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(写真:カンファレンスに富樫<前列左>、田臥<前列左から2番目>らリーグを代表する選手が集った)

 12日、男子バスケットボールの新リーグ「B.LEAGUE」のティップオフカンファレンスが都内のホテルで行われた。大河正明チェアマンは「あらゆる壁や境界を壊して、バスケットボール文化を根付かせていきます」と力強く誓った。カンファレンスには1部リーグに所属する18チームの代表者が出席。2016‐17シーズンへの意気込みを語った。

 

 いよいよ新リーグの開幕が迫る。bjリーグとNBL。2つのリーグが統合し、45チームが3部に分けられた。先陣を切って22日に行われるのが1部のアルバルク東京と琉球ゴールデンキングスの開幕戦だ。

 

 大河チェアマンは「過去の前例にとらわれることなくゼロから準備を進めてまいりました。あと10日でバスケットボールの新たな歴史を刻む瞬間、B.LEAGUEの開幕を迎えます」と挨拶。1年前、新リーグの名称が決まった会見で掲げた「B.LEAGUE」の3つの役割を大河チェアマンは再び口にした。

 

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(写真:「選手、コーチ、審判が大活躍できる舞台を一生懸命整えてまいりました」と胸を張る大河チェアマン)

 1つ目の「世界に通用する選手の輩出」するためにシーズン中の日本代表戦を行うなど、リーグと代表の連携を強化する。そしてビデオ判定の導入を明言。その理由を「審判をサポートし、試合のクオリティーをアップする。“審判のレベルはその国の競技レベル”と言われています」と述べた。

 

 2つ目の「エンターテインメント性の追求」には、開幕戦での世界初の全面LEDコートを採用する。「これまでのスポーツ競技界では見られなかった新たなスポーツエンターテインメントカルチャーを創出していく予定です」。贔屓チームの勝敗に関わらず、観客が“楽しかった”と感じられるリーグを目指す。

 

 3つ目は「夢のアリーナ実現」。大河チェアマンによれば、既に沖縄県や栃木県では実現に向かって前進しているという。スポーツ庁や経済産業省を中心にスタジアム・アリーナ推進に関わる官民連絡協議会が立ち上がっている。

 

 大河チェアマンは「バスケットボールで奇蹟を起こすため、“前例を笑え!”“常識を壊せ!”“限界を超えろ!”と『BREAK THE BORDER』をスローガンに、あらゆる壁や境界を壊してバスケットボール文化を根付かせてまいります」と締めた。

 

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(写真:「バスケットの楽しさ、気持ちを込めて戦う部分を伝えていきたい」と語る田臥)

 カンファレンス後の囲み取材で、一際報道陣が集まっていたのが、栃木ブレックスの田臥勇太だ。日本人初のNBAプレーヤーで日本バスケ界の顔とも言える存在。帰国後は司令塔としてチームとリーグを牽引してきた。その役割は新リーグになっても変わらない。

 

「日本にはB.LEAGUEがあるということを知ってもらえるよう自覚と責任を持って、リーグを成長させていきたいと思います」。田臥は日本バスケ界に数々の歴史を刻んできたプレーヤーだ。プロとしての誇り、自覚は誰よりも強いはずだ。「自分たちがプロ選手としてやれていることに、感謝の気持ちでいっぱい。その分、バスケットボールが日本の中で興味を持ってもらえる大切なきっかけになると思います。子どもたちが将来B.LEAGUE選手になりたいと夢や目標を持ってもらえるようなリーグにしていきたい」。ブレックスの背番号「0」が、その伝道師となる。

 

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(写真:「ゲームの流れをもっと読んで、何が必要かを考えながらプレーする」を目標に掲げる城宝)

「選手は待ち望んでいたと思うし、バスケットをやっている子どもたちのためにも絶対プロがひとつでトップリーグがあった方がいいと思っていました。これからのバスケット界の期待が持てるようなリーグになって、すごく楽しみです」。そう語るのは、2度目のプロリーグ開幕を迎える富山グラウジーズの城宝匡史である。

 

 bjリーグ元年からプレーした屈指のシューターは大阪エヴェッサで初代王者に輝いており、“2度目”の初代王者に挑戦できる数少ない選手である。「やっぱりここでも優勝を狙っていきたい」と城宝。bjで培った経験をいかに新リーグで生かせるか。昨シーズンはファイナルで敗れてbjリーグ最終年を飾れなかっただけに、その悔しさを晴らせるか。

 

 バスケ界に新たな歴史が刻まれる瞬間まで、カウントダウンは始まっている。城宝が言うように「待ち望んでいた」プロリーグの統一。このワクワク感をどれだけ広げ、22日に爆発させられるか。日本バスケの潜在能力が試される機会にもなるだろう。

 

(文・写真/杉浦泰介)