リオデジャネイロ五輪に出場した男子U-23代表は1勝1分け1敗の勝ち点「4」でグループリーグ3位に終わり、決勝トーナメント進出を逃がした。グループリーグを突破できる力があっただけに、残念だった。

 

 試合当日に会場入りしたナイジェリアとの初戦を4-5で落としたのはさすがに痛かった。相手の動きは鈍く、明らかに移動の疲労を見せていた。だが守備のバラバラ感はあってもゲームをコントロールしていたのもナイジェリアのほうで、日本としては勝てなくても引き分けには十分持ち込めたゲームであったと思う。

 

 もっと痛かったのが2戦目のコロンビア戦だ。DF藤春廣輝のオウンゴールなどで2点をリードされてからようやく火がつき、追いついてのドロー。ナイジェリアと同様にコロンビアも全体的に動きが今ひとつでオーバーエイジ枠のFWテオフィロ・グティエレスなどそろえても、組織力は日本のほうが上だった。勝てた相手だった。

 

 引き分けることができたナイジェリアに負け、勝つことができたコロンビアに引き分けた。

 初戦がすべてという見方もあるが、筆者はむしろ2戦目がカギだったと感じている。尻に火がついた状態で臨んだにもかかわらず、エンジンが掛かるのが遅かった。中2日、気候面など悪条件のなかで選手たちはよく戦っていた。しかし「コロンビアに負けたら終わり」ではなく、「コロンビアに勝てなかったら終わり」という空気感がもっと欲しかった。受け身に回ったナイジェリア戦の嫌な流れを引きずってしまっているようにも思えた。

 

 日本は大舞台での「切り替え」がうまいとは言えない。初戦で負けた後の第2戦目を勝ち切れていない。

 

 ワールドカップでは2006年のドイツ大会で初戦、オーストラリアに逆転負けを喫すると続くクロアチア戦は引き分けに終わっている。先の2014年、ブラジル大会でも初戦のコートジボワール戦を落とし、2戦目のギリシャ戦は相手が1人退場になりながらもスコアレスドロー。初戦の敗北を受けて吹っ切れた戦いを見せられず、2大会とも重い空気がさらに2戦目で深まった感があった。

 

 ブラジルW杯後、アルベルト・ザッケローニ監督にインタビューした際、彼はこのように語っていた。

「(2戦目は)ギリシャが得意とする戦い方をさせてしまった。数的不利になったときの彼らのフィジカル、ディフェンス能力は高い。あの状況ではより速いスピードでボールを回して、素早いコンビネーションで崩していくしか手段はなかった。しかし我々は1試合目のコートジボワール戦でうまく(コンビネーションを)出せなかった不安を抱えて試合に入ったため、ウチらしい攻撃を出せなかった」

 唇を噛むようにして話していた姿が印象的だった。

 

 五輪も同様である。2004年のアテネ五輪では初戦のパラグアイ戦に3-4で敗れ、続くイタリア戦も2-3で2連敗を喫している。2008年の北京五輪でも米国との初戦を0-1で落とし、第2戦のナイジェリア戦でも1-2で敗れた。いずれの大会もグループリーグ敗退となった。そして今回の手倉森ジャパンも「負の歴史」にピリオドを打つことはできなかった。

 

 初戦に勝つことができれば、それに越したことはない。

 しかし世界の大舞台において初戦に敗れたところから立て直す術を持たなければ、サッカー強国の仲間入りはできない。

 

 ナイジェリア戦からフィジカル、メンタルの両面でどう立て直そうとしたのか。今回のリオ五輪をしっかりと検証し、次の大舞台につなげていかなけ

ればならない。


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