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(写真:完全試合を達成し、抱き合って喜ぶアボット〈左〉と峰)

 9日、第49回日本女子ソフトボールリーグ第8節神奈川大会2日目がサーティフォー保土ケ谷球場で行われた。トヨタ自動車レッドテリアーズは、Honda Revertaに5-0で勝利した。トヨタ自動車は3回裏に3点を先制すると、4回と6回にも1点ずつ加えた。守っては先発モニカ・アボットがリーグ史上11人目の完全試合を達成。チームは開幕16連勝となり4位以上が確定し、決勝トーナメント進出を決めた。その他の試合は戸田中央総合病院Medicsが伊予銀行ヴェールズに5-3の延長11回サヨナラ勝ち。日立サンディーバがNECプラットフォームズRed Falconsを5-1で下した。

 

 アボット、10連続含む19奪三振で完全試合

Honda Reverta          0 = 0000000

トヨタ自動車レッドテリアーズ   5 = 003101×

勝利投手 アボット(9勝0敗)

敗戦投手 メロー(5勝7敗)

 

 トヨタ自動車が、今年も一番乗りで決勝トーナメント進出を決めた。チームを“指定席”に導いたのは絶対的エースのアボットだ。今シーズンも10試合に登板し、8勝負けなし。防御率も0点台と抜群の安定感を誇る。

 

 雨の影響で前日は試合が順延、この日は開始時間が3時間半遅れた。マウンドに上がったアボットは「自分たちがアグレッシブにいって、チームに勢いを与えよう」という気持ちで臨んだ。

 

 初回はHondaの柴崎恵梨、小川絵里加、バレリエ・アリオトのを3者連続三振に切って取った。2回以降もストレートの威力、コントロールは十分過ぎるほどだった。バッタバッタとHonda打線に空を斬らせる。3回を終えてパーフェクト。そのすべてが三振という圧巻の内容だった。

 

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(写真:レフトへ先制タイムリーを放つ山崎)

 快投を続けるエースに打線が応えたのは3回裏だ。3番の長崎望未がフォアボールで出塁すると、続く坂元令奈がゴロを打ってスコアリングポジションに進めた。林真由の打席でHonda先発のモーガン・メローの暴投で三塁へ。林が歩いて1死一、三塁のチャンスで山崎早紀の打球が三遊間を破った。

 

 1点を先制し、なおも好機は続く。7番の渥美万奈が外角の球を弾き返すと、レフトの頭上を越えた。走者2人が還り、3点のリードを奪った。この日のアボットには十分過ぎる援護点。アボットは4回1死でサードフライを“許し”、連続三振は10でストップした。

 

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(写真:打者21人を95球で片付けたアボット)

 それでもアボットの勢いは衰えることはなかった。「コーナーを(バッテリーを組む)峰(幸代)と使えたのが良かった」とコントロールは冴え渡り、三振の山を築いていく。4回裏と6回裏に林がタイムリーを放って、5点のリードで最終回を迎えた。

 

 この時点で4者連続、計16個の三振を奪っていたアボット。あと3人で自身日本リーグのリーグ戦では初となる完全試合が見えてきた。「特に意識はしなかった」というアボットは、代打の吉田菜々を空振り三振に切って取る。小川とアリオトのバットも空を斬らせ、5回2死からの7者連続三振で試合を締めた。

 

 19奪三振、2つの内野フライでリーグ史上11人目の完全試合。アボットは塁に出すどころか、外野に打球が飛ぶことすら許さない圧倒的なピッチングを披露した。女房役を務めた峰は「ボール半個分の動き、コントロールが良かった。球威もあってやりやすかった。余計なことを考えずに引き出すことに専念した」と語った。 峰によれば、投げミスはほとんどなかったという。完全試合についても「3回終わって9三振ですから今日はいけるんじゃないかと思いました」とマスク越しにも手応えはあった。9月にはリーグ通算1000奪三振をマークしたアボットが、またひとつ大きな勲章を手にした。

 

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(写真:伊予銀行は延長11回に山崎のタイムリーで勝ち越したが、逆転を喫した)

 長谷川、熱戦制すサヨナラアーチ

伊予銀行ヴェールズ     3 = 00100100001

戸田中央病院Medics   5 = 00200000003×(延長11回)

勝利投手 大平(2勝3敗)

敗戦投手 木村(4勝2敗)

本塁打 (伊)對馬4号ソロ、加藤1号ソロ

     (戸)長谷川3号2ラン

 

 4番・佐々木、初回に先制3ラン

NECプラットフォームズRed Falcons   1 = 0100000

日立サンディーバ              5 = 310100×

勝利投手 山中(2勝1敗)

敗戦投手 三木(3勝13敗)

本塁打 (日)佐々木4号3ラン、奥田2号ソロ

 

(文・写真/杉浦泰介)