空手家・植草、「4年後は金メダル確実だと思われる選手に」
14日、味の素株式会社が「日本のトップアスリートを支えているアミノ酸」をテーマにメディア向けのセミナーを都内の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で行った。有識者によるパネルディスカッションと、現役アスリートを招いてのトークセッションの2部構成で開催された。トークセッションには2020年東京五輪の追加競技種目となった空手の植草歩(高栄警備保障)の他、リオデジャネイロ五輪でメダルを獲得した競泳の瀬戸大也(JSS毛呂山)、バドミントンの高橋礼華、松友美佐紀(いずれも日本ユニシス)が出席。植草は「3人のメダリストと話ができ、貴重な経験だった」と語り、その意識の高さに刺激を受けたことを明かした。
イベントはスポーツキャスターで、競泳のバルセロナ五輪金メダリストの岩崎恭子氏が司会進行役を務めた。1部のパネルディスカッションには味の素グローバルコミュニケーション部の栗原秀文氏が「世界に誇る『スポーツ用アミノ酸組成素材』」と題して、実際にサポートしている日本代表やアスリートを例に挙げて、アミノ酸の重要性を説明。アミノ酸研究の第一人者と言われる早稲田大学スポーツ科学学術院の宮下政司准教授は「アスリートの抱える課題を栄養生理学的に予防・克服する」をテーマに講演を行った。宮下准教授は「コンディションの維持とパフォーマンスの向上」と、アミノ酸の効果を力説した。
2部のトークセッションは引き続き岩崎氏が司会で瀬戸、高橋、松友、植草、栗原氏を交えて、トレーニングや調整法などコンディション作りなどを聞いた。リオ五輪で金メダルを獲得した“タカマツ”ペアの高橋は「いかに疲労を溜めないか」を重要視して、試合中にもゼリーを捕食しているという。バドミントン日本代表は国際大会の前にNTCで合宿を行うため、強度の高い練習で追い込むこともある。現地に入ってからリカバリーする。この日もイベントを挟んで練習を行っており、一年中、世界を転戦し続ける競技のハードさを物語っていた。
そんな“タカマツ”ペアに刺激を受けたのが、植草だ。「松友選手は本心で『(バドミントンが)楽しい』と言っていた。バドミントンだけをやる日があるのに、『それでも私たちには足りない』とも。意識の高さが金メダリストは違うと実感しました」と語り、「一言一言の重みが違う」と“金言”に感嘆していた。
4年後の東京五輪で空手が実施されることが決まり、植草はリオ五輪も選手たちのコメントや表情に注視していた。中でも印象に残ったのが、女子レスリング52キロ級決勝で吉田沙保里を破ったヘレン・マルーリス(アメリカ)だった。
「彼女は吉田選手の思考まで考えてやったと。もっと吉田選手の良さを知って、『サオリは私のヒーロー』と言っていました。相手を思いやり、尊敬する気持ちが強さにつながるんだなと感じたんです」
空手界にとって、やはり東京五輪の存在は大きい。それを目標にし、公言する若手も目立ってきた。植草も「私も負けていられない。オリンピックに入るために動いていた人で終わりたくない」と闘志を燃やす。そのためには更なるレベルアップが必要と考えている。「今のままでは金メダルは程遠い。4年後までに金メダル確実だと思われる選手になっていきたい」と意気込んだ。
(文・写真/杉浦泰介)