現地時間21日、陸上の男子マラソンが行われ、エリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間8分44秒で初優勝した。ケニアは男女マラソンで金メダルを獲得。2位にはフェイサ・リレサ(エチオピア)が2時間9分54秒、3位にはゲーリン・ラップ(アメリカ)が2時間10分5秒で入った。日本勢最高位は佐々木悟(旭化成)が2時間13分57秒で16位。石川末廣(Honda)は2時間17分8秒で36位、北島寿典(安川電機)は2時間25分11秒で94位だった。

 

 陸上競技のフィナーレを飾る男子マラソン。日本は女子に続き、男子も入賞者なしに終わった。

 

 スタート前から雨雲に包まれたサンボドロモ。雨に打たれながら155人が一斉に飛び出した。入りの5キロを15分31秒で大集団となった先頭グループが通過する。1キロ3分以上のペースと序盤は慎重な立ち上がりとなった。この時点で既に北島は先頭集団から遅れ始めた。

 

 20キロ通過時点でも依然として40人ほどが固まって集団を形成する。25キロ通過すると横に広がっていた集団は徐々に縦へと割れていった。アフリカ勢がリードするグループの中で佐々木は中位をキープ。このあたりで石川は先頭集団から離脱した。

 

 ペースアップを図る先頭集団。27キロ地点の給水ポイントで集団がさらに減り、今度は佐々木が離され始める。先頭グループは10人前後となり、30キロを過ぎるとキプチョゲ、リレサ、ラップら1ケタに絞られた。残り10キロ付近でキプチョゲ、リレサ、ラップの三つ巴となった。

 

 35キロ通過は1時間47分40秒。30キロからの5キロは14分25秒と明らかにペースが上がる。ここでラップが離され、キプチョゲとリレサの一騎打ちとなった。キプチョゲはアテネ、北京五輪はトラックの5000メートルでメダルを獲得しているスピードランナー。今年4月には世界歴代2位の2時間2分57秒を記録しており、ここまでマラソン成績は7戦6勝と好調だ。

 

 金メダル最有力候補のキプチョゲは、リレサを牽制しながら突き放しにかかった。快調に飛ばし、ぐんぐん差を広げる。キプチョゲの一人旅が続く。31歳のケニア人は表情ひとつ変わらない冷静な走りで他を圧倒した。このまま影を踏ませることなくフィニッシュ。2時間8分44秒でゴールテープを切った。

 

 日本勢は佐々木がトップでフィニッシュ。16位に終わり、2大会連続の入賞には遠く及ばなかった。今大会はトラック種目を含め、日本の長距離界は世界の壁に跳ね返された結果となった。

 

(文/杉浦泰介)