31日(現地時間)、競泳の男子200メートルバタフライ決勝が行なわれ、金メダルを目指した松田丈志(コスモス薬品)は1分53秒21で3位となり、2大会連続の銅メダルだった。日本記録を上回るペースで前半を折り返したが、後半は思うように伸びなかった。金メダルは準決勝を2位で通過したチャド・レクロー(南アフリカ)。3連覇を狙ったマイケル・フェルプス(米国)は2位に終わった。
 目標の世界一には届かなかった。それでも松田は「4年ぶりに会心のレースができた」と自身の泳ぎに納得の表情を見せた。

 決勝まではシナリオどおりだった。予選は「丁寧にいくことと、次(準決勝)で1番を取っていれば大丈夫だろうという気持ちで泳いだ」というしたたかなレース運びで1分55秒81の全体8位で通過。迎えた準決勝は計画どおり、全体1位(1分54秒25)で決勝進出を果たした。最大のライバルであるフェルプスを抑え、いよいよ悲願の金メダル獲得を予感させる内容だった。

 決勝では、やはりフェルプスが常に先頭を泳ぐレース展開。これに対して松田は50メートルを25秒36、100メートルは54秒18という自身が持つ日本記録(1分52秒97)を上回るペースで“怪物”を追っていく。150メートルのターンでは2位に浮上し、フェルプスとの差も0秒38に迫った。

 ところが、久世コーチと「勝負になる」と話していた最後の50メートルでの伸びがなかった。フェルプスとの差を縮めきれないばかりか、25メートルを切ったところで5コースのレクローに追い抜かれる。フィニッシュタイムは1分53秒21。4年間、狙い続けてきた世界一の座に就くことは叶わなかった。

 4年前は初のメダル獲得で、「自分色のメダル」と表現した。今回は「本当に多くの方に支えられた銅メダル」と語った。北京後はスポンサー獲得のために自らスーツを着て営業に出向く日もあった。ラストの50メートルは「ここまでたくさんの方が応援してくれたので、そういう人たちの気持ちも乗せて泳いだ」という。4年前と色は同じだが、松田にとってその重みは北京以上だったに違いない。

 ただ、松田にはまだ仕事が残っている。2大会連続で銅メダルを獲得している400メートルメドレーリレーに出場が濃厚だ。日本競泳陣のキャプテンとして、必ず、もうひとつメダルを日本に持ち帰る。