弱さ。自分に勝てなかった」と唇を噛んだ。

 優勝候補との呼び声の高いビトー“シャオリン”ヒベイロと対戦した宮田は、ローやハイなど多彩なキックで攻勢に試合を進めるが、2R1分54秒、一瞬のすきにシャオリンに肩固めを極められ、無念のタップ。試合後、「基本は寝技よりも打撃でやろうと思っていた。(グラウンドで)下から技を出してみたかったけど、相手のほうが上だった」と語った。勝ったシャオリンは「チャンピオンを目指している。ベストの選手と戦いたい」と優勝への意欲を見せた。

 日本人ファイターが相次いで敗れる中、昨年のファイナリスト・宇野が、レスリング五輪銀メダリストの永田と対戦。“百戦錬磨”の宇野は永田のパワーの前に、やや攻めあぐねるが、打撃を中心に攻撃を展開。手数と有効打で永田を上回り、判定3−0で勝利。日本人として唯一トーナメント準決勝へ駒を進めた。
 試合後、宇野は「打撃、寝技にこだわらずチャンスがあれば狙おうと思っていた。勝ち方には納得がいっていない。プレッシャーがあったし、動きが硬くなってしまった。こんな試合をやっていたら勝てないと改めて感じた」と反省の弁。「たくさん練習して9月につなげたい」と悲願の優勝に向け表情を引き締めた。

 これで準決勝進出は宇野、シャオリン、ブラックマンバの3選手となり、ここに負傷の回復によって昨年王者のカルバンが加わり、2007年度のベルトを争うことになる。またカルバンの状況によってはこの日のスーパーファイトでアルトゥール・ウマハノフ(ロシア/SKアブソリュート・ロシア)にTKO勝ちを収めたアンドレ・ジダ(ブラジル/シュートボクセ アカデミー)も有力となった。

試合結果は以下の通り。

<第8試合> ※スーパーファイト
○金 泰泳(日本/正道会館)
2R判定1−0ドロー 延長判定3−0
×田村潔司(日本/U−FILE CAMP)

<第7試合> ※スーパーファイト
○メルヴィン・マヌーフ(オランダ/ショータイム)
1R2分13秒KO
×ベルナール・アッカ(コート ジボアール/フリー)

<第6試合> ※ミドル級最強王者決定トーナメント開幕戦
○宇野 薫(日本/和術慧舟會東京本部)
2R判定3−0
×永田克彦(日本/新日本プロレス・NEW JAPAN FACTORY)

<第5試合> ※ミドル級最強王者決定トーナメント開幕戦
○ブラックマンバ(インド/フリー)
1R4分47秒TKO
×所 英男(日本/チームゼスト)

<第4試合> ※ミドル級最強王者決定トーナメント開幕戦
○ビトー“シャオリン”ヒベイロ(ブラジル/ノバウニオン)
2R1分54秒 一本(肩固め)
×宮田和幸(日本/フリー)

<第3試合> ※スーパーファイト
○ハレック・グレイシー(ブラジル/グレイシー柔術)
1R3分05秒 一本(腕十字固め)
×柴田勝頼(日本/ARMS)

<第2試合> ※スーパーファイト 
○アンドレ・ジダ(ブラジル/シュートボクセ アカデミー)
1R1分20秒TKO
×アルトゥール・ウマハノフ(ロシア/SKアブソリュート・ロシア)

<第1試合> ※スーパーファイト
○アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ(ブラジル/ワールド ファイト センター
2R1分55秒KO
×勝村周一朗(日本/チームゼスト/勝村道場)