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(写真:町田<左>との日本代表PGのマッチアップを制した吉田)

 7日、第18回Wリーグが開幕した。東京・代々木第二体育館で行われたJX-ENEOSサンフラワーズ(昨シーズン1位)が富士通レッドウェーブ(同2位)を76-61で下した。JX-ENEOSは第1クォーター(Q)を10点のリードで終えると、その後も着々と点差を広げた。終わってみれば15点差をつけての快勝。9連覇を目指すシーズンで上々のスタートを切った。

 

 ツインタワー渡嘉敷&間宮、揃ってダブルダブル(代々木第二体育館)

富士通レッドウェーブ 61-76  JX-ENEOSサンフラワーズ

【第1Q】9-19【第2Q】13-17【第3Q】23-24【第4Q】16-16

 

 Wリーグ18回目のオープニングマッチは昨シーズンのプレーオフファイナルと同じ組み合わせとなった。ベスト8ではあったものの、リオデジャネイロ五輪でアカツキファイブ(バスケットボール日本代表の愛称)が健闘した。両チームに代表戦もあって、チケットは完売した。立ち見も出るほどの3165人の観客が代々木第二体育館に詰め掛けた。

 

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(写真:アシスタントコーチから昇格し、今季から指揮をとるホーバスHC)

 試合はスピーディーでアップテンポの展開だったが、2分半以上スコアが動かなかった。先制点は昨シーズンファイナルで悔しい思いをした富士通だった。ガード(G)町田瑠唯からのパスでG篠崎澪が決める。さらに篠崎がスリーポイント、町田がシュートを入れて7点をリードする。

 

 ヘッドコーチ(HC)を務めるトム・ホーバスが「開幕戦でみんな緊張していた。出だしは良くなかった」と語るように、序盤は硬さが見られたJX-ENEOSも徐々にリズムを取り戻す。起点となったのはアカツキファイブのキャプテンで司令塔の吉田亜沙美だ。

 

 前半4分過ぎにG吉田がジャンプシュートを決めて攻撃陣に火をつける。4-7となった6分過ぎにはスリーポイントを沈めて、同点に追いついた。直後にはフォワード(F)宮澤夕貴のゴールをアシストし、9-7とこの試合初めてのリードを奪った。

 

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(写真:宮崎<左>が6得点4アシストするなどベンチメンバーも活躍した)

 JX-ENEOSは戦力の厚さを見せつける。第1Q終盤はベンチメンバーのG宮崎早織、ガードフォワード(GF)大沼美琴がスリーポイントを決めるなど、19-9と10点差をつけた。「自分の持ち味は出せた」と3年目の宮崎はスピードを生かしたドライブで、吉田とは違った色でチームを乗せる。その後もセンターフォワード(CF)の渡嘉敷来夢と間宮佑圭というツインタワーがリバウンドを制し、攻撃に繋げる。JX-ENEOSのオフェンスが勢い付いた。

 

 36-22で前半を終えると、第3Qからも得意のディフェンスからの速攻で得点を重ねた。エンジンのかかった攻撃陣を操るのは吉田。アウトサイドは宮澤、インサイドは渡嘉敷と間宮がスコアを積み上げていった。第4Qは若干ペースが落ち着いた感もあったが、それでも危なげなく76-61で試合を締めた。

 

 JX-ENEOSのホーバスHCは「オフェンスのタイミングはまだ100%じゃないがディフェンスは良かった」と振り返る。キャプテンの吉田も「出だしの悪さは気になったが、得意とするディフェンスは出ており、リバウンドからのブレイクもできていた」と守備面を評価する。

 

 昨シーズン2位の富士通に快勝し、9連覇へ向けて盤石の体制を築いているJX-ENEOS。ホーバスHCは「今シーズンはオフェンスもディフェンスもいろいろとチャレンジさせたい」と語り、「もっといい選手、チームに育てたい」と意欲的だ。

 

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(写真:華麗なゲームコントロールだけでなく、ボールへの執着心も見せた吉田)

 中でもチーム最多の22得点を挙げた宮澤の成長は顕著だった。昨シーズンは1試合平均7.8点。シュートエリアが広がったのは明らかで、シュートすら0本だったスリーポイントを12本放って6本決めた。本人も「筋力アップの影響。スリーポイントも多く練習して、フォームが安定しました」と手応えを口にした。

 

 女子のリオ五輪での活躍、男子は新プロリーグ「B.LEAGUE」が開幕した。勢い付いている日本バスケ界。女子バスケ界を牽引する吉田は「1年を通してバスケの魅力を1人でも多くの人に伝えたい。私たちはコートの上で表現するかしない」と話す。日本でバスケをメジャースポーツに――。そのためには国内リーグを盛り上げ、選手たちの更なるレベルアップを抜きには語れないだろう。

 

「コート上で表現する」。まずは圧倒的な強さを誇示する最強女王のJX-ENEOSがWリーグを牽引する。それを大きくアピールした開幕戦だった。

 

(文・写真/杉浦泰介)