欧州で大会を興行している立ち技格闘技団体の「GLORY」が20日、都内で会見を開き、日本初開催となる「GLORY 4 Tokyo」を12月2日に千葉・幕張メッセで行うと発表した。この大会は「GRAND SRAM HEAVYWEIGHT」と銘打ち、ヘビー級16選手によるワンデートーナメントが実施される。参戦するのはピーター・アーツ(オランダ)、セーム・シュルト(同)、レミー・ボンヤスキー(同)ら日本でもおなじみの強豪ファイターたち。主催するグローリー・スポーツ・インターナショナルのピエール・アンドゥランドチェアマンは「クローリーが、キックボクシングと格闘技界におけるワールドカップのような存在であると自負している」と語り、大会成功に自信をのぞかせた。
(写真:上記3選手らとともにスペシャルゲストとしてHKT48の指原莉乃(中央)も会見に登場した)
 今、最も注目を集める格闘技団体がいよいよ日本にやってくる。
 GLORYは99年にオランダでゴールデン・グローリージムを立ち上げたのが発端。シュルトやグーカン・サキ、エロール・ジマーマン、セルゲイ・ハリトーノフら強豪選手を多く抱える世界有数のジムに成長する中でイベント興行にも手を広げ、所属選手たちによる数々の大会を行ってきた。

 今年に入ってGLORYは一躍、脚光を浴びる存在になっている。まずヘッジファンド投資家のアンデュラントチェアマンや、大手スポーツマーケティング代理店のトータル・スポーツ・アジアなどが提携して現在の団体を設立し、「GLORY World Series」を旗揚げ。ヨーロッパで2度の大会を実施した(10月にもベルギー、11月にもイタリアで開催予定)。さらに7月には欧州で人気の団体「IT'S SHOWTIME」を買収。アンデュラントチェアマンが「世界最高峰の選手の約9割と契約を結んでいる」と胸を張るように、キックボクシング界では世界屈指の団体に躍り出た。

 GLORYが巨大化している背景には、旧「K-1」の消滅が挙げられる。日本発祥のK-1ではファイトマネーの未払いなどの問題が顕在化し、昨年、運営会社が倒産。大会を興行できなくなる事態に陥った。アンデュラントチェアマンは「この競技が置かれた状況を見た時に、ファンとしてやるせなく、悲痛な思いを味わいました。しかし、その一方でビジネスマンとして、これは絶好のチャンスだと考えた」とGLORY設立の動機を明かす。欧州で一大勢力となった彼らが次なるターゲットとして日本の市場を狙うのは当然の成り行きだった。

 12月の大会では他の格闘技イベントでは珍しいヘビー級16選手によるワンデートーナメントが行われる。見どころ充分のヘビー級対決をズラリと揃え、しかもトーナメント形式で最強選手を決める試みで、多くの格闘技ファンの目を引こうとの主催者の意図がうかがえる。1回戦から決勝まで最大4試合を行う点を考慮し、準決勝までは1Rは2分間。オープンスコアリング方式により、2Rを先取した場合は3Rを戦わずして、その選手の勝ち上がりが決まる(決勝は3分3R)。

 参戦する各選手は「カラテスタイルのようにたくさんの試合が戦える。とてもうれしい」(シュルト)と大会が待ち切れない様子。大会のオフィシャルコメンテーターを務める武蔵は「日本でもレジェンドとも言える選手たち。僕も何度も対戦しているし、楽しみ」と期待を寄せた。またトーナメントに臨む16名のなかには日本人3名が入る予定で、参加選手は後日発表される。

 この大会を足がかりに、GLORYでは2013年に世界各地で6階級で14回のイベントを開くことを発表。日本では地元の若手選手発掘を目的とした「Road GLORY Japan」を含めた大会を3回実施する見込みだ。立ち技格闘技では新生K-1も10月14日に両国国技館で日本では初めての大会を開催する。こちらもヘビー級を中心としたWORLD GPが組まれており、今後は両団体が日本のファンを取り込むべく、しのぎを削る格好になる。昨年は盛り上がりを欠いた日本の格闘技界も、この秋から熱を帯びそうだ。