ボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが1日、大阪・住吉スポーツセンターで行われ、同級10位で元同級王者の名城信男(六島)が、現王者のテーパリット・ゴーキャットジム (タイ)に挑戦したが、0−2(113−115、114−115、114−114)の判定で敗れて2度目の王座返り咲きはならなかった。名城はこの試合を「負ければ引退」と位置づけ、終盤に猛攻をみせたが、相手を倒せず、僅差で及ばなかった。名城は試合後、現役引退を表明した。
 進退を懸けた一戦だった。最終12Rは激しい打ち合いで意地をみせた。それだけに、あと1R、早く反撃を始めていれば……と悔やまれる試合になった。

 テーパリットは亀田大毅(亀田)、清水智信(金子)と日本人を連続で退け、ベルトを守ってきた。その王者に中盤までは左ジャブからペースを握られた。名城は懐に飛び込めず、相手のパンチを浴びてしまう。しかし、このままでは終われなかった。9Rから名城は一気に距離を縮め、攻勢に出る。王者の動きが落ちたこともあって連打で追い詰めた。

 ジャッジの採点は終盤4Rに限ってみれば、フルマークで名城を支持。それだけに、もう少し早く肉を斬って骨を断つ戦いに転じていれば、結果はひっくり返っていたかもしれない。

 これで2010年に同級王座を陥落してから、世界タイトルマッチは4連敗。王座復帰へ3度目の正直はならなかった。無名の存在から一転、当時の日本最速タイ記録となるプロ8戦目で世界のベルトを手にし、王座陥落後も一度は返り咲いた。波乱万丈のボクシング人生が幕を閉じた。