dsc09330 3日、「K-1 WORLD GP 2016 JAPAN~初代フェザー級王座決定トーナメント~」が東京・代々木第二体育館で行われた。同トーナメントは武尊(KREST)が制し、初代王者に輝いた。武尊はスーパーバンタム級に続き、2階級制覇を達成。K-1史上初の快挙を成し遂げた。

 

「有言実行しないとスターじゃない。言ったことは全部やる」

 新生K-1の象徴・武尊が、スーパーバンタム級から1階級上げて臨んだフェザー級王座を手にした。

 

 1回戦はジェイミー・ウィーラン(イギリス)。武尊が「一番強いのかなと警戒していた」という相手だ。27戦26勝でKO負けはおろかダウン経験もないと言われている。ローキックに対策を立てながら、前蹴りを中心にコントロールしようとした。1ラウンドは様子見のような戦いだったが、2ラウンドからは徐々に武尊も回転数を上げた。ラウンド終盤にはウィーランをコーナー際に追い込み、終了間際には左フックでダウンを奪った。「KOしたかった」と悔しがったものの、3-0の判定で準決勝へとコマを進めた。

 

dsc09227 続く準決勝は神戸翔太(TEAM AK)を下したユン・チー(中国)だ。「正直、効いたのも何個かあった」と武尊。階級変更により、減量苦からは解放されたとはいえ、これまでとはウエイトの重い猛者が対戦相手になる。ユン・チーの身体の強さにも苦戦した。だが“生まれながらのファイター”と評される武尊は試合中に何度も笑った。2ラウンドには連打でダウンを奪うと、さらにラッシュを加えてTKO勝ちを収めた。

 

 決勝は大方の予想通りに因縁の小澤海斗(K-1ジムEBISU小比類巻道場)を迎え撃つ。6月に判定で勝利したワンマッチの再戦であり、何度も試合前に挑発を仕掛けられてきた。今大会の前日会見でも2人はピリピリムード。武尊自身も「世界最高の舞台でぶっ倒してやるから、ちゃんと決勝まで上がってこいよ」と小澤にぶつけた。

 

161103k12%ef%bc%89 これまでの鬱憤を晴らすかのように最初から飛ばした。武尊は前へ出て、相手へ圧力をかける。距離を取ろうと、リングを広く使う小澤に対し、“かかって来いよ”とアピール。ボディを軸に動きを止めると、そこから一気に仕留めにかかり、2度のダウンを奪った。ダウン後には相手を見下ろしながら、自らの力を誇示した。判定までもつれたが、終始武尊が小澤を圧倒した。ジャッジも文句なしに武尊を支持し、5カ月ぶりの再戦は勝者変わらずだった。

 

 武尊は目標にしていた「2階級制覇」を見事に達成してみせた。今大会は「挑戦」をテーマに掲げていたが、「“挑戦”と言っていたけど、プレッシャーしかなかった。試合が終わる度に控室で心を折れそうになった」と明かす。最大3試合の1DAYトーナメント。身体への蓄積したダメージも少なくない。実はヒザや拳を痛めながら勝ち上がっていた。それでも3戦ともに完勝。軽量級最強を改めて証明した。

 

 試合後のインタビューでは年末の格闘技興行への参戦をアピール。「K-1をでかくしたい。ブームで終わらない。オレにはK-1しかなかった。救ってもらった人生だから、昔以上のものにしたいし、それが恩返しだと思っている」と新生K-1の旗頭としてリング上で輝き続けることを誓った。

 

(文・写真/杉浦泰介)