レスリングの女子世界選手権(カナダ・ストラスコナカウンティ)は28日、55キロ級が行われ、9大会連続優勝中の吉田沙保里(ALSOK)が10連覇を達成した。これで先の五輪での3連覇と合わせて、世界大会では13大会連続の世界一。レスリングでは男子グレコローマンスタイル130キロ級でアレクサンドル・カレリン(ロシア)が12大会連続で優勝しているのが最高で、前人未踏の偉業を成し遂げた。
 目標にしていた“霊長類最強の男”を越え、正真正銘の“霊長類最強の女”の誕生だ。五輪の金メダルから約1カ月半、帰国後のフィーバーで調整も不十分な中、圧倒的な強さをみせた。
 
 五輪後で各国のライバルたちが出場を見合わせたとはいえ、初戦の2回戦、3回戦はいずれもフォール勝ち。準決勝ではウクライナの選手に第1ピリオドを奪われるが、慌てず、第2ピリオドを取り返す。そして第3ピリオドでフォール勝ちを収め、決勝進出を決めた。

 迎えたヘレン・マルーリス(米国)との決勝は第1ピリオドを先取すると、第2ピリオドも相手を押さえつけ、フォール勝ちで締めた。全試合フォール勝ちという内容で大記録に花を添えた。

 既に吉田は4年後のリオデジャネイロ五輪を視野に入れて競技続行を明言。史上最強の女王の勝負に対する意欲は衰えを知らない。この10月には30歳になるが、レスラーとしての円熟味はさらに増しそうな勢いだ。