27日、日本シリーズ第5戦が行われ、北海道日本ハムが広島を5-1で下した。1点を追う日本ハムは、7回裏に岡大海の犠牲フライで同点に追いついた。1対1で迎えた9回裏に西川遥輝が、広島の守護神・中崎翔太からサヨナラ満塁ホームランを放ち、劇的な勝利を収めた。本拠地で3連勝した日本ハムは、10年ぶりの日本一まであと1勝に迫った。

 

◇第5戦

 2番手・メンドーサ、ロングリリーフで流れ作る(日本ハム3勝2敗、札幌ドーム)

広島          1 = 100|000|000

北海道日本ハム     5 = 000|000|104×

勝利投手 バース(2勝0敗)

敗戦投手 中崎(0勝1敗)

本塁打  (日)西川1号満塁

 

 2連勝中の日本ハムが、劇的なサヨナラ勝ち。試合後、栗山英樹監督は「感動しました」と興奮冷めやらぬ表情で語った。

 

 第5戦の先発を任されたルーキーの加藤貴之は、初回に鈴木誠也にタイムリーを浴び、開始早々に1点を失う。次の回もピッチングは安定せず、1死一、二塁のピンチを招く。すると、日本ハムベンチは加藤を諦めて2番手のルイス・メンドーサを送った。メンドーサは後続を断ち、追加点を与えなかった。日本ハムベンチの早めの判断が見事にハマった。

 

 好リリーフをみせたメンドーサは、3回から6回まで広島打線を完璧に封じ込んだ。7回表に初めて二塁にランナーを置いたが、後続をゴロで仕留め、広島に追加点を与えなかった。

 

 メンドーサの力投に応えたい日本ハム打線だったが、広島先発のクリス・ジョンソンから得点を奪えずにいた。しかし、ジョンソンがマウンドを降りると、ようやくチャンスが巡ってくる。7回裏、先頭の田中賢介は2番手の今村猛からフォアボールを選んで出塁した。次の市川友也が送りバントを決めると、中島卓也がヒットで繋いだ。1死一、三塁で打席には岡が向かった。

 

 岡はカウント1-1からフォークボールをセンターに打ち上げた。センター丸佳浩が捕球すると同時に、三塁ランナーの田中がスタートを切る。丸の送球はキャッチャー石原慶幸の左に逸れ、田中はタッチをかいくぐるようにスライディングしながらホームイン。田中の好走塁で、日本ハムは同点に追いついた。

 

 1-1のまま試合は最終回に突入する。9回裏1死後、7回裏に同点のホームを踏んだ田中が再びフォアボールを選んで出塁する。市川はまたしてもきちんと送りバントを決め、2死二塁。次の中島はボテボテのピッチャーゴロだが、俊足を生かして内野安打となる。2死一、三塁で打順は1番の岡に戻る。すると、中崎のインコースを突いた初球が岡の腰に直撃。これに怒った岡は中崎を睨むと、両軍ベンチを飛び出し、あわや乱闘のムードになる。

 

 不穏な雰囲気が漂う中、2死満塁で西川が打席に入る。西川は今日の試合で4打席ノーヒット。「岡さんがデッドボールを受けて燃えるものがあった」という西川は2球目、高めのストレートを勢いよく振り抜いた。打球はぐんぐんと伸び、ライトスタンドへ飛び込んだ。劇的な一発で、日本ハムはサヨナラ勝ちした。

 

 2連敗からの3連勝で日本ハムは、悲願の日本一まで王手をかけた。移動日を挟んで29日に行われる第6戦の先発は、大谷翔平が予想されている。敵地・マツダスタジアムで、二刀流・大谷がチームを日本一へと導く。

 

(文/安部晴奈)